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★ 三題噺やりませんか? 2 ★

1 :露夢之介:02/04/19 18:44
新スレでございます。
いままで、読むばかりでしたが、これからは参加したい!
という意気込みで名前もつけて、僭越ながら新スレも立ててしまいました。
よろしく。

名作が読める旧スレはこちら↓↓↓
http://ton.2ch.net/test/read.cgi/rakugo/1003505184/l50

2 :重要無名文化財:02/04/19 18:56
>>1
ご苦労様。主催者氏が来たら驚くかもね。
とりあえず、第十七回のお題とりの最中みたいだから、
その辺の事も書いたら?規定とか。

3 :露夢之介:02/04/19 23:19
主催者様の御言葉
>三題噺作家さんはコテハンで書くか、「その1・その2」などで自分の作品だと
>区別できるように(横レスが入っても分かるように)して下さい。
>作品がある程度集まったら、秀逸作品を選んだり批評したりしましょう。
>そして、次のお題集めとしますか。
>作家さんは、自分の演題のタイトルをどこかに書いて下さい。
>(後で募集しても構いません)

>私としては、どこかの落研の人や本職の芸人さんがネタとして使用願いを出す
>ぐらいのレベルの作品が出る事を願っています。


4 :露夢之介:02/04/19 23:21
主催者様の御言葉2
>私としては、上のほうで述べた通りに、本格的な三題噺が
>参加者で繰り広げられるのが希望なので、ここは形式は
>落語オンリーでいきましょう。お笑い板では自由度が高いみたいなので、
>こちらは形式を整えることで、住み分けたいと思います。

>読んだ感想も、遅レス大歓迎ですから(作者も喜ぶと思うので)お願いします。


5 :露夢之介:02/04/19 23:25
19日2時ごろの主催者様の書き込み
>それでは、第十七回へと参りましょう。
>お題取りをただいまより行います。
>例によって一レスにつき一単語でお願いします。
>明日の夜半くらいまで募集いたしますので、よろしくお願いします。

6 :重要無名文化財:02/04/19 23:26
宿替え

7 :重要無名文化財:02/04/19 23:29
根津神社

があがってました

8 :重要無名文化財:02/04/19 23:34
再出発

9 :重要無名文化財:02/04/19 23:45
出世魚

10 :重要無名文化財:02/04/20 00:37
いちおう、作品を書くときのルールなんですが、

1.お題が使われたところで、わざとらしく「パチパチパチ」と入れる
2.作品の終わりは「ドンドン」と書く(書き込みの混線を防ぐため)

前スレを読めばわかると思いますが念のため。

11 :主催者:02/04/20 00:42
何と、もう前スレッドは一杯になってしまいましたか。
いささか驚いています、皆様のおかげでございます、ありがとうございます。
しかも、新スレッドまで作っていただいているなんて。
いい読者といい作家に恵まれた事に感謝いたします。
露夢之介さん、本当にありがとうございます。

さて、「主催者様のお言葉」という大仰な事になっていますが
その書き込みをした当時とは若干現状は違っているようにも思いますので、
改めて規定を述べさせていただきます(せっかく書き込んで下さったのにすみません)。

まず、
・お題取り→お題決定→作品募集・感想など→主催者感想→次の回へ
というのが大体の流れです。一週間間隔でサイクルしていますが、あまりに
募集が早かったり、参加者の少ない場合は伸び縮みいたします。
作家の方はコテハンでお願いしていますが、恥ずかしくて匿名で書きたい方も
いらっしゃると思いますので、「なるべくコテハンで」としておきます。
そして、このスレッドの最大目標は、
「どこかの落研の人や本職の芸人さんがネタとして使用願いを出す
ぐらいのレベルの作品が出る事」と勝手に私は思っています。
もちろん初心者の方の作品も大歓迎です。

長くなりそうなので分けますね。

12 :主催者:02/04/20 00:56
形式の事を書こうと思ったら、>>10の方が書いてくださって
いましたので、引用させていただきます。

1.お題が使われたところで、わざとらしく「パチパチパチ」と入れる
2.作品の終わりは「ドンドン」と書く(書き込みの混線を防ぐため)

これに付け加えて、題名はあってもなくても構いません。
個人的に思い入れのある方はお付けください。それ以外は、私が
感想を書く際に(仮)として付けさせていただきます。
もちろん「この噺は『○○○』という題名がいいのでは』というご意見が
作家の方や読者の方からあれば、協議の上で決定します。
あとは、「落語の形式で」ということをお願いしておきます。
漫才や劇、小説や詩の類の三題噺とは「本格的な落語の三題噺」という
趣旨とは外れてきますので何卒ご理解よろしくお願い致します。
これより後は、皆様の創意工夫の産物ですから、自由に書いてくだされば
結構です。バレ噺(艶噺)も構いませんが、度を越えたものはご勘弁願います。

お題取りですが、一レスに付き一単語でお願いしています。
そうでないと、いい御題があっても明らかに同じ人の書き込みからは選ぼうにも
選びにくいからです。

なお、感想は遅レスでも構いません。いつでも書き込んでください。
作家の方々が喜びます。また、五回ごとに「感想日」を設けています。
総集編ではありませんが、五回分のリストをアップしますので、
普段感想を書かない方も、これを機会に書いてみてくださいね。

最後に、常連の方々、いつもありがとうございます。
これからも末永くよろしくお願いします。

では、お題取りの続きをどうぞ。現在第十七回のお題を
募集しています。


13 :重要無名文化財:02/04/20 01:09
上方

14 :重要無名文化財:02/04/20 01:29
テキスト

15 :重要無名文化財:02/04/20 01:30
六代目

16 :重要無名文化財:02/04/20 01:32
素人

17 :重要無名文化財:02/04/20 01:36
すし屋

18 :主催者:02/04/20 02:02
それでは第十七回お題の発表です。
「再出発」「テキスト」「素人」の三題です。
「根津神社」はごめんなさい、選びたくて選べなかった次点です。
ちょっと広がりがないのも困りますし。
「出世魚」「上方」なども候補でした。

それではたくさんの作品、お待ちしています。

19 :湖亭半弗:02/04/23 00:55
今回の作品が考え付いてないんですが、一応の報告です。
「三人家斉(改訂版)」を三笑亭夢丸師匠の「新江戸噺募集」に応募した
と書きましたが、ものの見事に落選致しました。
夢丸師匠は、私がTEL番号を記入し忘れていたので、葉書(自筆)で
知らせてくださりました。ありがとうございました。そして、
江戸落語の高い高い壁を改めて思い知りました。うーん、残念。
こんなところで売り込みもないですが、お蔵入りするのは惜しいので
興味を持たれた本職の方はこちらまで(W

はた迷惑な書き込みですみません。三題噺、精進いたします。



20 :重要無名文化財:02/04/23 22:43
残念でしたね。あなたは伝統芸能板の期待の星ですから
頑張ってください。

21 :重要無芸文化財:02/04/24 05:59
 しばらく休んでおりましたが、復帰いたします。で、スレッドも新しくなったし、ちょいと新しい
芸風にチャレンジです。

 文化文政の頃でございますが、江戸を荒らし回った迅風の慎吉と申す盗賊一味がございました。
 そのうち、奉行所、火盗改めの詮議も厳しく、あいなりまして、そろそろ潮時かと江戸を売ることに
いたします。しばらくは上方でお勤めと、一味の者たちは旅商人、行者、浪人者とそれぞれに身をやつし、
板橋の宿から中仙道、品川の宿から東海道と、三々五々、道中をかけます。

 中に一組、方向違いの千住の宿に向かう男女連れがございます。千蔵と情婦のお峰と申します。
金町の新宿で佐倉街道と別れ水戸街道に入り、江戸川に沿って、小向の渡しへと向かいます。

お峰:おとっつぁん
千蔵:おい、もう、おとっつぁんはねえだろ。
お峰:そうだね、おまいさん。
千蔵:まあ、俺はこのように若白髪。3日も寝不足だと二十歳は老けて見える。
お峰:今は、十くらいよ。
千蔵:よしねぇ。なのにお前は、もう練馬かってくせに。
お峰:なによ。その練馬って。
千蔵:もう、としまも通り過ぎた。
お峰:ひどいこと、言うんじゃないよ。
千蔵:なのに、おぼこい顔で、娘にしか見えねえ。
お峰:だから、お勤めが出来たんじゃないのさぁ。
千蔵:違ぇねぇ。目を付けた大店に、お前を連れて現れる。
   私は烏山城下で紙間屋を商う、常磐屋甚右衛門と申し、この度は、私どもの品物を、まずは見て
   いただきたいと、こちらに参りました。
   あ。これなるは一人娘のお峰でございます。いずれは、婿を取らせて跡継ぎと考えておりますが、
   この度は商いの勉強にと同道させてございます。
お峰:で、2・3日して、また、その店に現れる。
千蔵:急な用事で国元に一時帰ることにいたしました。その間、娘をどうしたものか。
   一人で宿に置くのも心配で、急ぎ旅に連れて行くのも・・・・
お峰:大店ともなれば、そろそろ暖簾分けをしなくちゃって奉公人もいる。
   あわよくば、婿に入れてしまえば、暖簾分けの金も要らないと。・・・・
千蔵:そこで、じゃあ、手前どもでお預かりいたしますってことになる。
お峰:私は、店の中で、我こそは色男と思ってるようなのを見つけるのさ。
千蔵:やがて、おいらが戻って来て、お前を連れて帰る。
お峰:それで、こっそりと、今日でおいとまでございますが、ひとつ心残りがございます。
   皆まで言わせず、今晩、裏木戸の戸締まりをお忘れ願いとう存じます。
千蔵:ところが、その夜に忍んで来るのぁ、お前じゃなくって、お頭たちって寸法よ。


22 :重要無芸文化財:02/04/24 06:00
お峰:でもさ、お頭は、なぜ、私たちを、江戸の近くに残すのさ。
千蔵:仲間内には、役人どもの動静をさぐるってぇことだが、実んところ、俺達を一味から抜けさせて
   おくれなすったってことよ
お峰:そうさね、おまいさんは、成り行きで一味に入ったけどさ、この稼業にゃ向いちゃあいない。
千蔵:違ぇねぇ。威し文句のひとつも言えねぇんだから。
お峰:お頭が店の主人を威している横で、店の連中に、てめぇもなーと繰り返すのが精一杯。
千蔵:ついた名前がモナーの千蔵よ。
   待て。何か聞こえねえか。

と、言うより、着物を脱ぎ捨て、江戸川に飛び込みます。

千蔵:てえへんだ。お峰。箱に入った赤ん坊が流されて来た。
お峰:あら。非道い親もあるもんだ。
千蔵:わざと流したもんでもあるまいよ。
お峰:そうだわねぇ。親子は一世、夫婦は二世。親子はこの世だけの縁というけれどねぇ。
   親となり子と産まれるってのも、よほど深い縁。簡単に捨てたりはしないよねぇ。
千蔵:急な増水で流されたに違ぇねぇ。さぞ、親御さんが探していることだろう。
お峰:手がかりはないのかい。
千蔵:着物だけだ。でも、粗末な着物だぁな。
お峰:それに痩せて、いい暮らし向きじゃなかったのよねぇ。
千蔵:手がかりっても何もねぇ。名前も知れん。上流は利根川、板東太郎。やたら広くてどこから
   流されて来たかもわかりはしめぇ。
お峰:ねえ、おまいさん。
千蔵:何だ
お峰:この子、私たちの子にしようよ。
千蔵:え。
お峰:あたいたちが再出発して、新しい暮らしをしよって時に巡り会ったのも何かの縁だよ。「パチパチ」
千蔵:縁かぁ
お峰:お頭は、盗みはすれども非道をせずって言ってもさ、やっぱり、盗人に入られたってことで、
   ひどいことになった人も多いに違いないよ。罪滅ぼしってわけじゃあ、ないけどもさ、一生に
   一度くらい、人のためになってみたいのよ。


23 :重要無芸文化財:02/04/24 06:01
 と、この子はしぃ吉と名付けられます。3人は、かねての頭の手配どおりに、江戸から半日のところ、
松戸宿の納屋河岸近くに落ち着きます。
 目立たぬようにひっそりと暮らす手筈ではありましたが、しぃ吉のために貰い乳もしないといけない。
それには近所の付き合いもいる。何をして暮らしているのか、その言い訳に店を開きます。
 目立って足がついちゃいけないと、暮らしぶりは堅実。近所付き合いの手前、よく働きます。
盗人稼業上がりですので、よく気がつきます。何より、分け前はたっぷり貰っており、お金はございます
から、あこぎな商売はいたしません。良心的と評判が立ち、おおいに繁盛いたします。

千蔵:今月の稼ぎはどうだ。
お峰:そうね。結構あるわよ。この3年の稼ぎを合わせると、もう分け前よりも多いくらいよ。
   あんたは盗人には適してないけど、商売に適すとは知らなかった。「パチパチ」
千蔵:適すと・・・は苦しいな。適してるとだろう。
お峰:まあ、いいとしようよ。素人商売がうまく回るのも、しぃ坊のおかげだよね。「パチパチ」


24 :重要無芸文化財:02/04/24 06:02
 そんなある日、一人で店番をしていた千蔵に声をかけた侍がございます。

武家:モナーの千蔵じゃな。
千蔵:え、その名をご存知とは。
武家:火付け盗賊改め、中村播磨である。雨蔵一味は、ことごとく捉えられた。厳しき吟味により、
   お前のことも露見しておる。
千蔵:はぁ、ありがとう存じます。
武家:ありがとうとは、どういう訳じゃ。
千蔵:は、いつ追っ手にと心配で、この三年、ゆっくり寝てもおられません。
武家:天網恢々疎にして漏らさず、ばれぬ筈はない。
千蔵:これで、ゆっくり寝られます。どうぞ、お縄を。
武家:よい心掛けじゃ。で、お峰はどこにおる。
千蔵:え、お峰も。
武家:当たり前じゃ、おくみの働きも存じておる。夫婦は同罪じゃ。
千蔵:分け前はお返し申します。どうぞ、お峰は。
武家:ならぬ
千蔵:私たちは、どうなるので、ございましょう。
武家:まあ、分け前を返せば、死罪にはせぬ。罪一等を減じ遠島じゃ。心掛け次第では帰って来られる。
   こら、いまさら泣いても遅いわ。
千蔵:いえ、泣いているのは、しぃ坊が不憫で。産まれて親にはぐれ、また親と生き別れ。
   死に別れも辛ぅございますが、どうしてもあきらめのつかぬのが生き別れ。それが、幼いうちに
   二度も親と生き別れとは。
武家:しい坊とは、その方らの子じゃな。産まれて親とはぐれとは、どういう訳じゃ。
千蔵:実は拾い子でございます。ひとのため、と思っても、結局は、かえって酷い目にあわせることに
   なりやした。やっぱぁ、悪事の報いですかねぇ。
武家:う〜ん、しかし老けた顔じゃなぁ
千蔵:ゆっくり寝ておりませぬゆえ
武家:調べによれば、一味の手引きをしたのは親子であるそうじゃ
千蔵:実は・・・・。
武家:待て。親子であれば、娘の悪事も、孝行心ゆえとお目こぼしがあるかも知れぬ。
千蔵:はぁ。
武家:しぃ吉が実の子でないなら、夫婦の証はない。おしぃが、父なし子といじめられぬよう、親子で
   ありながら、世間には夫婦と偽ったとも考えられるな。
千蔵:お峰が娘なら、お許しが?
武家:さて、聞くが、お前とお峰は、親子か夫婦か、いずれが真実か。
千蔵:はぁ
武家:さぁ。親子が偽りか、夫婦が偽りか
千蔵:夫婦はニセでございます。

どんどん


25 :重要無芸文化財:02/04/24 06:06
・・・・書いてる途中で、一味の名前が変わってしまってますね。
ということで、慎吉か雨蔵か、どっちかに揃えて、読んでくださいませ。スンマヘソ。


26 :重要無芸文化財:02/04/24 06:29
・・・・と思ったら、お峰も、一カ所、違う名前になってますし、しぃ吉君も、
親が「しぃ坊」と言うのはともかく、火盗改めが「おしぃ」と言ったり・・・

開口一番担当の前座のことゆえ、お許しください。



27 :重要無名文化財:02/04/25 01:19
お見事!決まりましたね。
無芸さんの江戸落語も面白いですねぇ。いいもの見せていただきました。

28 :重要無名文化財:02/04/25 20:53
人情噺だなぁ。いいなぁ、武家のお情け噺にゃあ弱くてね。

29 :湖亭半弗:02/04/27 00:47
それでは、思いついたままにやってみたいと思います。
久しぶりに現代ネタになると思います。もう無茶苦茶してみます。
「再出発」「テキスト」「素人」ですね。

 えぇ、昭和になると誰でも小学校までは行てたんですな。古い方でしたら、
尋常小学校ちぃますが、あれが国民学校になって小学校になったんですけども。
まぁ小さい時分は無茶しますわ、そら。ガラスなんか平気で割ったりね。
犬を学校の中へまで連れてきて、授業にならなんだり。そら、そういう工夫には
知恵が回るもんで。
生徒A「おい、お前、何してるねん?」
生徒B「黙ってぇ、今、0点のテストに点足してるねん。」
生徒A「アホ、そら1000点なっとるがな。」
どこか抜けてて、あれがまた愛嬌があるもんですが。今の教育現場でも
受験戦争やとか言うてて、公立中学なんかでもまだまだ幼いちゅうか、
まま、わき目も振らず勉強、とはいかんもんで。
小池先生「はぁーい、座れぇ。チャイム聞こえてないんは誰やぁ?はよ座れぇ。」
田中「先生。小西君が保健室に行ってます。」
小池先生「何や、どないした、小西は。」
田中「さっきの体育の授業で喘息ぶり返したちゅうてました。」
小池先生「あぁ、そぉか。また保健委員、様子見にいったれな。」
里中「先生、今日、宿題ないやんなぁ。」
小池先生「あるわ、アホぉ。テキスト30ページ訳して来いちゅうたやん。」(パチパチパチ)
里中「ウソ!マジで!うわぁ、やってもぉた、先生、今日当てんといて。」
小池先生「さぁ、知らんなぁ。今日はほな、出席順にサ行の子ぉから当てよかな。」
里中「サイヤクや、先生、いじめや。」
小池先生「宿題してけぇへん方がよっぽどいじめや、先生に対して。
当てて授業進めへんのん、これいじめやな。辞書持ってるねんやったら、今のうちに
少しでもやれ。」
里中「いや、先生。辞書、重いから持ってこずや、今日。」
小池先生「ほな、隣でも借りとかんかい。」
藤原「先生、こないだ里中君に貸したら、今日忘れてこられた。」
里中「ほんまや、借りてたなぁ。先生、藤原君のもないわ。」
小池先生「忘れていばってるな、こいつ。その辺、机ひっつけて借りぃ。
はぁい、ほな、授業始めるぞぉ。宿題言うてたなぁ、今日は・・・P(ピー)
30ページぃ。」


30 :湖亭半弗:02/04/27 00:47
里中「先生、Pって何?」
小池先生「PはページのPや。」
里中「ほな、先生。P30ページておかしいやん。」
小池先生「うん、おかしいな。ほな、おかしいついでに里中、訳すか?」
里中「いや・・・、合ってるからいい。」
小池先生「現金な奴やな。はい、ほな宿題やってきた人、はい、手を上げるぅ。
はいはいはい、恥ずかしがらない。今のうちに発表稼いどこうぜ。
賢いですねぇ、このクラスは。一応みんな調べてきてますね。」
里中「先生、何か長谷川とか村田とか、田中君のノート借りてました。」
長谷川「あ!お前、最悪や、こいつ!チクんなや、お前!」
里中「え?知らんで。俺、借りてたちゅうただけやもん。」
村田「屁理屈ごねんなや、里中!」
小池先生「はい、はい!黙る!里中も立ち歩くな、授業中に。いったん手おろして。
いいですか、宿題は宿に題と書きますねぇ、いいですか?里中君、いいですかぁ?
よし、座って。宿、つまり寝る場所、君らなら家です。そこでやる問題やから
宿題なんですよ。友達のノート借りても頭には残れへんよな。長谷川、ゲームボーイ
アドバンスでゲームやってて、友達の話聞いただけで上手くなるか?」
長谷川「・・・なりません。」
小池先生「分からんところは教え合いっこしてえぇねんで。勉強になるからな。
せやけど、もらいっぱなし、教えられっぱなしは悪いよな。な、村田?
お前、ゲーム貸して返せへん奴、どう思う?」
村田「そら、むかつく。」
小池先生「ほな、丸写しもやめようぜ、なぁ。楽した後は空しいです、いいですか。
宿題は自分の力でやりなさい。それから、里中も・・・自分やってきてへんからって
チクんのやめよな。友達やったら少しはかぼぉたれな。」
里中「へぇい。」
小池先生「返事はへぇいか?」
里中「はい。」
小池先生「よろしい。よし、ほな授業再出発な。(パチパチパチ)えぇと、ほとんど皆
やってきてるみたいなんで。今日は・・・4月27日やから、出席番号27番・・・、
森本さん、ほな訳してみよか。」
森本「え?最初からですか。」
小池先生「そう、最初から。」
森本「あ、はい。
『メアリーとジョンは公園に行きました。
メアリー:今日はいい天気ですね。
ジョン:本当にいい天気だね。
メアリー:明日もいい天気だそうですよ。
ジョン:本当?すごいね。
メアリー:あさっては分かりません。』」
小池先生「はい、いいね。ご苦労様。今の訳でおかしいところはないですか?
合ってますか?・・・そうですね、ほとんど合ってますよね。」
里中「うわっ、先生。クマンバチ入ってきた!」


31 :湖亭半弗:02/04/27 00:48
長谷川「里中、はよ出せや、それ。こっち来るやんけ、うわっ来た!」
小池先生「はい、静かに静かに。ハチも興奮するからなぁ、ミツバチと違うて
素人が手ぇ出したら刺されるからな(パチパチパチ)里中、それから窓側の奴も手伝うて
窓開けて。長谷川、下敷きで、叩いたらあかんぞ、叩くなよ、そーっとそう、窓側に。
叩くなちゅうとんねん。」
長谷川「だって!やばいもん。」
小池先生「もぉしょうがないな!こぉよ、こぉ。ほら、ほら、な。あー出て行った。
はい、ほな、開けた窓閉めて。はい、座るぅ。あれ、一枝と境は?」
田中「さっきの騒ぎの時に、冷水機の水飲みに行きました。」
小池先生「何をしとんねん、あいつらは。ちょっと誰か連れ戻して来い。」
吉本「先生、堀田さんが鼻血出しました。」
小池先生「あぁ、さっきの騒ぎでカーっとなったんやな。ほな、保健委員。
どっちか保健室連れてってあげて。・・・、おい、こら待て。
何で女の子1人連れて行くのに男がゾロゾロついていくねや。」
里中「だって、杉野さん休みやし、俺、保健委員やもん。」
小池先生「お前はえぇねん、その周りよ。」
村田「あの、里中君が頼りないんで、その、付き添いの付き添い。」
長谷川「俺も。」
藤原「あの、僕、水飲みにいった二人呼んできます。」
小池先生「行かんでよろしい!藤原、お前、一番入り口から遠いのに
わざわざ行かんでえぇ。他も付き添いの付き添いはいらん。里中だけでえぇ。」
一枝「あ、もうハチどっかいってる。」
小池先生「こら!一枝、境!授業中にどこ行ってたんや!」
境「あの、ハチが入ってきたんで、水かけてたら出て・・・いくかなぁと思って。」
小池先生「ほぉ、んで、そのハチにかける水ちゅうのはどれや。」
一枝「口に受けて持ってきてたんですけど、騒ぎ収まってたんで飲んでもた。」
小池先生「えぇかげんにせぇ。」

お馴染み『授業場風景』という馬鹿馬鹿しいお笑いでございます。

ドンドン




32 :重要無名文化財:02/04/27 03:00
ははは、リアルな授業風景だ。


33 :重要無名文化財:02/04/27 16:53
実話かと思いました。

34 :需要無芸文化財:02/04/28 04:54
上方勢のお二方が、いつもと違った話にチャレンジですね。

無芸さんの>>21〜「夫婦は二世」は、江戸落語には歌舞伎に移されたものも多く、
その舞台を参考に作られたようですね。
落語としての完成度はともかくも、意欲は買いましょう。


次の湖亭半弗さんの>>29「授業場風景」は現代の話ということですが、
デティールの饒舌なリアルさで笑わせるあたり、上方落語の伝統が、しっかり生きていると思います。

、しばらくは続けますので、GWに入り、お出かけで忙しい方もいらっしゃるとは思いますが、
江戸勢の常連さん方にも期待しておりますし、スレッドも新しくなったことですので、新人さんにもご登場いただければと思います。


35 :主催者:02/04/28 13:32
私が忙しい折に、きちんと私の口調を真似て仕切ってくださった
需要無芸さん、ありがとうございます!すみません、いたらなくて。

重要無芸さんの>>21-24「夫婦は二世(仮)」は江戸噺にチャレンジということで、
意欲作ですが内容もきちんとしたもので、中村播磨の情けが涙を誘います。
モナーの千蔵のネーミングには笑いました。サゲも上質のもので、今回は
サゲからおつくりになったのでは?

そして、半弗さんの>>29-31「授業場風景」は、皆さんがおっしゃる通り
妙にリアルな授業ですね。ふんだんに笑い所が盛り込まれていて、喧嘩、
蜂、冷水機、「最初からですか?」と聞き返すところ、そしてテキストの
訳文など馴染みのあるくすぐりが愉快でした。

需要無芸さんが述べられていたとおり、GWでお忙しいでしょうが、
ゆえに時間がとれるとも思いますので、常連・新人の方に期待しています。
また長い休み、軽い気持ちで書いていただいても構いません。
再度書きますが、今回の御題は
「再出発」「テキスト」「素人」です。
たくさんの作品、お待ちしています。

36 :重要無名文化財:02/04/28 17:52
「P30ページ」よく言う先生がいたよ、うちにも。

37 :重要無名文化財:02/04/29 13:48
読者age

38 :重要無名文化財:02/04/30 04:14
露夢之介はどうした?
参加したいからスレたてた、と言っていたが。ご病気か?

39 :重要無名文化財:02/04/30 23:56
「再出発」「テキスト」「素人」

秘書:社長。従業員のストライキです。
社長:何?この時期に?
秘書:はい、突発的ストです。(パチパチパチ)
社長:何を要求しているのだ?
秘書:社長の給料を公開しろ、と。
社長:なぜそんなものを知ろうとするんだ、奴らは。(パチパチパチ)
秘書:社長がピンはねしてると思ってるんだと思いますが。
社長:普通にもらってるはずだぞ。
秘書:最近、国の歳入、歳出が不明瞭ですから。その影響かと。
社長:うむ、歳入、歳出パツパツだからなぁ、国は。(パチパチパチ)
秘書:パツパツって何ですか?
社長:パツパツのパンツみたいに中が肥え太ってる、つまり影で肥えてるということだ。
秘書:なるほど。
社長:じゃあ、ともかく見せてやろう、給料明細を。
秘書:いえ、それはいけません。今はストの勢いがついて、ジャングルの猛獣の
   ようですから、皆の様子は。
社長:なおさら早くおさえねば。
秘書:いいえ、ジャングルの猛獣に、明細(迷彩)は逆効果です。」
どんどん

40 :主催者:02/05/03 02:40
GWということもあり、私も明日よりパソコンのない実家に帰ります。
感想はまとめて5月6日・7日に書きたいと思いますので、その日に
次の御題取りと参りたいと思いますので、どうぞそれまでは存分に
「再出発」「テキスト」「素人」の三題で腕を振るっていただきたいと思います。
たくさんの作品、お待ちしております。

41 :sana亭omi:02/05/04 23:05
以前、短気をおこしてお騒がせしました。
十分に反省していますので、また混ぜて下さい。4回目の投稿です。

「素人」「テキスト」「再出発」で、相変わらずの雑談ものを

熊  おーい、八ぃ。
八  やぁ、熊さんか。
熊  熊さんかじゃないよ。どうしたぃ?青い顔して。
八  いやぁ、風邪を引いちゃって、飯が食えねぇんだ。
熊  なにぃ、そんなに悪いのか?
八  そうじゃねぇんだ。きのう、ちょっとゾクっとしたもんだから、
   玉子酒でも飲んで、あったかい格好して1日ぐっすり寝ようとして、
熊  うん、風邪は引き始めが肝心だ。
八  卵を5個と酒を5合ばかり買ってきて、
熊  玉子酒をとなり近所に配ろうってのか?卵1個に酒1合あれば十分だろ。
八  なにおぅ、俺は江戸っ子だ。
熊  なんだ、いきなり。おまえが江戸っ子なのは分かってら。
八  江戸っ子が卵一個、酒1合なんてしみったれた買い方なんかできるか。
熊  それで卵5個と酒5合か?大して変わらん気がするが、それで5合の玉子酒か?
八  さあそこだ。俺は昔から卵も好きだし酒も好きなんだが、
   玉子酒はどうも薬みたいでいけねぇ。
熊  薬なんだよ。
八  だから、腹の中に入れば一緒だと思って、別々に投薬した。
熊  別々?
八  卵を茹でてね。
熊  卵5個をゆで卵にしたのか?俺もよべよ、そういう時は。
   俺はゆで卵が大好きで、特に半熟の黄身のとろっと、
八  なにおぅ、俺は江戸っ子だ。
熊  江戸っ子は分かったっての。こんどは何だ?
八  江戸っ子が半熟なんて、
   そんな焚き物を惜しんだような、しみったれた物が食えるか。
   江戸っ子は、黄身の表面が真っ黒けの、
   黄身か黒身かって位に威勢よく茹でたものをゆで卵って言うんだ。
熊  それで友達の大好きなゆで卵5個と酒5合を一人食いの一人飲みか?
   大した江戸っ子だ、おまえは。
   だけど、風邪気味で胃腸が弱っている時にそういう芸当ができるのは
   さすがに江戸っ子だ、威勢がいいな。
八  ・・・。
熊  どうした。

42 :sana亭omi:02/05/04 23:06
八  俺の口は江戸っ子なんだけど、腹は江戸っ子じゃなかった。
   そんで、今日は風邪の上に、腹の具合も悪くなって飯が食えねぇ。
熊  情けねぇな。だからおまえは風邪引きの素人なんだ。(パチパチ)
八  素人ー?
熊  ああ、なんであれ、メシ食っている人がプロだ。
   俺は家を建ててメシを食ってるし、
八  それなら、俺は壁を塗ってメシを食ってる左官のプロだ。
熊  そう、お百姓は米を作ってメシを食ってるし、茶碗屋は茶碗でメシを食っている。
   飯炊きの権助はご飯を炊いてメシを食っている。
   みんな、その道のプロだ。
八  TVの大食い選手権に出ている常連は、メシ食ってメシを食ってるのか?
熊  そうだ。
   おまえは、風邪で飯が食えねぇ。だから風邪引きの素人だってんだ。
八  いや、実は朝、お粥を食ってきた。だから風邪引きのセミプロ、
熊  くだらない事言うために、表歩いてるのか、風邪引きが。
八  きのうの玉子酒が効かなかったから、
熊  なにを?
八  いや、卵と酒が効かなかったから、本当の薬を買ってきた。
熊  ああ、それが買ってきた薬か。ちょっと見せてみろ。
   なになに、食後3錠もち得るべし。
   但し、服用後、あったかい格好して1日ぐっすり寝るべし。
   なんだ、これ?
八  「すとな」っていうんだ。
熊  名前を聞いているんじゃねぇや。なんだってこんな物買ってきた?
八  今流行っているんだよ、都都逸だけど。
   「玉子酒でも、直らぬような、風邪に『すとな』が、適すとな」ってな。(パチパチ)
熊  おまえは流行り物に弱いからな。
   まあ、その辺のおっちょこちょいは正に江戸っ子なんだが、
   こればっかりは古くても確かな方がいいぞ。
八  何かいいのがあるか?

43 :sana亭omi:02/05/04 23:07
熊  ああ、あるんだ。噂をすればなんとやらだ。
   ちょうど向こうから糊屋のばあさんが来る。
   あのばあさんがいい薬を作ってくれるらしいんだ。呼ぶよ。
   おーい、糊屋のおばあさぁーん。
ば  ああ、熊さん。珍しいところで、
熊  うん、うん・・・。
   ところで、ここにいるのは俺の友達で八っていうんだけど、
八  へへへ、こんちは。
ば  はいはい、こんにちは、八っつぁん。
   でも、熊さんのお友達ってわりには、顔色が悪くて威勢も悪いね。
熊  この野郎、今、風邪引いているんだよ。
   それで、おばあさんにちょっと頼みがあるんだけど、
ば  はいはい、いつものね。熊さんの頼みなら・・・。
   ちょうど今、知り合いの人に頼まれた分を届けた帰りなんだけど、
   少し余っているから、これをあげるよ。風邪に良く効くよ。
八  ありがてぇ、すまねぇな、おばあさん。
   ・・・ところで、あの、・・・これ・・・何でできてるの?
ば  なんだいっ、汚そうに持って。・・・そう、謝るってんなら良いけど。
   だけど、原料なんか聞いたら飲めないよ。
八  ・・・。
ば  それと、噛んだりしたら絶対に飲めないよ、すぐに吐き出す事になるからね。
八  じゃあ、舌でそっと、
ば  舌に触れたら、本当に2,3日ご飯がのどを通らなくなる。
熊  はは、良薬は口に苦しだな。
八  その点は本当に良薬みたいだけど、おばあさん、
   とにかく、口に入れたらすぐ丸飲みすればいいんだね。
ば  それですぐに風邪は治るよ、みんなそうだから。
   あ、そうそう、もう一つ大事な事をいい忘れていたよ。
   薬を丸飲みした後はねえ、
八  うん。
ば  あったかい格好して1日ぐっすり寝るんだよ。

演者 えー、お後がよろしいようで。
 
客席 こらー、終わったらルールを守れ!前回の事、本当に反省しているのか?
   それと、「再出発」が出てきたか?

演者 >「再出発」が出てきたか? 
   私自身が「再出発」というこで、(パチパチ)

   ドンドン

44 :主催者:02/05/06 22:43
GWも終わりましたが、皆様はいかがお過ごしになられましたでしょうか。
今回、久しぶりに作品をお寄せくださった方も出るなど喜ばしい限りです。
江戸の常連さん方にはいい休養になったかと思います。無理をせずにこれからも
参加してくださいね。

匿名さんの>>39「ストと社長(仮)」は、強引な御代の使い方が愉快でした。
歳出パツパツなどは本当にギリギリのラインで、無理加減が可笑しさになっています。
サゲも短編ながらきれいにまとまっていますね。

そして、お帰りなさいのOMIさんの>>41-43「風邪薬(仮)」は江戸っ子の
片意地さを上手く表現していると思います。オーバーなくすぐりが楽しいのも
そうですが、最後の演者をいじっての御題などは意表を突く手法です。
漫画家のえんどコイチ氏が「ページの都合」など一度使うと他の漫画家が向こう
五年使えなくなる手法と述べていましたが、まさに諸刃の剣(笑)
次回作が早くも期待されます。

それでは、第十八回御題取りと参りましょう。
例によって、一レスにつき一単語でお願いいたします。
たくさんのご参加お待ちしています。

45 :重要無名文化財:02/05/07 00:34
都都逸

46 :重要無名文化財:02/05/07 01:29
暗転

47 :重要無名文化財:02/05/07 13:31
ホームパーティ

48 :重要無名文化財:02/05/07 16:04
献立

49 :重要無名文化財:02/05/07 17:12
ゴング

50 :重要無名文化財:02/05/07 17:30
有事法制

51 :重要無名文化財:02/05/07 18:12
五月病

52 :重要無名文化財:02/05/07 19:42
イタリアン

53 :重要無名文化財:02/05/07 20:45
少なめ

54 :重要無名文化財:02/05/07 20:46
カーネーション

55 :sana亭omi:02/05/07 21:12
>主催者さん、
色々、本当に色々ありがとうございます。
演題名は「風邪薬」でお願いします。


56 :主催者:02/05/07 23:44
たくさんの御題、ありがとうございます。
OMIさん、演題名は「風邪薬」で決定ということで、(仮)を外しておきますね。

それでは、第十八回御題の発表です。
「都都逸」「ゴング」「カーネーション」の三題です。

「五月病」と「カーネーション」は悩みましたが、時期的にもそうですが
華やかな話題になりそうなので。「暗転」「献立」なども候補でした。

それでは、たくさんの作品お待ちしています。


57 :重要無名文化財:02/05/10 16:32
ああああものすごく面白い!面白いですなこのスレ!今読んでいるのはまだ前スレ300番台ですが、今のところ『ヨンデレラ』が一番笑えました。皆様頑張ってください!

58 :重要無名文化財:02/05/10 16:51
熱狂的な新ファンですな。
『ヨンデレラ』は爆笑ものの逸品だよ。

59 :主催者:02/05/13 01:55
お題が難しすぎたのでしょうか、今回はまだ一作も挙がっていないようですね。
母の日ということもあって選んだ「カーネーション」がネックになっている
のでは、と考えていますが。
完璧なものでなくとも、気軽に書いていただければ十分だと思いますので
初めての方も常連の方もふるってご参加くださいね。

60 :菊亭 艶馬:02/05/13 12:08
どもったオヤジが 表でさわぐ
「ど どいつも(都々逸)こいつも
信心がねえ。欣求浄土(ゴング)と
お念仏、唱えりゃガキが・・・鈴を持ってっちまう
おい、鐘がねえよ!!かね− か−ね−
か−ね− しょんがえな!」 


61 :鉄棒勇助:02/05/14 02:36
「都都逸」「ゴング」「カーネーション」

マタギ「ごら、せがれ。おめぇちったぁ狩りがうまぐなっだが?」
息子「狩りなんで、おら嫌いだ。」
マタギ「何言うだ、この馬鹿たれが。いつがはおめぇの仕事になるだぞ。」
息子「マタギにはなんね。おら、歌手になるだ。」
マタギ「どごからそんなくだらねぇ考えが出るだ、おめぇは。」
息子「兼庄んとこの四郎作に歌誉められだ。おら、『りずむかん』が
あるんだど。」(パチパチ)
マタギ「兼庄んとこのせがれか。あのバカとは付き合っちゃいげね。不良息子だ。」
息子「おら、歌で食っていくっで決めたんだ。父ちゃんの指図はうげねぇ。」
マタギ「聞いた口ただくでねぇ、このバカ息子が!」
息子「何いわれても、おら、ド、ドイツへりうがくするだ!」(パチパチ)
マタギ「何でドイツだ、音楽なら湯布院だとが。」
息子「そら、ういーんだべ、父ちゃん。ドイツにいい音楽の先生がいるんだと。」
マタギ「おめぇ、留学すんのにどれだけ金かかるか知ってるが?」
息子「しらねぇ。」
マタギ「だから、おめぇは世間知らずだちゅうんだ。札束が、手伸ばしで、
ほれ、ごんぐらいあってもたりねんだど。」(パチパチ)
息子「そんなにするだか?」
マタギ「そんだ。しかも、おめ、おめぇぐれえの歌うまい奴なんざ山ほどいるだ。
おめぇじゃ無理だ、マタギで精一杯だ。」
息子「そんなにいるだか。おら、そんな奴らどシノギを削るだか。」
マタギ「んだ。だから、あきらめろちゅうんだ。」
息子「父ちゃん、おら、金のなる木がほじい。」
マタギ「バカタレ!おめぇ、父ちゃんの話きいてっか。金があっても無理だつうんだ。」
息子「でも、金のなる木に金がなっだら、ライバルらと戦いにドイツへ行げるど。」
マタギ「バカぁ、俺たちゃマタギだ。カネがナったら(鐘が鳴ったら)、獲物相手に
火蓋を切って落とさねばなんね。」

どんどん

62 :sana亭omi:02/05/14 19:19
>鉄棒勇助さん、
大変面白く読ませていただきました。

>兼庄んとこのせがれか・・・
工夫されましたね。
僕は「ゴンク」を
言語道断と父兄同伴で引っかけて話を作ろうとしましたが
主催者さんの言われるとおり、
「カーネーション」で行き詰まりました。

「湯布院」と「ウィーン」のクスグリも楽しかったです。

>カネがナったら(鐘が鳴ったら)、
この部分は鳶の頭の親子だったらどういう展開になったのかなと
想像して、より面白く感じました。


63 :里の筍:02/05/14 20:57
別に御題がどうこうというわけじゃあなかったんですがね、ちょいと風邪っ気もあり疲れ気味だった
んでしばらく遠ざかってたんですが、今夜はサッカーが真夜中からあるってんでそれまで起きてなく
ちゃ、ということで時間をつなぐのに一つ作ってみました。

「二人旅」(カーネーション、都都逸、ゴング)

「アメリカの国花がなんだか知ってるかい?」
「わからねぇなぁ。なんだい?」
「カーネーションだよ。」(パチパチパチ)
「へぇー、そうかい。知らなかったなぁ。」
「だって車の国だから。」
なんてぇ小話がありますが、アメリカどころか今じゃ日本でも一家に2台の割りで車があるんだ
そうでして、まったく便利な世の中になったもんですな。
昔は車なんざぁないからどこに行くんでも歩くっきゃなかったんでね。
あの十返舎一九先生の「東海道中膝栗毛」に出てくる弥次さん喜多さんの二人組みでも、呑気な
旅のようですが京都まで12日で行ったんだそうですから、これを今の距離になおすと毎日41Kmも
草鞋をすり減らしながら歩った勘定になるんだから大変なもので...
まぁ、昔の人はみんな足が丈夫だったんでしょうな。
でもなかにはそれほど丈夫でない奴もいたようで...

喜「もうくたびれた。少し休もうよ。」
弥「さっき休んだばかりじゃあねぇか。そんなこっちゃ宿に着くまでに日が暮れちまうぜ。」
喜「さっきはさっき、今は今だ。もう足が擦り切れそうだよ。」
弥「お前は二言目にはそれだ。愚痴をこぼしながら歩くから余計くたびれるんだよ。」
喜「愚痴を言わなくってもくたびれるものはくたびれらぁ。」
弥「こんどから愚痴を言ったら100文取ることにしようじゃあないか。」
喜「わかったよ。そのかわりお前が愚痴を言っても100文だぜ。」
弥「いいとも。」
喜「それにしても足が痛ぇなぁ。」
弥「ほら、100文寄こせ。」
喜「えーっ、もう取られるのかよ。つまらねぇ決めをしたもんだ。」
弥「さぁ、もう100文だ。」
喜「なんだい、これじゃ何にもしゃべれねぇじゃねぇか。」
弥「そんなことはねぇよ。都都逸の回しっこでもしながら歩けば、気も紛れるし、一石二鳥と
いうもんだ。」(パチパチパチ)
喜「へぇー、そんなもんかねぇ。」
弥「そうだとも。」
喜「それじゃあお前から何かやりねぇ。」
弥「おう。そうさなぁ。『お酒飲む人花なら蕾、今日も咲け咲け、明日も咲け』ってぇのはどうだ?」
喜「なんだかどこかで聞いたことがあるような文句だなぁ。それじゃあ俺も一つ行くか。『お酒飲む人
小便が近い、いつも厠と仲が良い』ってのはどうだい?」
弥「なんだか汚ねぇなぁ。もう少し気の利いたのはないかい。『ままになるならあの娘と二人、ゆっくり話がしてみたい』なんてね。」
喜「『ままになるなら樋竹かけて、寝ていて小便がしてみてぇ』」
弥「おい、また小便かよ。」
喜「『寝ていて小便はしてみたけれど、傍で見るほど楽じゃない』」
弥「いい加減に止めなよ。それに大体どれも三亀松のパクリじゃあねぇか。もう都都逸はやめた。俳句にしよう。」
喜「なんだい、俳句ってえのは?」
弥「俳句も知らねぇのか?『柿食えば鐘がなるなり法隆寺』なんて有名な句があるじゃあねぇか。」
喜「なんだかよくわからねぇなぁ。それがどうかしたのかい?」
弥「風流じゃあねぇか。」
喜「ふーん、そんなものが風流なのかねぇ。それじゃ『鐘の音、聞いたとたんに気絶した』てぇのは
どうだい?」
弥「お前こそわけがわからねぇじゃあねぇか。いったいそりゃなんだい?」
喜「エゲレスに手で殴りあいをする相撲があるんだってよ。これが軍配のかわりにゴングという鐘を
使うから、その音を聞いた途端に殴られて気絶するってぇ寸法だ。」(パチパチパチ)
弥「嫌な句だなぁ。いいや、もう俳句はやめだ。お前と一緒に旅なんかするんじゃなかった。
まったく何をやらせてもロクなことにならねぇ。まったくくだびれる。」
喜「しめた。300文よこせ。」(ドンドン)



64 :重要無名文化財 :02/05/15 02:29
こういうほのぼの系のパロディ噺は、里の筍氏の十八番だな。
安心して読める。

65 :重要無名文化財:02/05/16 15:02
柳ヤコさんのHNの由来の師匠がお亡くなりになってしまいましたね。
追悼というわけではありませんが、ヤコさんの作品が読みたいです。

66 :重要無名文化財:02/05/16 15:06
こういうの今見たら泣けてくる・・

67 :重要無名文化財:02/05/16 15:17
どうせなら笑って送ってあげたいものだ。
俺からも是非、ヤコ師匠の作品を。

68 :重要無名文化財:02/05/17 03:27
そう無理強いしても仕方がない。ヤコさんにだって都合があるんだし。
過去の作品でも読んで待とう。

五月病の時期とはいえ、やはりどことも忙しいんだなぁ。

69 :湖亭半弗:02/05/18 01:13
今回のお題は難しい!いつも難しいですがストーリーにつながらないんですよね。
ともかく、成り行きに任せてみます。
「都都逸」「ゴング」「カーネーション」ですね。

 何にでも、この、神さんちゅうのはいてるんやそうですが、例えばへっついさんに
でも神さんがいてる、その家自体にも神さんがいてる、八百万の神とはよぉ言うたもん
ですけんども。あんまり電化製品やとかに神さんがいてるとは思いたないもんで。
パソコンの神さん・・・意味が違うて参りますしね。でも、そう思てると物も大事に
扱おうという気にもなりますさかいに、気の持ちようちゅのはえらいもんですが。
人間にも1人1人神さんがついてるとか言います。背後霊、守護霊やとか、
大久保玲・・・、なかにし礼、一堂零、まま色んなんがいてますわ。
神さんとは違いますけど、守り本尊てなもんもあって、よぉ小さい時分に
「あんたの守り本尊は大日如来やさかいに、よぉ拝んどき」
てなこと言われた、あれなんかも似たような考え方やと思いますが、
今日はそんなんの出てくる御噺で。
ここに、1人の男の子がいてます。今日は母の日やっちゅうので、何か
母親へ買うてやらんなんちゅうので、小遣い握って出かけます。
勝「お母ちゃんに、何あげたら喜ぶやろ。商店街で母の日セールとかやってた
さかい、あちへ行てみよ。・・・わぁ、色んな店で売ってる。ケーキや、シュークリーム、
あかん、僕が食べたなる。最近お母ちゃん太り気味やし、参観日もあるし、
ここはやめとこ。・・・さすがに服やとか買うお金もないし、ちょっと公園で
なんぼあるか数えてみよ。」
公園へ行きますというと、ベンチの上で財布を取り出します。
子供ちゅうのは無邪気なもんで、誰が見てるかわからんとこでも
平気でお金ジャラジャラ見せて数えよりますが、
勝「100円玉3枚に、50円が2枚、10円玉が10、11か、5円もんが
8枚に1円が、2枚に、一ドル紙幣が2枚・・・、こら使えんから置いとくとして、
メダルが4枚も使えんから、また後で遊ぶとして・・・。552円。色々買えそうやけど、
やっぱりカーネーションがえぇかも。まず外れがないし。
よし!買いにいこ!」(パチパチパチ)
財布へジャラ銭を戻して、ポケットへ・・・入れたつもりやったんですが、
ポケットに入らずに、ベンチの下へ。


70 :湖亭半弗:02/05/18 01:13
気づいてないもんですさかいに、
夢中で花屋の前に行きます。ちょうどカーネーションが特売で、一本をきちんと
包装してあって500円としてある。下さいな、ちゅうてポケットを探しますが、
もう落としてますさかいになんぼ探してもない。
勝「あれ?あれ?公園ではちゃんとあったのに・・・。どこで落としたんやろ?」
必死になって探しますが、公園で落としてますさかいに、道々探しても見つからん。
男の子の方は、公園までは確かにあったという意識がありますさかい、まさかその公園で
なくしてるとは思わん、きっと商店街に落ちてると思て探します。
お昼すぎに家を出たのに見つからんまま、夕方。探し疲れて、公園へ戻って
参ります。
勝「・・・どこへ落としたんやろ。ここではちゃんとあったのに・・・。ここに
あるはずもないし、盗られてもたんかな・・・。」
寂しい公園で、1人で悲しうなって泣いてますのんを見ておりますのが、
守り本尊の仏さん。早いこと助けてやれば良かったんですけども、
そう簡単に手助けは出来んちゅうので見守っておったんですけども、
さすがに可哀想になって、
仏「さすがに可哀想じゃの、母親思いのええこじゃのに・・・。声を掛けて
知らせてやりたいが、このままでは見えんしな・・・、えぇい、そこの
石像へ。」
ちゅうて仏さん、公園の中にある、動物をかたどった石像に乗り移ります。
仏「今までフワフワしてたんが、ゴツゴツするから、何やしらん、
重いわぃ。これ、そこの男の子。」
勝「わっ、サルの石が喋った!」
仏「こんな格好ですまんが、わしゃお前の守り本尊じゃ。」
勝「ま、守り本尊?」
仏「言うてみれば、ま、権化じゃな。」
勝「ゴング?サルさん、プロレスラー?」(パチパチパチ)
仏「ゴングやない、権化・・・分からんかなぁ、うーむ、早い話お前の用心棒じゃ。」
勝「また固い用心棒やね。」
仏「それはともかく、何か困っておるのじゃろ。」
勝「え?うん・・・実は・・・僕の財布がなくなって、母の日やのに
何も買ってあげれん。」
仏「・・・お前は『灯台下暗し』というのを知らんかの?」
勝「?・・・都都逸?」(パチパチパチ)
仏「そんな短い都都逸があるか、余計な事は知っておるな。
つまり、案外近くの物には気がつかぬということじゃ。」
勝「それが・・・何?」
仏「周りを探してみるとよかろう。必ず見つかるはずじゃ。それではわしは行くぞ。」
勝「あ、サルが去る!」
仏「しょうもないことを言わんと早う探さぬか。花屋も閉まってしまうぞ。」
サルの石像が言うとおりに座ってたベンチの辺りを探して見ますと、
財布が出てくる。もう嬉しいの何の、急いで花屋へ行ってカーネーションを買うて
まいります。
勝「お母ちゃん、はい、母の日のプレゼント。」
母「ま・・・、こんな時間まで遊びに行って、どこまで行ったんやろと思ってたら、
この子。まぁ、きれいなカーネーション。ありがとう。そんな遠いところまで
買いに行ってたん?」
勝「うぅうん、買うたんは商店街やねんけど、財布なくして捜しててん。」
母「まぁ、そうかいな。で、見つかって買うてくれたんやね。」
勝「それが不思議やねん。公園でなくしてんけど、サルの石が動き出して
財布の場所教えてくれてん。」
母「ま、面白い子。猿の石像が動くかいな。」
勝「ほんまやて、守り本尊のゴングとか言うてたもん。」
母「あら・・・そやったらほんまかも分からんね。この子の守り本尊が
サルになって助けてくれるやなんて、母の日やからかしら。」
勝「うーん、今日は母の日やけど、きっと『ヒヒの日』なんや。」
ドンドン


71 :重要無名文化財:02/05/18 13:18
米朝師匠の口調でこれ、聞いてみたいなぁ。
「サルが去る!」とかくだらないのを絶妙の笑いに変えてくれそう。

72 :重要無名文化財:02/05/18 16:28
そうだね。やはり半弗氏は米朝風が上手い。

73 :柳ヤコ:02/05/18 23:19
ただいま執筆中。ちょっと待っててくださーい。


74 :重要無名文化財:02/05/19 00:01
楽しみにしてやすぜ、ヤコ師匠!

75 :柳ヤコ:02/05/19 00:56
『試し都々逸』  (カーネーション・都々逸・ゴング)

上「おい、清蔵さん。そこ行くのは清蔵さんじゃないかい」
清「あ、上総屋の旦那。こねぇだはご馳走さまでごぜぇやした」
上「いやぁ、あのときは驚いたよ。五升の酒を呑んじまったんだからな。
  どうだい、これからウチに来て、もう一勝負しないかい」
清「あれまぁ。またあの酒、呑ましてくれるかね」
上「いやいや、酒で勝負したら勝てやしないよ。もっと違うものだ。どうだい?」
清「はぁ、ちょっくら待ってくだせぇやし。旦那に聞いてみるだよ」
上「そうかい?じゃぁ近江屋さんまで戻って、聞いてきてくれるか」
清「そォだなことはしなくてもいいだヨ。今は携帯電話っちゅう便利なものが
  あるからねェ、うちの旦那にかけてみるだ」
上「なんだい、お前さん携帯電話持ってるのかい?世の中進んだもんだな」
清「あに言っとるだ。今どきケータイなんて誰でも持ってるだ。落語で携帯電話の
  仕草って、おめェさま知っとるだか?こう手拭いを折ってな、間に扇子を
  はさむだよ。電話ァかけるときは、はさんだ扇子を引っぱり出してな、
  これがアンテナになるだ」
上「そんなのイチイチ説明しなくてもいいよ」
清「あーもしもし、旦那けェ?いま上総屋の旦那が勝負しろ、っちゅうてるんだ
  けんど、行ってきてもええかね?あァ?あーそうかね、んではちょっくら
  行ってくるだ。・・・上総屋の旦那、お許しが出ましたで、はァ行きますべェ」
上「そうかい、よかったよかった。さぁ上がって上がって。こないだは酒のほうも
  驚いたけど、あの時にお前さん、都々逸をいくつか言ってただろう?
  だからね、きょうの勝負は都々逸でいこうと思うんだけどね」(パチパチパチ)
清「はぁ、都々逸かね。そォだな勝負はやったことねぇけどねェ、こねェだ
  ご馳走になっとるからねェ。じゃぁ受けて立ちますだ」
上「そうかい、受けてくれるか」

76 :柳ヤコ:02/05/19 00:57
清「どんなふうに勝負するかネ」
上「うん、もうすぐサッカーのワールドカップがあるだろ?あれに出る国を
  あたしが一つずつ言うから、それで都々逸を作っておくれ。
  5つ続けて作れたら、お前さんに小遣いをやろう」
清「ははぁ、ワールドカップかね。えかく難しげな勝負だねェ。まァええだ、
  さっそく始めてみますべェか」
上「よし、では始めるよ。カァーン!」
清「だァさま、今の音は何かね?」
上「これはゴングと言ってな、試合開始のときに鳴らすものだ」(パチパチパチ)
清「いろんなものォ持っとるだねェ」
上「じゃぁまず最初は、スウェーデンでいこうか」
清「おやおや、スウェーデンかね。ウーン・・・、じゃぁこういうのはどうかね。
  『スウェーデン娘が誘惑すれば、スウェーデン喰わぬは男の恥』って、どうだ」
上「ほほぅ、こりゃ面白い。据え膳喰わぬは、ときたか。では2つ目だ。
  こんどはドイツだ」
清「あァ、こんなのはすぐ出来るだよ。『ワールドカップで外人がいっぱい、
  どいつがドイツだかわからない』」
上「そりゃ確かにわからないかも知れないなぁ。じゃぁ3つ目は、ロシアだ」
清「『ロシアの娘がこっちを見てる、モスクヮしたらと気が揉める』ってどうだネ」
上「なんだい、なかなか色っぽいのを作るじゃないか。うーむ、お前さんもなかなか
  やるねぇ。それじゃ4つ目は、韓国だ」
清「ははぁ、だんだん難しくなってきただねェ。それじゃァ『辻本清美が韓国行って、
  応援しました「ソウル!ソウル!ソウル!」』ってのはどうだァ」
上「なんだか強引だね。まぁいいだろう。ではいよいよ5つ目だ。中国!」
清「中国ねぇ。『中国選手が骨折すれば、ペキンペキンと音がする』、どうだ!」
上「おやおや、5つ出来ちゃった。あたしの負けだ、約束通り小遣いをあげよう。
  どうだい清蔵さん、もうひと勝負しないかい」

77 :柳ヤコ:02/05/19 00:58
清「だァさま、勘弁しておくんなせェ。おらァこれから出かけなきゃなんねェだ」
上「そうか。どこに行くんだい」
清「これから小さん師匠のお葬いに行くだよ。いただいた小遣い、これ香典にしても
  ええかネ」
上「あぁそういうことか。あァいいとも、使っとくれ使っとくれ。おや?そういえば
  清蔵さん、花束も持ってきているんだね」
清「あァ、これはカーネーションの花束だよ。お供えするだ」(パチパチパチ)
上「カーネーション?それは『母の日』だろう?」
清「いやァ、小さん師匠にはずいぶんと笑わせてもらっただからねェ。
  きょうは『ハハハハの日』だ」

    ドンドン


78 :重要無名文化財:02/05/20 00:06
最後に小さん師匠を持ってくるところが心憎い。
ハハハハの日・・・。

79 :sana亭omi:02/05/20 20:43
>だァさま
・・・うぅ・・・

80 :重要無名文化財:02/05/20 23:25
>sana亭omiさん
泣かずに笑って読もうよ。
小さん師匠の為になる。

81 :主催者:02/05/21 03:40
すいません、たくさんの作品ありがとうございます。
明日、まとめて感想と次回御題取りを始めます。お待ちの方、ごめんなさい。

82 :重要無名文化財:02/05/22 00:45
AGE

83 :主催者:02/05/22 01:02
それでは感想を書かせていただきます。

菊亭艶馬さんの>>60の作品は落語とはいえないようですが、それでも
噺には起承転結があって、御題も上手に使われていると思います。
もし次回お書きになるならば、(パチパチパチ)やドンドンなどの
ルールをお守りくださいね。

次に、鉄棒勇助さんの>>61「マタギは歌手になれるか(仮)」は、
やはりいい味を出しておられます。「兼庄ん」の使い方はお見事だと
思います。湯布院とウィーンのギャグはあの「男はつらいよ」の中
でも使用されている秀逸なものですね。兼庄の息子のあてにならなそうな
「りずむかん」という誉め言葉がたまらなく面白かったです。

次に筍さんの>>63「二人旅」ですが、弥次北を持ってくるとは思いませんでした。
江戸の旅噺は八・熊が相場ですが、逆に新鮮で「三人旅」の要素を上手くなぞって
独自の笑いを生み出しています。『鐘の音、聞いたとたんに気絶した』で
ゴングを持ってくるくだりが好きです。とぼけた感じを小三治師匠に
やっていただきたいと個人的に思いますね。

半弗さんの>>69-70「猿の守り本尊(仮)」は地噺を基本とした現代の
御話しですが、勝君の純粋な部分がクスッという可笑しさを呼び、
守り本尊の仏様と猿の石像のギャップがまた面白いですね。
「?・・・都都逸?」の使い方が、前もって勝君の性格づけが十分に
してあるので、違和感なく読めます。

そして、ヤコさんの>>75-77「試し都都逸」は、言うまでもなく名作「試し酒」
のパロディですが、江戸情緒と現代の内容が入り混じって不思議な作品に
仕上がったと思います。ワールドカップの参加国での都都逸、据え膳喰わぬは、
などくすぐりがはまっています。突然、小さん師匠のご葬儀になりますが、
ヤコさん風の愛情が伝わってきました。「ハハハハの日」はしんみりしてしまいました。

重ねまして、柳家小さん師匠のご冥福をお祈りいたします。

さて、それでは、第十九回御題取りを開始いたします。
例によって、一レスにつき一単語でお願いします。
それではたくさんのご参加お待ちしております。


84 :主催者:02/05/22 01:04
省略されてしまいましたので、再度申しますが、

これより、第十九回御題取りを開始いたします。
例によって、一レスにつき一単語でお願いします。
それではたくさんのご参加お待ちしております。


85 :重要無名文化財:02/05/22 01:44
牛乳

86 :重要無名文化財:02/05/22 01:53
Aチーム

87 :重要無名文化財:02/05/22 03:23
かたつむり

88 :重要無名文化財:02/05/22 03:54
しゃもじ

89 :重要無名文化財:02/05/22 15:46
脹脛

90 :重要無名文化財:02/05/22 18:28
現在地

91 :重要無名文化財:02/05/22 19:03
雨漏り

92 :重要無名文化財:02/05/22 19:17
トランプ

93 :主催者:02/05/22 23:50
たくさんの応募ありがとうございます。
それでは、第十九回御題の発表です。
「Aチーム」「しゃもじ」「雨漏り」の三題です。
「かたつむり」「雨漏り」この時期どちらがいいかと思いましたが
雨漏りは滑稽な感じがしたので。
「Aチーム」は幅広い使い方が期待されそうなので決めました。
「A(あ)チーム」かもしれませんし、「A(エース)チーム」かもしれません
し、色々こねてみてください。

それではたくさんの作品お待ちしております。


94 :重要無名文化財:02/05/23 23:46
待ち遠しいです
どなたかスレすれ

95 :前スレ亭ごじゅういち:02/05/24 17:25
えー、伝芸亭第19回三題噺の会、ただいまから開演でございまして、
お後お楽しみの上、ますは「ごじゅういち」で軽〜く一席お付き合い申し上げます。
「ごじゅういち」と申しますと、シアトルやアリゾナの方のモノ凄い方々を
思い浮かべておられるお客さんもいてはるんやないかとは思いますが、
私の方は……こんなもんでございまして、誠に申し訳ないようなことで。
この会へ出していただくのは、ほんに久しぶりでございまして、
前回は、ちょうど去年のプロ野球日本シリーズの真っ最中。
某関西の球団の監督のお噂を申し上げたわけでございますが、
まさかこんなことになるとはねぇ、あの時点では予想もできんかったようなことで…

部下「オーナー、やりましたなぁ。今回の監督人事は大成功でっせ」
オーナー「ダァーハッハッハッハ! そうじゃろ? そうじゃろ?
     熱い監督に必死な選手。やっぱり日本のスポーツはこれに限る。うんうん」
部「テレビ中継の視聴率も下がり気味のこのご時世。うちの活躍が野球を救う、とまで
  言うてる人もいてるぐらいで、ホンマにえぇチームになりましたなぁ」(パチパチパチ)
オ「連休の時期も終わったというのにまだ貯金に余裕があるやなんて、見違えるとはまさに
  このことじゃな。しかしなぁ、あの監督。チームを強ぉしてくれるのはええんやが、
  我々としてはちょっと頭の痛いところがあるのじゃ」
部「といいますと?」
オ「前の監督は再生工場とか言うて、安い選手でなんとかやりくりしてくれとったじゃろ。
  それが、今度の監督は…思てた以上にハッキリと余所の高い選手を欲しがるのじゃ。
  シーズンの途中とはいえ、いつ何時また監督に要望を出されるかわからん。
  その時はうまいこと対応できるように、君も準備に余念のないようにしっかり頼むで」

てなことを言いながらこの二人、何とか監督の要望に沿えるようにと必死でございます。
資金面から選手の練習環境に至りますまで、球団をあげてのサポート。
そんなところへチラチラと聞こえてくるのが監督の要望の中身ですな。
フロントに近いコーチの一人なんぞから御注進がございまして、監督、打撃コーチの
大の親友が率いる赤いヘルメットのチームの選手にどうやらターゲットを絞ったらしい。
さぁ、そうとわかれば改めて準備を、と意気込む二人でございます。


96 :ごじゅういち:02/05/24 17:25
部「オーナー、何ですな? このドデカいしゃもじは?」(パチパチパチ)
オ「どうじゃ、えぇじゃろ? ワシの特注品じゃぞ」
部「特注品て…こんなもん何の役に立ちますんで?」
オ「ワシも何とか監督の要望に応えようと思うてな、ふと思い出したのが、
  夏の甲子園のアルプス席や。あれでピンときたな。で、急いで注文したんやが
  日本のメーカーもまだまだやなぁ、ミズノもゼットもSSKも全然頼りにならん」
部「当たり前ですがな! そんなもん作ってるメーカーがどこにおますかいな」
オ「ところがな、流石はベースボールの国じゃな、アメリカにはあった。
  見てびっくりするなよ。どうじゃ、このロゴマーク!」
部「……『へ』でございますか?」
オ「へ?」
部「ひらがなの『へ』と違いますか? これは」
オ「馬鹿もん! そんなことも知らんのかね、君は。これはナイキと言うて」
部「オーナー…オーナー直々のお心づかいはありがたいのですが。
  向きが逆な上に、手書きの油性インクがしゃもじの木目に滲んで
  これでは毛虫か何かにしか見えまへんで」

選手「ごめん下さいませ」
部「はいはい、どちら様で」
選「私、ある事情で、某球団をクビになった者でして。今度、こちらのチームで
  お世話になれないものかと思い、伺ったんですが」
部「トレード志願者かいな…これもうちのチームが世間から再評価されてる証拠やな。
  で君、名前は?」
選「雨森と申します」(パチパチパチ)
部「雨森くんね、よろしいプロフィールを述べてみなさい」
選「雨森弥助。滋賀県出身。こちらのチームのルーキー浅井さんには、地元の高校の
  野球部時代に後輩としてお世話になりました」
部「ほう、君は浅井の知り合いかね?」
選「はい。浅井家でプレイするときには、なかなか使える武将として重宝するかと」
部「君…その手の話は三国志・戦国板へ逝った方がええのと違うか?」
選「板違いでしたか?」
部「そうかモナー」
オ「お前らは何の話をしとる。そんなことよりも、選手としての実績は?
  それがわからんことには…」
選「はい、二軍のウェスタンリーグで最優秀防御率のタイトルを2回頂きました」
オ「立派なもんやないか。そんなヤツをクビとは何でまた?」
選「はい、我ながら二軍ではそれなりの実績を残したつもりなんですが、
  監督さんやコーチにどれだけ直訴しても一軍に上げてもらうことができず、
  『うちのチームに君は会わないんだよ』と何度言われたかわかりません」
部「かわいそうになぁ。それで、君が前におったチームというのはどこかね?」
選「それはですね…」

思いつめた表情でこの雨森くん、脇に抱えたバッグからボロボロになった帽子を取り出しますと、
そこには昔に比べるとずいぶん地味にはなったもんでございますが、「爆発だ!」でお馴染みの
あの芸術家がデザインしたマークが…

オ「ほぉー、わからんなぁ。あそこは今のうち以上にピッチャーで苦労しとるはずや。
  にもかかわらず、君みたいな前途有望の若者をクビにしてしまうとは…」
部「オーナー、これは道理ですわ」
オ「道理て、この子がクビになって当たり前やと言うのか?」
部「そうですがな、向こうさんは本拠地が大阪ドーム。アマモリは御法度でございます」

ドンドン

97 :重要無名文化財:02/05/24 17:56
うおっ!!ごじゅういちさんだ!
懐かしい。

98 :ごじゅういち:02/05/24 18:12
懐かしがってもらえるとは嬉しいやら恐縮するやら>97さん
名無しに戻ってお題出したり感想書いたりする側に戻ってましたが、
このお題見たら出てきてしまいました。

ついでと言いますか、>>95の2行目、
>軽〜く一席お付き合い「をお願い」申し上げます。
に訂正します。改行レイアウトの推敲しそこねでございます。

99 :重要無名文化財:02/05/24 18:19
前回は月亭八方ベースだと記憶しているが、今回もかな?
今は常連の方々が忙しいみたいだから、期待してまっせ。

100 :重要無名文化財 :02/05/27 03:02
とりあえずage

101 :重要無名文化財:02/05/29 03:07
「Aチーム」「しゃもじ」「雨漏り」

A「テニスしようぜ」
B「やろう、やろう。」
A「じゃ、うちのAチームは八人ね。」(パチパチ)
B「テニスでしょ?八人もいらないよ。」
A「テニス八人卓球二十八人って言うじゃない。」
B「そんなの言わないよ。」
A「じゃあ、二人でやろうよ。」
B「そうしようか。」
A「ダブルス組もうよ。」
B「対戦相手は?」
A「壁で。」
B「壁打ちなの?せっかくやるんだからさ、二人で戦おうよ。」
A[じゃあ、はい、しゃもじ。」(パチパチ)
B「ラケットでしょ、持ってるよ。」
A「しゃもじしかないよ。」
B「ホントにしゃもじ持ってきたの?じゃあ貸してあげるよ。」
A「十一でね。」
B「そんな。いいよ、友達同士だし。」
A「僕なら十一にするけどね。」
B「やなこというね。」
A「あ、この屋内コート、雨漏りしてるよ。」(パチパチ)
B「それより、外、雨なのにテニス誘ってたの?」
A「そんなことより雨漏りだよ。」
B「ホントだ。困ったね、屋内なのにぬれちゃうよ。」
A「青春だね。」
B「君、プラス思考だね。」
A「傘さしてやろう。」
B「傘差してテニス出来ないよ。」
A「じゃあテニスをやめよう。」
B「ここにいる必要なくなるよ。」
A「じゃあ傘をお猪口にして、雨漏りを防ごう。」
B「バイト代出るのかな?」
A「出ないよ。」
B「出ないの?」
A「だって、通常業務から、漏れた仕事だから。」

どんどん


102 :重要無名文化財:02/05/29 21:53
       ,,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,
     /、 |l|l l|l| / ゙ヽ、_
    /  、ヾヾ川川 //  ヽ
   / ミン゙        ヾニ ヽ
   /;;::           :::;;;;  |
  /彡:           :ミニ l
  | 彡,.三ニ=、  ,.=ニ三、 :ミ三 |
  ヽ /シ.-ー .;  :.. ー-,ッ ヾ ,.l
    i   ̄ _{  }__  ̄   Y l
    ヽ  ,.`-、_,-‐'ヽ、  / } 〉
    i`‐'/ ,=ニニ=、 ー  i_/
     i i <‐l‐l‐l‐l‐> ;  |   <座布団一枚やっとくれ>
     ヽヽ `ニニニ' /  /
      ヾ、_`  ´ ノ_,/        



103 :ごじゅういち:02/05/29 22:42
>>101
シュールですなぁ。

>ここにいる必要なくなるよ。

この雰囲気が何とも言えない。今までになかった作風かな?
新鮮でおもしろかった。

>>99
すんません。レスに気付かなかった。
基本的に八方想定でもいいんだけど、サゲがわかってから
都丸or仁智想定で読んでみるのもまた一興かと。


104 :sana亭omi:02/05/30 21:47
「Aチーム」「しゃもじ」「あまもれ」で、

熊 「おーい、八、・・・八公ー、・・・こら、八の字っ」
八 「なんだこの野郎!」
熊 「おっ、怒っているな。どうした?」
八 「俺は機嫌よく歩いていたんだよ。それをおまえが、八ィ?八公ゥ?
   まあ、そこまでは良いとしてだ、
   俺は八五郎って親がつけてくれた名前があるんだ。
   八の字ってのは何なんだ?『の字』ってのは何なんだ?」
熊 「そんなことで怒っているのか?
   よくやるじゃねぇか、友達どうしで名前の始めに『の字』を付けて呼ぶのは。」
八 「そうかぁ、ちっとも知らなかった。」
   それじゃあ、おまえは大工の熊だから、大の字っていうのか?
   そういや、そんな格好でよく寝ているところを見るな。」
熊 「ああ、俺は男っぽいから、寝る時はいつも大の字だ。」
八 「よせやい、おまえが大の字で寝ているのは
いつも酔払っているときの道の真ん中だ。
   普段は家でも仕事場でもひざを抱えて隅っこにいるじゃないか?」
熊 「よせよ。」
八 「しかも、おまえが大の字で寝るほど酔うときは大抵は人のおごり酒だ。」
熊 「やめろって。
   俺が大の字なら、おまえは左官の八五郎でしゃの字ってことになるな。」
八 「なに?」
熊 「しゃのじ・・・(パチパチ)
   ところで、いまからどこかへ行くのか?」
八 「白壁町で、左官の第三組合の寄り合いがあるんだ。」
熊 「第三?そんなに数が多いのか?」
八 「いや、数はそんなに多くないけど、
   腕のレベルが違うから話題が合わないんだよ。」
熊 「そういや、俺達も大工から大八、大七ってランクがあるからな。
   一番腕の立つのはやっぱり第一組合の連中か?」
八 「そう、通称Sチームだ。」
熊 「S?すごいな!スペシャルかなんかか?」
八 「違う。『職人並み』ってことだ。」
熊 「一番腕が立ってやっと『職人並み』か?じゃ、第二組合はなんだ?」
八 「通称、Aチームで、アマチュアクラスなんだ。」(パチパチ)
熊 「おまえ、さっき第三組合って言わなかったか?
   なんか聞くのが恐くなっちゃうな。おまえ、アマチュアチームにも入れないのか?」
八 「・・・だから、『アマもれ』チームなんだ。」(パチパチ)
熊 「さっき、おまえの事をしゃのじって言ったけど、
   スマン、俺が間違っていた。
   しゃもじなんて、とんでもない!
   おまえには未だ、飯はついてまわらない。」

ドンドン

105 :主催者:02/05/31 03:21
感想がいつも飛び飛びになって申し訳ありません。
最近謝ってばかりですが、明日にまとめて感想を書かせていただきます。
しばらくはこの御題で続けたいと思いますので、常連・新人の皆様の
知恵を振り絞った作品、お待ちしています。
今日はこの辺で失礼を致します。

106 :主催者:02/06/01 02:34
それでは感想を書かせていただきます。

まず、前座を務めていただきました、お久しぶりです、
ごじゅういちさんの>>95-96「雨森弥助(仮)」(タイトルが内容を
裏切るというのもアリかと思いまして。「干物箱」みたいに。
ですが、関西球団のオーナーと部下が久しぶりにいい味を見せていますね。
「ダァーハッハッハッハ!」「立派なもんやないか」という口ぶりが
八方師匠を彷彿とさせますが、おっしゃるとおり都丸師匠や仁智師匠でも
面白おかしく演じてくれそうな野球噺ですね。しゃもじの使い方が
野球とのからませ方が強引で面白いです。

>>101の匿名さんの「屋内テニス(仮」はまるで新鋭の漫才でも見るような
シュールな作品です。ツッコミの人もきつくつっこむのでなく、さらりと
流したり、やんわりうけたりと面白いですし、AのボケもBを置いてきぼり
していて、不思議なおかしさがありますね。「青春だね」の返しの
「君、プラス思考だね。」がはまりました。

sana亭omiさんの>>104「左官第三組合(仮)」は職人の組合という
着眼点が面白いと思いました。「の字」をサゲに生かしたのも
良かったと思います。「しゃの字」「アマもれ」と強引に持って
いったのもいい方に転がって、この作品のスパイスになったと思います。
この理屈でいく「幇間衆」なら「ほの字」なんでしょうか(笑

しばらくこの御題を続けますので、たくさんの作品を
お待ちしています。また読者の方のご感想も随時お待ちしております。


107 :sana亭omi:02/06/01 19:27
>主催者さん、

毎度ながら、しゃれた命名ありがとうございます。
「左官第三組合」でお願いします。
おんの字です。

>「幇間衆」なら「ほの字」なんでしょうか
さすがですね。

客や芸者衆にほの字にならずに、ビジネスライクに仕事を進めるのが
第一幇間組合で、通称「大太鼓チーム」
すぐに関係者にほの字になるのが
第二幇間組合で、通称「小太鼓チーム」というのは常識ですが、
大太鼓チームの方が、
人間関係における罪が大きいので
「バチ」に当たる率が多いみたいです。

因みにですが、誤解なきように申し上げますが、
「おんの字」とは、乳母さんの事ではありません。


108 :sana亭omi:02/06/01 20:07
さらに、
雇い主の「息子」を気にかけるのが第一乳母組合で、
雇い主の「ムスコ」の事情が気になってしょうがないのが
第二乳母組合です。

109 :里の筍:02/06/02 02:15
昨今は温泉ブームとかいいまして、若い女性なんぞも「もう海外旅行もあきたし、お湯につかって心を
癒そうかしら。」なんてあちらこちらにお出かけになるそうで、そんな結構なものならばあたしもご一緒
したいもんですが、一向にこお声がかかりませんな。なかなか世の中はままならないもんでございます。
あと秘湯探検っていうんですかね、人の行かない山の奥まで行ってシャベルで穴を掘って、出てきた泥水
につかって悦にいってる方もおられるようですが、これはどうもご一緒したくございません。
まあ日本人が風呂が好きなのは今に始まったことではないようで、中には熱い湯に入るのを自慢すると
いう変な見栄をはるかたもあるようでして。

八「おめぇ、湯は好きかい?」
熊「誰に向かって口を聞いてんだい。俺りゃ湯が好きで好きでしょうがねぇ。湯が入ってるっていえば、
そこいらの地びたに穴があいててもすぐに飛び込むくらいだ。」
八「へぇー、おめぇがそんなに湯が好きだとは知らなかった。ところで俺の知ってる湯があるんだが、
これがちょいと熱いんだが一緒にどうだい?」
熊「なにー、湯が熱い。何を抜かしゃぁがる。湯なんてものはな、昔から熱いと決まってるんだ。
石川五右衛門は油で釜茹でになったそうだが、俺もいちどそんな思いをしてみてぇと思ってるくらい
だ。」
八「ほう、たいそう威勢がいいなぁ。でも普通の素人じゃあとっても我慢できないくらいとっても熱いん
だぜ。それに湯の主がいて、水なんかでうめようもんならどやしつけられるからな。」
熊「ふざけたことを言うんじゃあねぇ。そんな野郎はこちらからどやしつけてやる。」
八「そうかい。それじゃあどうだい、賭けをしねぇか?」
熊「なにをどうするんだ?」
八「おめぇが湯につかって十まで数えられたら一分出そうじゃあねぇか。」
熊「そりゃありがてぇ。」
八「そのかわり十までもたなかったら、おめぇが俺に一分寄こすんだ。」
熊「いいとも、それじゃもう勝ったようなもんだ。さあ一分出せ。」
八「まあ、待ちねぇ。勝負は時の運だ。どっちが勝つかはまだわからねぇぜ。」
熊「俺の勝ちに決まってらぁな。さぁ、早く行こうぜ。」
八「それじゃあ連れてってやるけど、びっくりして湯の中に小便なんぞ漏らすんじゃないよ。」

熊「これがそうかい?ずいぶん古くて汚い湯屋だねぇ。雨漏りがしそうじゃあねぇか。」(パチパチパチ)
八「なんせ東照大権現様が江戸にお移りになった時にできたものだそうだから、時代がついてらぁな。」
熊「まあ、そんな能書きはどうでもいいや。さっそく入るぜ。」
八「ちょっと待ちねぇ。この湯は水で薄めるのはご法度だけど、そっちにしゃもじの化け物のような奴が
あるだろ。それでかき混ぜるといくらかは入りやすくなるから。」(パチパチパチ)
熊「何を言ってやがる。そんなものの世話になるようなお兄いさんとお兄いさんが違う。ほれ、下帯を
くるくるっと取ってドボンと飛び込みゃぁ...」
八「おい、いきなり飛び込んで大丈夫かい?」
熊「いち、にー。あちー、むー、わー!」(パチパチパチ)
八「なんだい、口ほどにもない。入った途端に飛び出しぁやがって。さぁ一分寄こせ。」
熊「わかった、金は後で払うよ。それにしてもおめぇ、これじゃ火の中に飛び込むようなもんだ。体中
火傷しちまわぁ。」
八「だから言っただろ。この湯は素人じゃちょいと荷が重いって。」
熊「俺もたいげぇの湯は大丈夫なんだがなぁ。それにしてもあっちの爺さんはさっきからじっと入った
きりで動かねぇな。まさか、めぇってるんじゃねえだろうな。」
八「馬鹿なことを言うんじゃないよ。あの人が藤佐衛門さんといってこの湯の主だ。」
熊「なに、土左衛門?どうりで漬かったきりだ。」(ドンドン)


110 :重要無名文化財:02/06/05 06:23
>109
誰か里の筍さんに
座布団一枚やっとくれ

111 :湖亭半弗 :02/06/06 02:48
秀作揃いとはこのことですね。すごいなぁ。
では、私も負けずに、
「Aチーム」「しゃもじ」「雨漏り」ですね。

 今はどこへ行てもコンビニやとか100円ショップやとかで何でも安ぅに
手に入りますが、昔は昔でよろず屋てなもんがあって、それはもぅ当時の
こってすけんども、何でも売ってた。「一力」と書いて「万(よろず)」と
読ますような店もあって、あれ、万をこう上下に分解すると一力になる、
昔の人は洒落てましたな、言葉一つにしてもえらいもんですが、そういうのも
あった。まぁ、中には金ダワシから骨董品まで色々あって、ちょっと主人が
変わりもんで。あんまり真面目な人はこういう何でも屋はよぉやらん、ちょっとすっとぼけたような
変わった人がやってまして。
男「おい、お前んとこで八厘で買うた七輪、もうつぶれたで。」
主人「ほな、今度は七厘で八輪買うとくれ。」
男「けったいやなぁ。八輪って何や?」
主人「ミニカー二台や。」
まま、色んな商売があるもんで。

男「ごめん。」
主人「謝るねんやったら、すんません言え。」
男「違うがな、邪魔するでちゅうてるねやがな。」
主人「邪魔するねんやったら帰っとくれ。」
男「分からんかなぁ、客やがな。」
主人「何や、客かいな。いらっしゃい。」
男「今更いらっしゃいやあるかいな。あんたん店、『一力屋』ちゅうねやな。」
主人「そうやな、一力、よろず何でもありますちゅうやっちゃ。」
男「いや、冷やかしに来た訳やないねやがな、何ぞ掘り出しもんでも
あれば買うて帰ろかと思て。」
主人「ほな、この芋買うとくれ。まけとくわ。」
男「ほんまに掘り出しもんやな。芋はえぇわ。」
主人「ごぼうに大根てなもんも置いてるけどな。」
男「いや、もう野菜はえぇわ、何ぞ変わったもんはないかぃ?」
主人「ほな、それ、みてみぃ。」


112 :湖亭半弗 :02/06/06 02:48
男「客を指で動かしよるな、あんた。え?お、これはまたえぇスチームアイロン
やがな。」(パチパチパチ)
主人「えぇやろ、なんぼで買う?」
男「そう焦りないな、見せてもらわななぁ。よ!ふん!お!おやっさん、あんた
これ持ち上がらんがな。」
主人「中に水銀入れてあるさかいな、勝手に持っていかれんように。」
男「そら重いはずや。これ、中身水銀抜いて水入れたら使えるかなぁ?」
主人「さぁ、運試しに買うてみんかいな。」
男「アホらし、高い銭出して誰が使えるかわからん水銀入り買うかいな。
他は・・・、この銛(モリ)はえらい軽そうなモリやな。
もっとモリちゅうのは海の男が持っててごついのんと違うかぃ?」
主人「そら海女さん用や。」
男「海女銛かぃな、これ。(パチパチパチ)道理で軽いはずや。・・・今度
皆で海へ行くさかい、これならわしでも使えそうやな。これなんぼや。」
主人「それと、この金ダライがついて、千円や。」
男「こんな大きな金ダライ、抱き合わせでいらんで。」
主人「アマモリには受け皿がいるやろ。」
男「うまいこというてるな。まぁ、ちょっと考えとくわ。他には・・・、
大きなしゃもじやなぁ。こんなん掬える釜あるんかいな?」(パチパチパチ)
主人「風呂釜で飯たきゃすくえるじゃろ。」
男「そんなアホな言誰がするかいな。そんなようけ食えんがな。」
主人「せやけど、物はえぇねやで。しゃもじで有名な宮島のもんや。
それ相撲取りが一組、こないだ買うて帰ったで。」
男「へぇー。やっぱり関取は食べる量が違うねやな。」
主人「ところが、三日ほどして、返しに来たな。」
男「物が悪かったんかぃ?」
主人「いや、宮島もんやで、飽き(安芸)が来たらしい。」
男「そんなしょーーもないこと言うてんと、もうちょっと変わったもんは
ないかぃ。」
主人「品もんだけやないで。色々修繕やら、頼みごとやとか何でも
やるでな。そこの口上から先が出来るもんや。」


113 :湖亭半弗 :02/06/06 02:49
男「こうもり傘の張替え、鼻緒直し、色々出来るねやな。」
主人「手先は器用じゃでな、たいていは出来る。」
男「この七番目の『Aチーム』ちゅうのは何や?」
主人「野球の助っ人や。わしが出たら絶対勝つ。」
男「そんなんまでやるんかぃ、あんた。達者やなぁ。」
主人「打率七割やぞ。」
男「へぇー、そらすごい。後の三割は。」
主人「全部見逃しや。」
男「ふぅん、みな見逃し三振か?」
主人「ちゃうわぃ、相手ピッチャーが打たれ疲れて可哀想になるさかい、
見逃したるんや。」
男「余裕やなぁ。ほんで・・・、この『しゃもじ承ります』ちゅうのは?」
主人「老人ホームで食事の介護やな。」
男「あんたが入るような年やろがな。そんなんまでやるか?」
主人「お年寄りはご飯よそうのも大変なもんや。多すぎたら見ただけで
食べる気なくすし少なかったらひもじい時代を思い出すし。」
男「戦後生き抜いてきた世代やからなぁ。ほんで、その次が『雨漏り』。
あぁ、これは修繕やな。」
主人「何を言うねや、穴空けにいくねや。」
男「穴空けにいく?そんな酔狂な家あるんかいな?」
主人「あるある、雨の日に嫌な客が来た時とか真上に空けてくれちゅうて。」
男「ほぉー、なるほどな。」
主人「欠陥家屋やちゅう事にしたいからっちゅう注文もあるしな。」
男「いや、いくらなんでもそら詐欺(鷺)やろがな。」
主人「なぁに、わし(鷲)がやるねや、抜かりはないわい。」

ドンドン





114 :重要無名文化財:02/06/06 19:01
駄洒落とそのまま単語と二度おいしい話だ。

115 :sana亭omi:02/06/07 19:18
楽しませてもらいました。

>飽き(安芸)が来たらしい

返品した時期は、
海水浴のシーズンが終わる「秋」ごろですかね?


116 :重要無名文化財:02/06/07 23:50
>主人「お年寄りはご飯よそうのも大変なもんや。多すぎたら見ただけで
>食べる気なくすし少なかったらひもじい時代を思い出すし。」

うちの爺さんが正にこれ。リアルで笑った。



117 :重要無名文化財:02/06/08 00:52
sana亭omiさんが作家ながら、きちんと感想を書いてらして好感が持てます。

118 :重要無名文化財:02/06/08 07:18
>117
同感です
わたしも好感がもてます

119 :重要無名文化財:02/06/08 17:51
よく投稿HPで、感想も作品も作家の常連達が書いてて馴れ合いのところが
あるけど、ここは作家さんが感想を書いても普通に感じるようなスレで
あってほしい。

里の筍さんの強情灸をモチーフにした作品と、sana亭omiさんの自分自身のネタに
対する解釈の深さに感心。


120 :sana亭omi:02/06/08 20:00
117〜119、ありがとう。
以前、短気をおこしてみっともない事をしたので
その言葉は本当に嬉しいです。

少しお調子にのって、115の一部を訂正します。

>>飽き(安芸)が来たらしい
>返品した時期は、海水浴のシーズンが終わる「秋」ごろですかね?

しゃもじを返品した時期は
食欲のシーズンが終わる秋場所後と解釈した方が
自然ですかね。

それと、常連の人たちの安定した力には
正直言って、脱帽です。


121 :重要無名文化財:02/06/08 20:03
>>119
そうなるには我々匿名連も感想を書かねばな・・・。
でないと、作家の感想だらけになる。
書こうとは思うんだけどなぁ。

>>120
謙虚ですなぁ。これからもいい作品を。

122 :主催者:02/06/10 01:47
今回もまた読み応えある作品が出揃いました。

筍さんの>>109「熱湯の主(仮)」は、「強情灸」のマクラをモチーフに
した流れが面白いですね。昔の銭湯には必ず熱湯を好む主がいたそうですが、
大衆が入ってくる銭湯を舞台に江戸っ子が活躍する姿は似合っているというか
粋な感じが楽しめます。「あちー、むー」で「Aチーム」を使っているところも
上手いですよね。

半弗さんの>>111-113「一力屋(仮)」は、テンポいい掛け合いが面白いです。
最初の小咄の「七厘で八輪」もよく出来た噺だと思います。
人をくったような万屋のキャラが生き生きとしていますね。
くだらない駄洒落を生かす工夫もなされていて、一気に読めました。


作家の方も感想をお書きになってくださっているようでおそれいります。
どなたかもおっしゃっていましたが、作家ばかりが感想を書いても
内輪で盛り上がっているようですし、かといって匿名の方ばかりというのも
味気ないですし、その中間くらいの水準が望まれますね。
omiさんのこまめな書き込みは見ていて微笑ましいですよ。

それでは、第二十回御題取りを行います。
例によって、一レスにつき一単語でお願いします。
今回は区切りの回ですので、また新企画などがあれば重ねてお願いいたします。



123 :重要無名文化財:02/06/10 03:39
クリーニング

124 :重要無名文化財:02/06/10 18:30
放送室

125 :重要無名文化財:02/06/10 18:57
レーザー脱毛

126 :重要無名文化財:02/06/10 20:12
取り違え

127 :重要無名文化財:02/06/10 23:37
予備校

128 :重要無名文化財:02/06/10 23:38
アジサイ

129 :重要無名文化財:02/06/11 00:42
門構え

130 :重要無名文化財:02/06/11 01:26
寺子屋

131 :主催者:02/06/12 01:18
たくさんの御題、ありがとうございます。
それでは第二十回御題の発表です。
「クリーニング」「取り違え」「アジサイ」
の三題です。
「放送室」「予備校」「寺子屋」と学校関連が多かったのですが、
これはこれで別企画としてやりたい気がするので外しました。
たくさんの作品をお待ちしています。

132 :重要無名文化財:02/06/13 01:28
「クリーニング」「取り違え」「アジサイ」

あ「クリーニングしていいですか?」(パチパチ)
い「え?何を?」
あ「心を。」
い「上手いこというね。どうやってやるの?」
あ「片っ端から殴るの。」
い「汚れてるよ。」
あ「きれいな心になりたいから殴るの。」
い「あー、悪を退治ってこと?」
あ「国家権力を。」
い「きれいになる前に国にはむかっちゃあまずいよ。」
あ「アジサイのようにきれいな心を取り戻したいんだよ。」(パチパチ)
い「取り戻したいてことは元々持ち主だったんだ。」
あ「きれいな心で有名でした。」
い「どこの地方でか知らないけど、心で有名ってすごいね。」
あ「きれいな心部門第一位で、汚い心部門で八位だったよ。」
い「賛否両論あったんだね。」
あ「それでファン同士がもみあいの喧嘩。」
い「汚い心部門にもファンがいたことになるけど。」
あ「多勢に無勢だったよ。」
い「どっちが勝ったか分からないよ、それじゃあ。」
あ「アジサイをはさんで記念写真。」
い「和解したんだ。」
あ「きれいだろうが汚かろうが、こいつはこいつだ、とね。」
い「当たり前な結論にたどり着いたね。」
あ「で、仲直りの喧嘩。」
い「喧嘩好きなファンだね。フーリガンかな。」
あ「フーリガンって?あのバレーの?」
い「サッカーでしょ、普通は。」
あ「あ、サッカーとバスケを取り違えてた。」(パチパチ)
い「そんな奴いないし、君はバレーとサッカーを間違えてたよ。」
あ「バスケが三十人VS三十人でやるゲームだよね。」
い「そんなスポーツ自体知らないよ。」
あ「で、サッカーがアジサイを奪い合うゲームでしょ。」
い「何かしらアジサイがからんでくるね。」
あ「違うの?」
い「素だったの?サッカーはボールを蹴るの。」
あ「泣かないの?」
い「誰が?」
あ「蹴ってボールが。」
い「で、ゴールにシュートするんだよ。」
あ「無視しないでくれる?蹴ったらボールが泣かないの?ってきいてるの。」
い「露骨なボケは不愉快だよ。」
あ「だったら、梅雨の方がもっと不愉快だよ。」
い「梅雨と「露骨」の露とかけてるの?」
あ「悪い?」
い「逆切れだね。悪くないけど梅雨には骨がないじゃない。」
あ「あー、骨がなければ、傘で雨がしのげない。」




133 :重要無名文化財:02/06/13 01:28
どんどん

134 :前スレ亭ごじゅういち:02/06/13 18:51
「クリーニング」「取り違え」「アジサイ」

えー、いっぱいのお運びで、ありがたく御礼申し上げます。
世間ではもう今、サッカー一色でございますな。がんばれニッポンだけにとどまらず、
あの国が勝ったやの、あそこが予選で敗退したやの、もう大騒ぎでございますが、
そんな中こうしてこの会に来て下さるお客さん方がいてはる。誠にありがたいことやと
思てるわけですが。ぶっちゃけた話ね、サッカーのほうも見に行きたかった
という方もおられると思うんです。そんなみなさんのために、ここは一つ、みなさん方を
サッカー場へお連れしよやないかというわけでございまして…。

ここにございましたのが、大阪の馬のおうた喜六に清八の二人連れ。時候もようなった……
この時期ははっきり言うて時候はあんまりようないんですが、退屈やというんでここは一つ
サッカーでも見に行こやないかと、ずぼらなヤツもあったもんで、もったいないお話ですが
でも付きのワールドカップ観戦。……あの、これねぇ。私も設定に無理があると思うんですよ。
けども、あれだけチケットが余ったと言われるとね。そういうこともあるんやないかと…。
慣れん手つきでインターネットにアクセスしまして、思いもかけず手に入ったチケットを握りしめ、
どこで間に合わせましたか、ブルーのユニフォームに身を包み、フェイスペインティングの
一つも施しまして、やって参りましたのは大阪は長居陸上競技場でございます。
最寄りの駅を降りますというと、競技場のゲートまでは人また人。様々な国籍が入り乱れる上に
試合前の熱気がそれに輪をかけて、今か今かと開場を待つ人々の行列。その道中の陽気なことー。

(ハメモノ…やっぱり三味線でワールドカップのテーマでしょうな)

清八「さぁ、喜ィ公、出といで。どうや、これがワールドカップや。ぎょうさんの人やないかいな」
喜六「ほんに、ぎょうさんの人やな。この人らはやっぱり皆、サッカー見に行く人らか?」
清八「当たり前やないかい。この格好見てみぃな。道を行く誰を見ても青い服着てるやろ。
   これが日本代表のシンボルカラーや」
喜六「揃いの衣装か?」
清八「サッカーの応援に揃いの衣装はおかしいけどな、ま、そんなもんやな」
喜六「ふーん。あ、清やん、あそこに一人、仲間はずれがいてるで」
清八「指をさしなて。ん? どのお人やな」
喜六「あそこでちょんまげのカツラかぶって殿様みたいな格好してる…。
   あれはやっぱり、ミニモニの友達か?」
清八「あいーん、て言うてる場合かいな。ははぁん、あんな人がおっても不思議はないな」
喜六「というと?」
清八「ワールドカップというたら世界中の人が見てるやろ。せやからああやって
   どこの国の人が見ても、あ、サムライや、日本人や、とわかるような格好をするのも
   一種の趣向になってんねやな」
喜六「清やん、なんでそれを早よ言うてくれへんねん。しもたー」
清八「何を悔しがってんねん」
喜六「去年のハワイ旅行のときに持って行ったメガネとカメラ。そうと知ってたらあの格好で」
清八「嫌な日本人やな、お前は」

135 :ごじゅういち:02/06/13 18:51
喜六「清やん、あれは何や? あそこに固まってる、口髭生やしてやたら濃い〜顔の連中。
   あれはやっぱり、どこの国の人が見ても「濃い顔国」の人やなぁ」
清八「笑われるで、そんなこと言うてたら。どこぞの世界に「濃い顔国」てな国があるか?
   あれはお前、これから日本代表が対戦するチュニジア代表のサポーターや」
喜六「清やん、わいらサッカー見に来たはずやなぁ?」
清八「そうや」
喜六「サッカーにもやっぱりドラゴンズがあるんか?」
清八「そら中日や」
喜六「あ、お彼岸か」
清八「それも中日や。違うがな、チュニジア。アフリカの北のほうにある国やがな
   憶えてへんかなぁ、学校の世界史の授業で出てきたはずやけど、ローマ帝国の頃に
   カルタゴという都市国家があった…」
喜六「清やん、わい、選択科目、倫理社会やってん」
清八「倫社かいな。まぁええわ。あの人らはそのチュニジアの応援に来てはんのや
   どうでもええけどな、あんまりそうやって人を指さしたりせんほうがええぞ。
   サッカーの応援しに来てる人の中には、怖ぁいフーリガンもいてるんやさかいな」
喜六「フーリガンちゅうと?」
清八「何にも知らへんのやなぁ。フーリガンというのは、サッカーの試合があるというと
   それだけで体中の血が熱ぅなって、見境なしに周りの人をドツキ回したりする連中のこっちゃ。
   お前もあんまりボーっとしてたら、やられてまうで」
喜六「脅かさんといてぇな。怖いヤツがいてんねんな。しかし、そしたら何か清やん。
   お前もフーリガンやってんなぁ」
清八「オレが?」
喜六「そうやがな、酒呑むとなるとそれだけで体中の血が熱ぅなって、見境なしに周りの人を…」
清八「ウダウダ言いないな」

喜六「しかし清やん、ムチャクチャ蒸し暑いなぁ、今日は」
清八「ほんまやなぁ、このぶんやと大阪近辺ももうじき梅雨入りやろな」
喜六「ここへ来る途中の道の脇でもアジサイがきれいに咲いてたもんな」(パチパチパチ)
清八「なんや喜ィ公、顔に似合わん風流なこと言うやないか」
喜六「へへ、おだてないな。福井でごじゃいますぅ。あしたのお天気は…」
清八「懐かしい物真似はえぇねん。それにしても喜ィ公、おだてるついでというわけやないが
   この天気によう気がついたな。なかなかえぇ目のつけ所や」
喜六「ほ、こりゃいよいよ…ばいうじぇんしぇんが、北上しておりますぅ」
清八「いちびってんねやないで。しかしこの天気のおかげで、今日の試合は日本がかなり有利やな」
喜六「なんでそんなことがわかるねん?」
清八「さっきも言うたように、相手のチュニジアは北アフリカの国やろ。あの辺りは
   普段の天気がカラカラに乾いてるさかいな、こういうジメジメの天気には不慣れで
   試合が進むとすぐに選手らがバテてしまうかも知れん、という訳やな」
喜六「清やん、何でもよう知ってんねんなぁ」
清八「憶えてへんかなぁ、学校の地理の授業で出てきたはずやけど、地中海性気候というて…」
喜六「清やん…」
清八「すまん。倫社やったな」

(ハメモノ終わり)

136 :ごじゅういち:02/06/13 18:52
わあわあ言いながらも行列はぞろぞろと進み、この二人もゲートをくぐって競技場の中へと入ります。
超満員に埋まった客席であたりを見渡しますと、朝のラジオでお馴染みのあの人や
我々噺家仲間のあの人の顔があったりなんかいたしまして、なんやここは相撲の春場所かいな
てなことを思たりもしながら、両チームの選手がピッチに登場し、両国国歌の演奏が終わりますと、
いよいよ試合開始のホイッスルが鳴り響くわけでございます。

清八「さぁ、喜ィ公、いよいよ試合が始まったで、しっかり応援せなあかんで」
喜六「うわぁー、始まった始まった。あー走った!蹴った!走った!蹴った!」
清八「やかましいな、お前は。走って蹴るのは当たり前やがな」
喜六「せやけど、わい、目の前で見たもんは口に出さんとおられん…」
清八「難儀な性分やな」
喜六「わぁー、チャンスやチャンスや、あれ、審判に止められた」
清八「惜しかったなぁ、オフサイドや」
喜六「あぁ、薬包んでなめると溶ける」
清八「そらオブラートやがな。もぉー、お前なんか連れてこなんだらよかった」

試合のほうは一進一退でございます。0−0のまま前半を終えまして後半に突入。

喜六「清やん、あの赤いニワトリみたいな頭した日本の選手。あいつ見てると
   なんか冷や冷やするなぁ」
清八「喜ィ公もだいぶ見方がわかってきたみたいやな。あの戸田なぁ、動きはええけど
   ラフプレーも多てな。イエローカードもらう前に交代させたほうがええかも知れんな。
   てなこと言うてたら、流石はトルシエ監督や。ほれ、あそこで用意してる選手。
   あれは服部やな」
喜六「なんや、黒いパネル持ったおっさんが出てきよったで」
清八「あれで背番号を表示してな、交代する選手を知らせるんや。あれ? なんで5番やねん
   あかんがな、それでは戸田やなしに稲本が下がってしまうやないか」
喜六「トルシエ監督、慌ててるで」
清八「慌ていでかい。交代する選手間違えたらえらいこっちゃ」
喜六「ニワトリをハットリに代えるさかい、トリ違えたんやな」(パチパチパチ)
清八「落ちついてる場合かい!」

さぁ、予定外のトラブルにも動じることなく、そこは我らが日本代表、
見事チュニジアを撃破いたしまして、予選H組1位で堂々の決勝トーナメント進出が決定いたします。

喜六「やったーーー! 勝った!清やん!勝った!」
清八「やりよったなぁ! 喜ィ公、見に来てよかったな」
喜六「清やん、あれ何や。試合終わったら選手らがみんな服を交換してるで」
清八「あぁ、こういう光景は見てて清々しいな。あれはな、試合が終わってお疲れさん、
   お互いようやったというてユニフォームを交換して健闘を称えおうてるんや」
喜六「うわぁ、そうかいな。なんかそういうのえぇなぁ。スポーツマンやなぁ。
   けど清やん、あのユニフォーム、もう汗だくやで。よう考えたら臭いやろな」
清八「そんな身も蓋もないこと言うもんやないがな。まぁ、けどそやな。
   あれだけ汗やら泥やらついてるんやさかいな。匂うたら臭いやろな」
喜六「やっぱりすぐにクリーニングに出すんやろか?」(パチパチパチ)
清八「なんでそないに言うことが現実的なんや、お前は。まぁ、でもそうやわな。
   なんぼなんでもあのまま置いとくっちゅうわけにはいかんわな。
   そこはやっぱりクリーニングに出すことになる……ん! 喜ィ公、あかん!」
喜六「何や清やん。どないしたんや、急に」
清八「せっかくの決勝トーナメント、日本が不利になるかも知れへん」
喜六「なんでや?」
清八「なんでてお前、この湿度が有利やと言われてきたのに……あかんやろ、ドライクリーニングは」


ドンドン

137 :ごじゅういち:02/06/13 18:58
本当は、やはり明日に投稿したかったものの
明日は用がありまして…前夜祭みたいなもんです。
今回の口調は吉朝想定に挑戦してみましたが、難しいです。
どこまでできてるかどうか…。

138 :sana亭omi:02/06/14 00:16
>重要無名さん、
意表をつく出だしと、今風のボケとツッコミに
僭越ながら、お笑いのセンスを感じました。

>ごじゅういちさん、
上方落語特有の、あのかまぼこの板みたいな奴を
パチッパチッてやっている音が聞こえるような
リズム感のよさを特に枕の部分から感じました。
僕がやっても板につきません。

噺も面白いです。
今の日本サポーターにとってはまさに
神様仏様稲本様ですね。


139 :ごじゅういち:02/06/15 17:24
やれやれ、勝ってよかったです>日本代表
こんな作品書いて負けてしまったらどうしよう、なんて思ってたんで…。
そうか、稲本は代えて正解なのか、まだまだだなぁ>オレ

>>138
今回のは「相撲場風景」を念頭に、まず骨格を作って
肉付け、入れ事をしてたら「遊山船」or「天王寺詣り」あたりに路線変更。
最後にマクラ&導入で、どうしても「東の旅発端」を入れたくなった。
というのが、作ったプロセスです。でも、読み返してみると
ちょっと入れ事に凝り過ぎたかも。お江戸の方には馴染みにくい?
omiさんの作品も楽しみにしてます。

>>132=101の人でいいんですよね?
またしてもフレーズの妙ですね。テンポもすごい。
ただ、どうしても落語イメージで読めなくて…。
トップ・ライトとかWけんじみたいなイメージが離れない。
正直、この2組も詳しいわけじゃないんですけどね。
今で言ったら…くりぃむしちゅー?

140 :重要無名文化財:02/06/15 23:44
いいですね、このスレ。やっと全部読めた。

里の筍さん「熱湯の主」の威勢の良い熊さんが好きです。
あれだけ無茶を言っていても嫌味に感じません。
スカッとしてて江戸っ子らしい!

ごじゅういちさんのスポーツネタも好きです。
選択科目ネタも無理なく納得。
「去年のハワイ旅行のときに持って行ったメガネとカメラ。そうと知ってたらあの格好で」
に笑いました。ツボです。

前スレではかみさんの「猿金合戦」が一番好きでした。

個人的にはさくさく読めるカッ飛びブッ飛び噺が好きではありますが、
ぐっとお腹にたまる感じの古典も、またもっと出てきて欲しいです。
色んなのが読みたい!


141 :sana亭omi:02/06/15 23:54
「あじさい」「すり替え」「クリーニング」で、

熊「ぞっぞー」
八「もぐもぐぐちゃぐちゃ」
熊「ぞっぞー」
八「もぐもぐぐちゃぐちゃ」
熊「・・・おまえとだけは・・・ぞっぞー・・・一緒に蕎麦を喰うもんじゃないな。」
八「もぐ・・・ん?・・・ぐちゃ・・・なんで?」
熊「蕎麦は喉越しを楽しむもんだ。・・・ぞっぞー・・・
おまえみたいにぐちゃぐちゃ噛んだら台無しだ。」
八「そうかぁ?旨いぞ・・・もぐもぐ」
熊「だから噛むなって言ってんだ。だいたいおまえはつゆをつけすぎなんだ。
  つゆの中に蕎麦を沈めて箸でぐるぐる回して、
しかもそれを口一杯に頬張るからそんな野暮な喰い方になるんだ。」
八「つゆをつけると野暮になるのか?そんなこととはつゆ知らず
・・・ぐるぐる・・・だけど・・・もぐもぐ・・・
蕎麦は『やぼ蕎麦』ってのが有名だろ?」
熊「しょうもないこと言っていないで早く喰え。
俺はとっくに喰い終わっているんだ。
  おまえ、まだ半分以上残っているじゃないか。
  おいおい、やめろよ、つゆだけのおかわりは・・・
まだ食い終わらないか・・・じれったいな・・・まだかよ・・・
ああ、ねえさん、こっち2人分お勘定して」
八「ぞっぞーぞっぞー・・・ああ、旨かった。さあ、兄い出よう。」
熊「・・・」

142 :sana亭omi:02/06/15 23:59
熊「しかしおまえはつゆが好きだな」
八「なにおぅ、俺は江戸っ子だ、職人だ」
熊「笑わせやがる。おまえが江戸っ子なのは
  人が勘定を済ませたあとの蕎麦の喰い方だけだ。」
八「面目ない。だけど、それもこれも梅雨(つゆ)のせいだ。
  こう雨降りが多くちゃ職人は仕事にならない。梅雨は大っきらいだ。」
熊「おまえ、この前、春先は風が強くて仕事にならんて言ってなかったか?」
八「ああ、夏は暑いし、秋は台風が来るし、冬は寒いし、
  全く世の中ままならん。」
熊「おまえには季節季節の風情を楽しむゆとりがないな。
  ほら、見ろ。あの道端のあじさい。
  梅雨なればこそ、きれいなもんだ。」(パチパチ)
八「あれなら俺の家にも鉢植えがあるぞ。」
熊「おまえの家に?」
八「うん、こないだ棒手振りが売りに来た。
  あまりきれいなんで買ってしまった。出来心だ、すまない。」
熊「出来心って奴があるか。もう、じきにおまえの家だ。
  俺にも見せてくれ。」

143 :sana亭omi:02/06/16 00:02
八「さあ、俺に家に着いた。兄い、持ってくるからちょっと待っててくれ。
  冷蔵庫の中にしまってあるんだ。」
熊「冷蔵庫?」
八「うん、あまり見事だったから大事にしてあるんだ・・・あーっあーっ」
熊「おいどうした。無くなっているのか?」
八「いや、あるにはあるけど、誰かにすり替えられた。」(パチパチ)
熊「そんなもん、誰がすり替える」
八「でも、俺が買ったのはこんな萎れた物じゃなかった。
  くそぉ、あの棒手振り野郎、
  まがい物を売りつけやがって。返品してやる。」
熊「そんなことができるのか?」
八「ああ、昨日買ったばかりだ。
  訪問販売で一週間以内だからクリーニングオフができる。」(パチパチ)
熊「冷蔵庫なんかに入れたおまえが悪い。
  まあ、萎れる前のきれいな物を見て心が洗われたから
  それでよしとしとけよ。」
八「おっ、雨が降ってきた。
  心の洗濯どころじゃない。兄い、外へ出よう。」
熊「雨が降ってきて何故外に出るんだ?
  それになんだ?石鹸なんか持ち出してきて。」
八「こういう強い雨の時は、銭湯代を節約するために
  外に出て体の洗濯をするんだよ。」
熊「つくづく情けない奴だな。」
八「兄いも早く来ねえ。」
熊「止めなって。そんなみっともない真似、
  俺が許しても世間(石鹸)が許さん。」

ドンドン


144 :重要無名文化財:02/06/17 02:28
お、擬古典だ、「クリーニング」をどうやって使うんだろう
とか思いながら読んでたら、違和感を感じさせませんでしたね。
なんか、この八公、いい意味で必要以上にかわいい。

>>140
感想、どうも。そろそろ脱スポーツがオレのテーマだと感じつつ…。
ところで、前スレから一気に読むと、どれぐらいの時間がかかるもんなんでしょ?

145 :ごじゅういち@144:02/06/17 02:34
書かなくてもわかるでしょうが…。

146 :重要無名文化財:02/06/19 23:55
sana亭omiさん、お疲れさまです。
最初の蕎麦を食べるシーンの仕種、実際にはどう演じられるのか
想像してしまいました。何となく「長短」のような雰囲気ですねえ。

>>ごじゅういちさん
実際読んでみると、3日間程かかりました。
モニターのままで読むと、だんだん目が辛くなってきます。
紙に印刷して読むのだともっと早いかも。

147 :主催者:02/06/20 00:26
いつもたくさんの作品、ありがとうございます。
感想が頻繁に書かれるようになっているみたいで、嬉しい限りです。
過去の作品を読まれた方も、その感想を書いていただけたら幸いです。

まず、匿名さん>>132-133「梅雨骨(仮)」はまたシュールな話芸です。
微妙にかみあわない二人の会話が絶妙ですね。
きれいな心部門と汚い心部門への同時ランクインも、芸能人の人気投票で
よくある風景で面白かったです。

ごじゅういちさんの>>134-136「W杯見物〜南の旅〜(仮)」ですが、
題名の「南の旅」は長居陸上競技場が東住吉で大阪環状線より南に位置していますので
そう付けました(「池田の猪買い」が「北の旅」に分類されてますので)
W杯を見物する二人のやり取りは現代版の弥次北を彷彿とさせます。
まさにタイムリーな内容で、フーリガンや梅雨など興味深いくすぐりが
たくさん含まれていて、さながら観戦している気分が味わえました。

OMIさんの>>141-143「野暮雨(仮)」は、蕎麦の食べ方、アジサイを
冷蔵庫にしまう、雨天に体の洗濯、と野暮な江戸っ子がいきいきとした
生活を送っている様子が面白みがあります。ところどころに江戸落語の
テイストが盛り込まれていて、自然な流れで読ませていただきました。
難を一つだけ。本来のお題「取り違え」を「すり替え」でやっておられるようなので
微妙に意味合いや語呂の使い方も変わってしまいますし、原題通りで
書いていただけますか?「とりちがえ」を「ここやと立地がえぇなぁ(ここや『とりっちがえ』ぇなぁ)」
という強引な使い方はもちろんOKですよ。

まだまだジメジメとした梅雨の時期が続きますが、もう少しこの御題で
続けたいと思います。たくさんの作品、お待ちしています。

148 :sana亭omi:02/06/20 21:01
>ごじゅういちさん、
>No.146さん、
ありがとうございます。感想が何より嬉しいです。

>主催者さん、
「野暮雨」でお願いします。
>難を一つだけ。本来のお題「取り違え」を「すり替え」でやっておられるようなので
ありゃりゃ、何で間違えたんだろ?
読み直したらスタートから間違っている。
意識的にすり替えたのではなくて、
どうも僕が勝手に取り違えていたようです。
今回は僕だけ2.25題噺ということで許して下さい。


149 :重要無名文化財:02/06/23 22:58
う〜ん、徳さんシリーズはもう無いのだろうか…。

150 :ごじゅういち:02/06/24 00:31
>主催者氏
「W杯見物」もしくは「W杯風景」だろうなぁ、と思ってましたが
「南の旅」は思いつきませんでした。
毎度、小粋な命名をありがとうございます。

>>146
お疲れ様でした(w

151 :里の筍:02/06/27 13:06
もうだいぶ前になりますが、一時ご家庭の奥様方の間で「くれない族」ということばがはやったことが
ありましたな。旦那が「あれしてくれない」「これをしてくれない」といって文句ばかり言って
たんだそうで、今ではさすがにそんな言葉は聞かなくなりましたが、なぁに中身はちっともかわっちゃ
いないんで、「くれない」から「三ない」に変わっただけなんだそうですな。
これは「掃除をしない」「洗濯をしない」「飯を作らない」ってんだそうで、一切家事をしない。
「掃除はどうしたい?」
「ほこりで死んだ人なんかいないんだから、いいのよぅ。」
「飯は食わなけりゃ死んじゃうだろ?」
「引き出しにカップメンが入ってるからお湯沸かして勝手に食べたら。」
「そんなんばかりじゃ飽きるよ。」
「それじゃコンビニ行って弁当買って来なさいよ。」
「洗濯はどうするんだい?」
「垢で死んだ人はいないのよ。」
「またそれかい。でも汚い格好で会社に行ったら首になっちまうぜ。」
「それじゃクリーニングにでも出したら。」(パチパチパチ)
「おい、おい、何でもクリーニングに出してたらお金がかかってしょうがないじゃあないか。」
「うるさいわねぇ、それじゃああそこの角にコインランドリーがあるから自分で洗ってきたら。」
まあこんな横着な奥様ばかりじゃあないとは思いますが、世の中どちらかというとそっちの方に
流れが傾いているおうな気がいたしますな。
そんな奥様方でも自分の大切な着物はさすがにコインランドリーなんぞで丸洗いはしませんね。
こればっかしは昔ながらの洗い張り屋さんにお願いすることになる。
この洗い張りというのは、着物の縫い目を全部ほどいて、ばらばらになった布を一枚一枚丁寧に洗って、
木の板に貼り付けて乾かす、それからまた縫い直すといった具合で大変に手がかかったもんだそうです。


152 :里の筍:02/06/27 13:07
熊「おっかあ、今帰ぇったとこだ。腹ぁ減ったからすぐに飯にしてくんねぇ。」
女房「飯どころじゃあないよ。あたしぁ悔しくて悔しくて何にも手につきゃあしない。」
熊「えれぇ剣幕だなぁ。いったいどうしたい?」
女「横丁の洗い張り屋の竹さんだよ。」
熊「それがどうしたい?」
女「いえね、正月に熊さんに買ってもらった着物なんだけど、虫干しにしようと思ったら裾のあたりが
汚れていたんで竹さんの所に持ってったんだよ。」
熊「ほーう、それで?」
女「そしたら竹さんがね『こりゃあ妖刀村正だなぁ。こんな着物じゃあ洗い張りをしても元の形にゃ
ならねぇ。そのへんの井戸水でもぶっかけて、塀にでもぶら下げておいたらどうだい。』なんてことを
言いやがる。あたしゃ悔しいからよっぽど野郎の鼻にでも食いついてやろうかと思ったけど、このあいだ
梅干の種をかじって歯が抜けたから、どうにもなりゃしない。」
熊「へぇー、ところで妖刀村正てぇのはなんだい?」
女「触っただけで切れるってんだってさ。」
熊「なるほど、野郎うめぇこと言いやがるなぁ。もっともあの着物じゃぁ、まぁ無理もねぇが...」
女「お前さんが感心してどうするのさ。それに無理もないってぇのは一体どういうことなんだい?」
熊「何でもありゃしねぇよ。なるほど竹の野郎、とんでもねぇ野郎だ。」
女「どうにかならないもんかねぇ?」
熊「わかった。俺が掛け合ってきてやる。さっきの着物をこっちにかしな。」

熊「おい、竹」
竹「おや、熊さんかい?」
熊「熊さんかじゃあねぇや。てめぇ俺の女房の着物をよくも村正の妖刀なんぞと抜かしゃあがったな。」
竹「だって熊さんの前だが、ありゃあひどいぜ。いっぺん縫い目をほどいたらもう縫い合わせること
なんかできゃしねぇ。」
熊「そうかい?そうだろうなぁ。ありゃ去年の暮れに、正月に着るもんがないからとねだられたんだが
懐が生憎だ。道具屋の前にぶらさがってた奴を、雑巾にでもするからといって二束三文でひったくる
ようにして持って来たんだが、こんなこたぁ女房に口がさけても言ぇやしねぇやな。」
竹「へぇー、そうだったのかい。」
熊「ところで物ぁ相談なんだが、こいつにどうにか格好をつけちゃあもらえねぇだろうかなぁ?
井戸水でもぶっかけて、塀にでもぶら下げとくとか...」
竹「他ならぬ熊さんの頼みだ。まさか井戸塀というわけには行かないが、そっと丸洗いしてみるが
それでどうだい?」
熊「ありがてぇ。」

熊「どうだい、どうにかなったかい?」
竹「熊さん、申しわけねぇ。やっぱりあれはダメだった。丸洗いしてるとビリビリに裂けちまって
どうにもならねぇ。」
熊「おい、それじゃあ俺が困るじゃあねぇか。どうにかならないのかい?」
竹「ちょっと他所で余ってる着物があるんだが、こっちの方が物がいいんだがどうだい?」
熊「そりゃあ物がいいんだったらそれでもいいけど... おい、こりゃあアジサイの柄だな。」
(パチパチパチ)
竹「アジサイじゃあ具合が悪いかい?」
熊「だって前の着物と柄が違うじゃあねぇか。女房に何て言やぁいいんだぃ? まあいいや、とりあえず
こいつをもらってくぜ。」

熊「おい、おっかあ、竹に謝らせてちゃんと着物はいいようにしてきたぜ。」
女「さすが熊さんだねぇ。あたしゃ甲斐性のある亭主をもって嬉しい... おや、でもこれはアジサイ
の柄だよ。うちのはアヤメの柄だから違うみたいだけど。」
熊「こっちが悪いんじゃあねぇ。竹の野郎が間違えたんだからいいじゃあねぇか。それにそっちの方が
物もよさそうだし。」
女「それはいいけど、また後になって竹さんに何か言われるのは嫌だからねぇ。」
熊「なぁに、そいつぁ大丈夫だ。ものがアジサイとアヤメのとり違いだ。竹の野郎も赤くなったり
青くなったりしてあやめっていやがったから。」(パチパチ、ドンドン)



153 :重要無名文化財:02/06/28 18:41
ストーリーが面白いな、筍さんは。流れがスムーズで読みやすい。

154 :sana亭omi:02/06/28 23:32
僕の服は名刀正宗、触れる前から切れてます。


155 :重要無名文化財:02/06/28 23:46
里の筍さんだぁ。
「あやめって」(あやまって)なんですね。

「ほこりで死んだ人なんかいないんだから、いいのよぅ。」
志ん生師匠のくちぶりを想像して、一人で笑ってしまいました。

156 :湖亭半弗:02/06/29 03:34
うーん、また出て遅れてしまいました。
皆さん、擬古典から新作調まで幅広いですね。感心します。
それではいつもながらよく分からないお噺を書かせていただきます。
そして少しタッチを変えてみます。どなたの口調かすぐ分かると思いますが。
「クリーニング」「取り違え」「アジサイ」ですね。


 えぇー、ようこそのー、お運びでございます。落語でございまして、
大いにこの、笑っていただきたい訳であるのでございます。
笑えば笑うほどー、この、体にはちょうどえぇ按配になってくるのでございますね。
温泉につかってても体はちょうどえぇようにはなってきますけんども、
それではアハ、アハという快感は得られないのでございます。落語で一席
お付き合い願うわけでございますけれども。
泥棒ちゅうのが、ま、落語の方には大勢出てくるんでございます。
泥棒が昔は大勢おった!というわけではございませんで、今と同じぐらいの
人の数やったと思うんですけれども、それはもう落語になるくらいですから
アロットオブだった存在であるといえるので、ございます。
何故このような話になったと申しますと、今日はそのような盗人のお話だから
でございまして、決して客席の皆様のご先祖連中が泥棒やったとこう申し上げている
訳ではないのでございます。そこをふまえてぇ、聞いていただきたいと。
ここにおりました泥棒、泥棒ちゅうても今日が始めてでございまして、
それまでは何をしておったかといえば、ヤクザでございまして、
後の商売も先の商売もあんまり変わらん崩れっぷりでございますが。
ヤクザの親分のダイヤを昼寝しているうちにくすねた、とただそれだけなんで
ございます。


157 :湖亭半弗:02/06/29 03:35
津野「でやぁー、こぉれだけ逃げたら追いつかれんじゃろ。ひやー、疲れた。
うまいことくすねれたもんやなぁ、えぇ。わしがふっと部屋に入ったら、親分
昼寝して寝とんねん、それでジーっと見てたらダイヤが外してあって、おっ、これ幸いに
いっぺんはめたろ、あー似合う似合う、わしのつややかな指がよぉにおとるがな、
もろてまぉ・・・、これだけで大泥棒や、えらいもんやなー。
・・・、お、あれ、追っ手や!・・・大きな声出したらいかん、ばれてまう。
お、雨や。こら激しいに降るで、これ。この雨に紛れて・・・、いかんな、傘が
ないと何故こうも濡れるかな、これ。いきなりドウワアァと降ってきて
わし何か悪いことしたかしら・・・。
こらぁ、どっか店屋に入って通り過ぎるの待つかな。カランコロンカラン」
マスター「いらっしゃいませ。」
津野「いやー、えぇ天気やなぁ、マスター。」
マスター「あんた・・・、雨でずぶぬれで入ってきて無茶苦茶言いないな。
この手ぬぐいつこぉとくなはれ。」
津野「あー、おおきに、はばかりさん。へぇー。ジャズ喫茶ちゅうやつやな、ここは。
わしもよぉ来るねや、なぁおやっさん。」
マスター「あんたがどこの店入るか分かりますかいな、あんた初めてだっしゃろ、ここ。」
津野「初めてやて分かるか、わしのことよぉ知ってるな。」
マスター「なぶりなはんな、ほんまに。ほな、何しましょう?」
津野「えーと、ほなな・・・ぜる蕎麦くれるか、ぜる蕎麦。」
マスター「ぜる蕎麦って何でんねん。」
津野「ぜる蕎麦知らないの?こうスノコのちいさいのんに蕎麦をデヤー
っとのせて、刻んだねぎやらノリやらをこうまぶしてやね、こう
湯飲みに入ったダシにつけて、ゾーちゅうやつ。」
マスター「ざる蕎麦でんな。喫茶店来てざる蕎麦注文するお人もめずらしおまっせ。
いやいや、作らせてもらいます。ちょうど『ざるそば始めました』ちゅう季節でっさかいに。」
津野「ここは何やな、『エスカルゴ』ちゅうねやな。エスカルゴ、おもろい名前や。
なんぞ由来ちゅうか、あんのんかぃ。」
マスター「あぁ、これカタツムリのこってんねん。」
津野「カタツムリちゅうたら・・・あぁーナメクジカラアリ!」
マスター「けったいな名前勝手につけなはんな。アジサイやら何やらによう這うて
ますやろ、あれですわ。あれの食用でんな。」(パチパチパチ)
津野「へぇー、あれ、食べるのん?そういう人種がいてるわけやなー。ふーん、
で、エスカルゴて何や。」
マスター「えぇ加減にしなはれ、あんた。ほれ、これですわ。」


158 :湖亭半弗:02/06/29 03:35
津野「わっ、何じゃいな・・・、これ、カタツムリのぬいぐるみやないか。」
マスター「店の名前だけにそんなんもおますわ、うちには。」
津野「ひぇー、こんなん売ってる店屋もあるねやなぁ、ここだけの特注でも
ないねやろしなぁ。あんた、これ、どこで買うたやな?」
マスター「どこでって、そこのーほら、四つ角の、栗井人形店ですがな。」
津野「クリーニングはどないでもえぇねん、どこの店やちゅうてるねん。」(パチパチパチ)
マスター「ぬいぐるみクリーニングなんかせぇしまへんがな、これ。」
津野「せやけど、あぁた今、クリーニング用の店やちゅうたがな。」
マスター「よぉ聞きなはれ、栗井さんとこの人形店で、栗井人形店やがな。」
津野「あぁ、わしゃくりいにんぐょうてんかとばっかり思うて。」
マスター「はぁ、まぁ、ややこしい名前でっけどな。」
津野「ふぅーん、おっ、これはデティルに凝ってるね。」
マスター「なんちゅう喋り方しなはんねん。何だんねん。」
津野「せやかてそうやないかい、これ、殻が外れるがな。」
マスター「あぁ、それよろしいやろ。そこに色々ティッシュやとかが入りますんです。」
津野「・・・、これ、もろてえぇかしら。」
マスター「何です?」
津野「このカタツムリ、ちょっと隠し場所に貸してほしいんやがな。」
マスター「何です?」
津野「皆まで言わすない、実はわしは今盗人して追われてるねや。」
マスター「何です?」
津野「もうえぇちゅうねん。実はかくかくしかじかで、このダイヤを持ってるんでな、
外へは出られんねや。ここにこぉ、隠させてもろたらいかんやろか。」


159 :湖亭半弗:02/06/29 03:37
マスター「へー、そうですかいな。・・・あんた、カタツムリみたいなお人やな。」
津野「何です?」
マスター「それはよろしいねや、あんた、カタツムリのようなお人じゃちゅうてますねや。」
津野「何でや。わし、家せたろうてへんし、塩かけてとけへん。」
マスター「カタツムリちゅうのはな、雌雄一体でんねん。言うたら我と我が身を
愛するちゅうやつですわ。」
津野「ほぇー、楽でえぇわな。」
マスター「あんたも自分がかわいいてしゃあおまへんやろ。せやさかいに行き掛かりで
ダイヤ盗んで、行き掛かりでダイヤ隠そうと思うて。あんた、いくらヤクザの親分
やかて盗まれたもんの気持ち考えてまへんやろ、わたいがこれ隠すためにカタツムリの
ぬいぐるみあげて、わたいが追っ手に怪我でも負わされたらちゅうこと少しでも考え
なはったか?我と我が身を愛するあまりに回りが見えてへん、あんたはカタツムリみたいな
お人やちぃましたんや。・・・初めて来てくらはったお客さんにえらい物言い
言うてすんまへなんだ、これ、あんたのいうぜる蕎麦、サービスしときます。」
津野「・・・マスター、ほんまやな・・・。わし、甘えてたわ。」
マスター「はよ、それかやしてくるなり、自首するなりしたらどないです?」
津野「返しにいたら、指詰めるだけでは済まんさかいなぁ、これも元は盗品やし、
警察に持っていくのが筋やろと思うわ。」
マスター「雨がやんだらいきなはれ。蕎麦、のびまっせ。」
津野「こら、おおきに・・・、うわぇ!ダイヤが欠けてる!」
マスター「そんな、ダイヤがかけますかいな・・・ダイヤが欠けてる!」
津野「こら、イミテーションちゅうやつか、どうやらわしゃ、親分から
取り違えたみたいやなぁ。」(パチパチパチ)
マスター「ともかく、イミテーションでも何かの証拠になりますやろ、
警察へは行きなはれ、私もついてったげるさかい。
今、店閉めましたんでな、ついていきますわ。」
そう言うて、このー支度しておりますところへ、表が何やら騒がしぃになって
参ります。
追っ手「こら!あほんだら、津野!ここへ逃げ込んだんわかっとんやぞ!ゴルァ!」
追っ手「はよ出てきてダイヤ返せや、こら津野!いてまうど、こら!」
マスター「津野ちゅうのはお客さんですかいな?まぁーえらいガラ悪いのんに
付け回されてましたんやなぁ。」
津野「そらもぅヤクザ連中やからな。あいつらわしがガラス玉つかまされたん知りよら
んさかいなぁ。どないしたろうかしら。」
マスター「今は出ん方がよろしいわ、津野出て来い!やれ出て来い!、ちゅうだけで、
堅気の店に踏み込むようなことはしよらしまへんやろ。やりすごしなはれ。」
津野「そうやなぁ。そないしょうかしら。・・・ちょっと戸ぉの隙間からみてもえぇやろか、何人くらい
いてるんか見てみたいやないか。」
マスター「あきまへんで、あんた!今、覗くやなんて、そんなん向こうが待ってる事
やおまへんかいな。」
津野「何であいつらが覗くの待ってるねん?」
マスター「ここはカタツムリの店でっせ。津野出せやれ出せ、『目玉出せ』ですがな。」

ドンドン








160 :重要無名文化財:02/06/29 21:59
おお、長篇ネタ!
落ちがきまってますなあ!
季節にもあってるし(w

161 :重要無名文化財:02/06/30 22:00
半弗さんの最近の作品では、よく練られた作品だ(W
口調は枝雀かな?

162 :重要無名文化財:02/07/01 03:19
>アロットオブだった存在であるといえるので、ございます
こういう英語の言い回し、枝雀師匠がしそうだよね。
あと「ぜる蕎麦」には笑ったよ。


163 :重要無名文化財:02/07/01 13:52
軽く読める短編もうれしいが、こういう長いのも読み甲斐があってよい。
いいスレッドだな。

164 :重要無名文化財:02/07/01 20:31
お題の使い方がちょっぴり無理矢理になりがちに感じる半弗さんですが、
今度のは違和感ないです。
ただ、「クリーニング」だけちょっと使い方が苦しいように感じました。

栗井人形店でなく、例えば、津野が調子に乗ってエスカルゴ料理を食べて
ソースを服にこぼし、チンピラ根性まる出しでマスターにクリーニング代を
たかる、という展開もあるんじゃないかな〜、と思います。
で、困ったマスター、クリーニング代のかわりに津野ご希望の蕎麦でごまかす、とか。

津野のへなへなしたキャラは好きなので凄みを出させちゃうのはNGかも、
とは思ったんですけど…話の山場にもなるかもしれないと思ったので。
偉そうな感じでごめんなさい。

165 :sana亭omi:02/07/01 22:14
さすがに長編を苦にさせない力を感じます。

僕的には、「ぜる蕎麦」の説明の部分、

>津野「ぜる蕎麦知らないの?・・・ゾーちゅうやつ。」

の中の、「ゾー」が
ひょっとして僕の「野暮雨(やぼさめ)」の「ぞっぞー」から
きているものだったら
こんな嬉しい事はないと思いました。


166 :重要無名文化財:02/07/02 01:19
>>164
このクリーニングとかの無理やりな使い方についてだけど、
俺はちょうど逆の見方をしてる。
というのも、「らくごのご」世代なもんでこういう無理やりな使い方が
いくつか入ってくれてた方が親近感が沸くっていうか。
ハンドルさんはさすがは常連だけあって、使える部分がありながら、そういう
無理やりな部分を、わざと入れてくれてる気がする(前の『一力屋』も無理やりなのと、
御題そのもので使ってたし)。クリーニングはもうそのまま使うしかないと
思って読んでたけど、あえて挑戦してくれて俺は嬉しかったな。
もちろん、すごませてクリーニングという使い方も、やくざの設定もあることだし面白いと思う。

167 :重要無名文化財:02/07/02 03:22
クリーニングなら、びしょぬれになって喫茶店に入ってきたときに
マスターに「クリーニングしましょうか」で済むなぁ。

168 :重要無名文化財:02/07/02 06:20
>>167
それじゃ面白くない

169 :重要無名文化財:02/07/02 07:33
クンニリングスなら、びしょぬれになって喫茶店に入ってきたときに
マスターに「クンニリングスしましょうか」で済むなぁ。

170 :主催者:02/07/03 00:35
雨が続きますが、蒸し暑さを吹き飛ばすような好作品があがっていますね。

まずは筍さんの、>>151-152「洗い張り屋(仮)」は、洗い張りという
職業と江戸っ子の見栄っ張りぶりが調和された作品だと思います。
大事な着物なのに、と怒るかみさんに、実は雑巾扱いで譲り受けた熊さん、
何とか言いくるめようとする姿が滑稽です。アヤメとアジサイが
好対照になっていて、雰囲気がグンと品のいいものになっています。
「三ない」の小咄も、邪険な嫁がいい味を出していますね。
本筋の笑いではないのかもしれませんが、
「またそれかい。でも汚い格好で会社に行ったら首になっちまうぜ。」
という江戸っ子サラリーマンがツボでした。



半弗さんの>>156-159「カタツムリ(仮)」は、久しぶりの大作ですね。
今回は枝雀師匠テイストで仕上げてらっしゃるようですが、
前半のくだけぶりと後半のサゲまでのテンポが素晴らしいと思います。
栗井人形店も意表を突いていると思います。
「いきなりドウワアァと降ってきて
わし何か悪いことしたかしら・・・。」
ここの間で、枝雀師匠が上を眺めている姿が浮かんできて
妙にはまっていると思いました。サゲもカタツムリにちなんであって面白いです。

さて、この後は番外編のお知らせです。

171 :主催者:02/07/03 00:36
さて、第二十回が終了いたしました。そこで私からの企画提案なのですが、
番外編と致しまして、
「慣用句三題噺」を提案いたします。
慣用句とは、ご存知の通り、二語以上がくっついて、
それが一つの意味を表すようになっているものです。例えば、
「かっぱの川流れ」「へそが茶を沸かす」「一姫二太郎」などを指します。
皆さんには御題として、慣用句をあげていただきます。
後は、普段の三題噺同様に、三題を選んで上手く織り込んでもらうという流れに
なります。
例によって、御題は一レスにつき一慣用句とさせていただきます。

それでは、皆様の御題候補、お待ちしております。


172 :主催者:02/07/03 01:56
飼い犬にかまれる

173 :主催者:02/07/03 01:57
腹をくくる

174 :主催者:02/07/03 02:01
怪我の功名

こんな感じの慣用句を書いて下さったら結構です。
ちょっと自分で提案しておきながら、「慣用句」の基準が難しいと
思いましたので、試し書きしておきます。
言ってみれば、ことわざに近いのですが、動詞でもOKという
ことで、幅広さを出して見ました。
以上3つと、告知文の3つは再度選んでいただいて結構です。

175 :ごじゅういち:02/07/03 22:55
変なタイミングで感想レスすんません。

>里の筍さん
実にお江戸らしくておもしろかったです。
自分でもなぜかよくわからないものの、志ん輔師想定で読んでました。

>半弗さん
みなさんご指摘のサゲもお見事ですが、
7行に及ぶマスターの説教にツボでした。
これのために枝雀師風にチャレンジしたのでは?
というのは考え過ぎですかね。

今回はお題集めもひと工夫するわけですね。
さて、挙がってくるのは一体、どんなんかなぁ〜。
この時間帯にageとくのもよいかと、というわけで、お邪魔しました。

176 :重要無名文化財:02/07/03 23:11
腹をくくる

177 :重要無名文化財:02/07/03 23:14
長いものには巻かれろ

178 :重要無名文化財:02/07/03 23:59
犬が西向きゃ尾は東

179 :重要無名文化財 :02/07/04 00:04
手を焼く

180 :重要無名文化財:02/07/04 01:55
小田原評定

181 :重要無名文化財:02/07/04 03:03
油を売る

182 :重要無名文化財:02/07/04 03:10
安物買いの銭失い

183 :重要無名文化財:02/07/04 10:35
江戸の敵を長崎で討つ

184 :重要無名文化財:02/07/04 20:26
赤子の手をひねる

185 :重要無名文化財:02/07/04 23:00
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

186 :重要無名文化財:02/07/04 23:37
二の句が継げない

187 :重要無名文化財:02/07/05 01:08
二階から目薬

188 :重要無名文化財:02/07/05 01:33
かっぱの川流れ

189 :重要無名文化財:02/07/05 16:44
とかげの尻尾切り

190 :重要無名文化財:02/07/05 23:45
腕が鳴る

191 :主催者:02/07/06 00:47
たくさん集まりましたね、こう見ると落語で出てきた慣用句も
多くあがっていますね。
それでは発表です。
「長いものには巻かれろ」「油を売る」「二の句が継げない」
の三題です。
慣用句ということで、「小田原評定」「とかげの尻尾切り」なども
有力候補でしたが、動詞は今まで御題として扱わなかったので、いっそ
三題とも動詞型を選んでみました。

今回は番外編として、もう一つルールを追加します。
それは、
「単語として使用しない」
です。例えば、
「昔から言うだろ、『長いものにはまかれろ』ってさ。」
などという使い方はご法度です。これでは一単語と変わりませんから(笑)
せっかくですから動詞として使ってあげてください。
そのかわり、多少語調変化はOKとします。例えば、
「はぁー、こいつはえらい長いもんにまかれたねぇ、どうも」とか、
「二の句が継げんてな事を言うたらいかんで。」とか。
二の句は継げない、なんて動詞は絶対俳句の話になりそうですが、
そこをあえて設定の妙で上手く使えるかも楽しみにしています。
難しいかもしれませんが、実力派の常連の皆さん、そして才能の芽がふきだそう
としている新人の方々の作品をお待ちしています。






192 :重要無名文化財:02/07/06 20:56
>166
「らくごのご」ですか。
番組名は知っていたのですが、どんな内容かは知りませんでした。
そういう見方もあるんですね。勉強になります。

193 :重要無名文化財:02/07/06 21:33
「らくごのご」懐かしいな。
覚えているのは、鶴瓶が「単身赴任」を「三枝夫人」、「人間ポンプ」を
「インゲン、ポン!プ!(料理している)」なんかで無理に使っていた時かな。
三題噺って、きちんと使うもんだと思っていたけど、そういうのも楽しい。


194 :重要無名文化財:02/07/11 04:00
「長いものには巻かれろ」「油を売る」「二の句が継げない」

い「油はいりませんか?」
ろ「いつも、君は唐突に商売をしているね。」
い「油はいりませんか?」
ろ「何、君は油を売ってるの?」(パチパチパチ)
い「じゃあ、何を売ってるようにみえるのさ?ホルマリンはいらんかね?」
ろ「さすがにホルマリン売ってるようには見えないね。」
い「じゃあ、やっぱり油を売ってると思ってくれ。」
ろ「実は違いますよみたいな言い方だね。」
い「何トンいりますか?」
ろ「別に分家してくれっていうんじゃないよ。生活でいるぶんだけ下さい。」
い「生活に油なんていりますか?」
ろ「売る側の持つ疑問じゃないね。」
い「うーん、たとえば、蛇が家にいるとする。」
ろ「限りなく限られた状況だね。」
い「嬉しそうに蛇が君にまきついてきた。」
ろ「勘弁して欲しいね、そんな長いものに巻かれたくないよ。」(パチパチパチ)
い「そこで、油が役に立つ。」
ろ「あ、こう体に塗るんだ。」
い「がまの油に蛇は喜ぶ、大好物だから。」
ろ「がまは好きだけど、油は嫌いだろ。」
い「もう見境がないから。」
ろ「液体と固体で見境も何もないでしょ。」
い「アブラコブラというオチでどうだろう。」
ろ「聞かなかったことにするね。」
い「聞かない賃で油買ってください。」
ろ「聞かない賃っていうネーミングに拍手するよ。」
い「この油はよく燃えますよ。」
ろ「そんなに燃えるの?」
い「べらぼうに燃えますよ。」
ろ「すごそうだけど、どのくらいかが分かりにくいな。」
い「俺の家が燃えたくらいだね。」
ろ「駄目じゃない、それ。」
い「燃えすぎて二の句が継げなかったもの。」(パチパチパチ)
ろ「言葉もなくなるね、商売道具で家財道具燃やしたら。」
い「何故か歌を口ずさんでいたね。」
ろ「精神も燃えたんだね。何の歌?」
い「もーえろよ、もえろーよ、ほのおよもーえーろー。」
ろ「消防車関連の歌もついでに歌いたいところだね。」
い「家が燃えてるのに消防車の歌はないだろ。」
ろ「キャンプファイヤーの定番歌った人に言われたくないよ。」
い「とにかく、善意で油を買ってください。」
ろ「いや、それは駄目だね。だって、善意っていうのは心に自然と
  湧き出るものなんだ。いくら被害者でも善意って言葉を自ら使ったら
  それは善意ではなくなるんだよ。言わなければ買ってあげたのに。」
い「油だけについすべったんだよ。」

ドンドン

195 :重要無名文化財:02/07/11 14:22
うはははは、これまたシュールだねぇ!

196 :重要無名文化財:02/07/11 19:43
前半の会話の無意味さがすごくいい。
サゲも上出来。この人すごい。

197 :重要無名文化財:02/07/11 23:44
なんか落語というより、不条理コントを見てるようだ。
好きだけどネ

198 :重要無名文化財:02/07/11 23:55
その割に「がまの油」など、渋いところがある。

199 :前スレ亭ごじゅういち:02/07/12 04:03
ようこそのお運びでございます。バブルが弾けた、てなことは、もう言い出してからだいぶに
なりますな。あれを聞きますと、現代の経済というのはややこしいもんやなぁ、と思いますが、
あれは昔にもあったことなんやそうでございます。わかりやすい例が元禄時代ですな。
近年の歴史学者の書いたもんを読んでみると、「元禄バブル」てな言い方もあるようですがな。
不景気なんていう言葉も、考えてみるとその時分からあったんでしょうな。いずれにしましても、
景気がえぇ状態から段々に悪ぅなっていく時代というのは、いつの時代でもそれ相応の苦労という
ものがあるもんでして、それが証拠に我々の先人も、どだい酷い目に合うてますな。
景気がえぇ時代に町人も贅沢して、落語でも聞こかという文化が生まれましても、景気が悪なると
あんなヤツらはけしからん、とくる。いっぺんに取り締まりの対象ですな。
昔の時代にも不景気なころがあったんなら、そのころの噺の中には、今の状況にも役に立つような
事柄もあってもえぇんやないか、とか思て調べてみましても、これがなかなかおまへんな。
どこを探しても「毎度バカバカしい、毎度バカバカしい」ばっかりでございまして…。
今日はそんな中でも、もう誰もやりまへんねやが、珍しい噺を一つ聞いて頂こうというわけでして

番頭「えー、旦さん、えらい遅なりまして。ただいま帰りましてございます」
旦那「おぉ、番頭どんか。こんな時分までご苦労さんじゃったな」
番「こんなに遅なるとは思わなんだんでございますが、誠に申し訳のないことでございます」
旦「いやいや、謝るようなことやない。おまはんのことじゃ。どれだけ帰りが遅いというても
  安心して待たせてもろうてます。世間様では、ちょっと番頭の帰りが遅いことがあると、
  どこぞで油を売ってんのやなかろうか、(パチパチパチ)
  主に内緒で散財の一つや二つもしてんのやなかろうか、とつまらんことで心を痛めてなさる
  お店もあるというのに、うちに限ってはそんな心配はない。これもみな番頭どん、
  あんたが忠義なお方じゃからこそ、ありがたいことやと思てますのじゃ」
番「もったいないようなお言葉でございます」
旦「そこではちょっと話がしにくいんでな、こっちぃ入って、お座布もあてなはれ。
  遠慮せんでもえぇ。まだ、そのお座布がぬくいじゃろ。実はな、つい今しがたまで
  奈良屋の旦さんがここへおみえになってたのじゃ」
番「奈良屋の旦さんと申しますと、あの奈良茂さんがこちらに?」
旦「びっくりしなはったか。いやいや無理もない。わしもびっくりしましたのじゃ。
  奈良屋茂佐衛門というたら、日本でも指折りの材木商じゃ、その奈良屋の主ともあろう人が
  うちのような店に直々に足をお運びになるとは、一体どんなご用事かと思うじゃろ?」
番「へぇ、なんや、もの凄い覚悟をして聞かんならんような気がして参りました」
旦「わかるか? 流石は番頭どんじゃ。もったいぶってもしょうがない。単刀直入に言いましょ。
  実はな、奈良屋の旦さんからお誘いがありましたのじゃ。
  『来年からうちの暖簾の下に入りなさらんか』とな」
番「旦さん。今、なんとおっしゃいました?」
旦「つまりな、この不景気なご時世に細々と材木商を続けるぐらいなら、
  奈良屋の傘下に入って安心して商売を続けてみてはどうか、と、こういうわけじゃな」
番「やっぱりそうでおましたか。もしかしたら聞きまちがいかと思たんでございますが…。
  で、旦さん、返事はなんとお答えに?」
旦「ん?…うぅん…」
番「そのお誘い、キッパリとお断りになったんでございましょうな?」

200 :ごじゅういち:02/07/12 04:04
旦「番頭どんはやっぱり反対なさるか。いや、おそらくそうじゃろうと思うてな、まだ、返事は
  しておりませんのじゃ。心配せんでもえぇ。次に会うときには後で揉めることもないように
  体裁よう断るつもりじゃ。しかしな、こんな話はいっぺん断ったら次はもうない。
  今も店の帳面を見せてもろうてたが、正直なところ、縋りたなる気持ちもほんまもんやな」
番「旦さん!旦さん! どうか、どうかお気をしっかりお持ち下さりませ。
  そりゃ、今のこのご時世、うちのような小さい材木屋までがみんな潤うような
  えぇ儲け話はなかなかございません。けど、せやからというて、奈良屋のような
  大きなお店に簡単に乗っ取られてしまうというのは、あまりにも悔しゅうございます。
  こちらには十三の時分からご奉公させて頂いておりますが、あの頃は…あの頃はまだ
  亡くなられた先代の親旦さんもご存命でございました。親旦さんがもしこのお話を知ったら
  どれだけ寂しがられることか…それを思うと……」
旦「よう、言うて下さった。番頭どん、今のあんたの言葉。わしゃ生涯忘れませんぞ。
  さっきも言うたように、まだ返事はしてませんのじゃ。というのも番頭どん、
  あんたのことが気にかかっててな。来年というたら、あんたに暖簾分けをさせるという
  約束がしてあった年。じゃが、もし奈良屋さんのお誘いを受けてしもたら、そのことは
  一切帳消しにさせてもらわんならん。それでは来年の暖簾分けを目指して尽くしてくれた
  おまはんがあんまりにも不憫やないか」
番「こんなときにまで番頭のわたいの暖簾分けのことを気にかけて下さるやなんて…。
  仕事が減ったのは一番番頭であるわたいの働きが足りん証拠。明日から先、奈良屋に負けんよう
  気張って仕事を取って参ります」
旦「いやいや、今回ばかりはな、そうも簡単にはいきそうにないのじゃ。
  あんたは、まだ知りなさらんと思うが、この程、江戸の幕府のほうでお役人に交代があってな。
  なんでも、今度新たに老中になられた田中様というお方が、今までにないようなお勤めの
  厳しいお役人なんじゃそうな」
番「そのことでしたら、噂には聞いてございます。いずれ近いうちに旦さんのお耳に入れようと
  思てたとこでございます」
旦「なんじゃ、知ってなさったか。なら話は早い。その田中様のお触れというのが、
  恐ろしいやないかいな、これまで我々がおこぼれに預かってきたような幕府の仕事を、
  今後一切やめにするとおっしゃるのじゃ。なんでも、今までのやり方ではムダが多すぎて
  幕府の財政にさわる、というのが持論でな。信州では早速、信濃川の堤の計画が取り止めに
  なり、それをきっかけに阿波の吉野川、美濃の長良川でも同様の有様。このままでは大坂でも
  うちのような小さい材木屋まで儲かるような仕事はなくなってしまうのも時間の問題じゃ」
番「旦さんがそこまでご存知なら、こちらも話が早うおます」
旦「何か妙案でもあるような様子じゃな」
番「さっきも申しました通り、少し前にその噂を耳にしてからというもの、そのことについて
  どうしたもんかと思案を重ねておったんでございます。ない知恵を絞って考えておりました」
旦「ほぉ、聞かせてもらいましょかな」
番「まず、その田中なんたらという老中のお触れの件でございますが、幕府の中でも賛否両論、
  はっきり申しましてあんまり評判はようないんやそうでございます。というのもその老中、
  なんでも若い時分には、お武家の生まれにもかかわらず『黄表紙』というような
  妙な本ばっかり書いてて、最近になって急にお勤めのほうに熱心になったんやそうで。
  そんなんやさかいに、幕府の中でも今回の老中の人事に不満を持ってる連中も多いとのこと」
旦「いや、前々からうちの番頭はようでけた男じゃと思てたが、ここまでとは知らなんだ。
  恥ずかしい話じゃが、それはわしも初耳じゃな」

201 :ごじゅういち:02/07/12 04:05
番「おまけにこの田中はん、幕府の仕事を減らしたいと言うのは百歩譲ってえぇとしても、
  それでは困る人間もいてる、その後はどうするのかと訊ねられるといっぺんに口篭って
  二の句が継げんようになってしまうんやそうでございます(パチパチパチ)
  つまり、それだけ掛け声は勇ましいことを言うてても、ほんまにそれでうまいこといくかどうか
  疑うてる役人も幕府の中にはいてるわけでございますな」
旦「おまはん、えらい幕府の内情に詳しいな」
番「この話を得るためには……多くの犠牲が出て…」
旦「えらいことやがな、まさかうちの店のもんじゃありゃせんじゃろうな」
番「旦さん、冗談でございますがな。それにしても、今度のお触れの一件では、店の中でも
  心配するもんは少のうおまへん。わしらの釜の蓋が危ない、言うてですな。それだけやない。
  このままでは商売人そのものの元気がなくなって、いつのまにか国全体の元気がなくなる。
  『なんとなく、国廃る』というのが合言葉で」
旦「なんじゃそれは?」
番「これを言うと事の大きさががわかってなかった連中もとりあえず次第がわかるんでございます」
旦「そんなもんかいな。それにしても、店のもんも皆知ってなさるとは…知らぬは旦那ばかりとは
  このことやな。で、あんたの妙案とやらは」
番「そしたらまず、最前までおこしになってたという奈良屋の旦さんのことからお話いたします」
旦「奈良屋さんが関係しますのか?」
番「今でこそ奈良茂といえば日本一の材木商としてその名を馳せておりますが、
  そもそもあそこは、日光の東照宮大権現の再建の仕事を引き受けて大きゅうなったお店。
  それ以来、幕府に絡む仕事を受けるためというては、どれだけえげつないことをしてるか
  旦さんはご存知でございますか?」
旦「そら天下の奈良茂、なかなかのやり手やという噂は聞こえてくるわいな」
番「やり手てな生易しいもんやおまへんで。仕事を取ってくるためには手段は選ばず、という
  ヤツですな。袖の下なんかは申すに及ばず、勘定方の役人を吉原に連れていくために
  専用の番頭を江戸に三人も置いてるというのがもっぱらの噂でございますがな」
旦「そんな真似は、わしにはでけんで」
番「それは心得ております。そこまでして頂くには及びまへん。でも、袖の下ぐらいなら
  なんとかならんもんでございましょうか?」
旦「うーん、ようでけた番頭を持つというのも、時によっては考えもんじゃな。まさか
  奉公人に袖の下の用意を催促されるとは思いもよらなんだ。用意できんとは言わんが、
  なんせこのご時世じゃ、ぎょうさんはないで、うーん、これで精一杯じゃな」
番「結構でございます。うちの店ではこれだけでも、これから大坂中の材木商に呼びかけまして
  それぞれのご主人に掛け合うて幾らかのお金を用意してもらうことができましたら、
  そのときは、江戸の役人の一人や二人、屁でもない」
旦「いよいよ恐ろしいことを言う。しかし、一人や二人を袖の下で手なずけたとて、
  幕府のお触れというような大きなものは動かすことはできんじゃろ」
番「そこも、ご心配に及びません。幕府の田中はんを疑うてる中で一番のお役人を狙います。
  この人を動かせたら、残りの連中は長いもんに巻かれるに違いございません。(パチパチパチ)
  なんせ、今まで長い間、奈良茂の袖の下やら色仕掛けやらで散々おいしい目に合うてきた
  連中ですからなぁ」
旦「番頭どん、わしゃ、なんや頭が痛うなってきたな。おまはんのようなお人を番頭というて
  常々そばへ置いてたかと思うとゾッとするわい。ところで、番頭どん。この話はみんな
  おまはんが一人で考えなさったのか?」
番「実は旦さん、そうではございません。今日、帰りが遅なりましたのもこの一件が原因なので
  ございます」
旦「はて? それはまたどういう訳じゃな?」

202 :ごじゅういち:02/07/12 04:07
番「この度の幕府のお触れの一件のことが知れたのも、全ては寄合のおかげなんでございます」
旦「寄合とな?」
番「はい。大坂中の材木商の番頭仲間で寄合を持って、このお触れにどういう風に応じていけば
  我々の飯の種を守ることができるか、毎日のように相談を続けておったのでございます。
  それで、まとまったのが先程申し上げました一計でございまして。今ごろは仲間の銘々が
  それぞれのお店で袖の下の用意をお願いしておることやろうと思います。旦さん、
  ご安心下さいませ。大坂の材木商の間には、このように頭の切れる番頭が集まっております。
  これからも材木屋の将来は安泰でございます」
旦「……番頭どん。よう聞かせてくれました。いや、そなたのことは前から頭の切れるお人やと
  思うてたが、それでも、今の話は一人で考え付くようなもんではない。確かに、ようでけた
  妙案やと感心もした。そなたは一番番頭じゃ。せやからこそわしも頼りにさせてもろうてます。
  じゃがな、番頭どん。ちょっと増長が過ぎやせんかな? 一番番頭とはいえ、そこは奉公人。
  幕府のお役人に袖の下を渡すことを奉公人仲間が集まって決められるようなことがそのまま
  許されると思うてたら大間違いじゃ。おまはんらは知らんじゃろうがな、この前の材木商の
  寄合があってな、そこで、ここ最近どこのお店でも一番番頭の言動が怪しいという話が出ました。
  今ごろはそれぞれのお店で、番頭さんが盛大絞られとるに違いないな」
番「……」(驚きと怒りに震えながらもハッと我に帰る)
旦「えぇかな。商ん人がこの世間で生き残っていくためには、袖の下てなもんを使わんならんことも
  時にはあるかもわからん。けどな、この度のお触れの一件はどうじゃ? わしはな、番頭どん。
  材木の商ん人を必要としてなさる方がどれだけおるのかを考え直すえぇ機会じゃと思うたな。
  幕府の仕事にくっついて堤を作れば喜ぶお方ももちろんおられるじゃろう。けどな、
  ここ何年か、わしらはそのことばっかりに力を注ぎ過ぎた。その代表が奈良屋さんじゃな。
  そのせいで材木の値段は上がり、火事で焼けた長屋を建て直そうという方々なんかは
  どれだけ苦心をなさってるかわからん。わしはな、番頭どん。そんな方々に喜んでもらう
  ために材木の商いをするのも商ん人の立派な天命やと思いますのじゃ」
番「結構なお話を聞かせて頂きました。おかげで目が覚めたような気がいたします。
  けど旦さん、やっぱりこれだけのことが旦さんに知れました以上、やっぱりわたいは
  足が上がるんでございましょうな?」
旦「こればっかりは仕方がないな。わしはおまはんを失うのは惜しいんじゃが、それでは
  店のもんや世間様に申し訳が立たん」
番「よろしゅうございます。心を改めて一から出直します」
旦「そうしなされ、人間、心の持ちようで失うた物は取り戻せるはずじゃ。それにしても、
  えらい素直にわしの話を聞き入れてくれたな。さっきの顔を見た時は、開き直ってやけでも
  起こさにゃえぇが、と心配しましたぞ」
番「はい。さっきまでは、主である旦さんに刃向うて思わず手を上げそうにさえなっておりました。
  そんなことに及んでたら、いよいよ身の破滅になってしまうところやったかと思うと…。
  主である旦さんに手を上げることと比べたら、足が上がるぐらいどうとも思いません」


反体制的な噺である、ということを理由に、できて間もなくに封印をされておりました。
今でこそ芝居がかりで罪のない噺になってますが、これこそが元祖の「足上がり」でございます。
長々ご退屈さまでした。


ドンドン

203 :重要無名文化財:02/07/12 04:26
米朝の百年目風の噺ですね。
田中知事のスパイスも混ぜ込んであって面白いです。
見たところ、この間の半弗さんの噺の説教部分に刺激されたと推測しますが。

204 :重要無名文化財:02/07/12 16:31
演題は「足上がり」で決まりだな。

205 :ごじゅういち:02/07/13 03:13
>>203
即レスに近いような感想、ありがとうございます。
確かに半弗さんの影響もあったのかも…。
でも、今回の作風の原因は別のところにあるんですよ。
この前、アメリカのメチャ社会派の映画を見たんですよ。
で、映画の現代社会への影響力について考えさせられるところがあって、
落語でもそういうのはできんもんかなぁ、みたいなことを考えながら作ってました。

>>204
そ、それはちょっと…。実在する噺の演題のまんまはマズいでしょ。
一応、考えてる演題の候補はあるんですけど、主催者氏のネーミングセンスも
毎回楽しみなので、今のところ保留にさせて下さいな。

ちなみに、今回の噺で名前だけ登場した「奈良屋茂左衛門」ですが、
実在する人物です。この人に関して折り込んだ逸話も史実に近いようにしてます。
興味が湧いた人は講談社現代新書の1257「将軍と側用人の政治」大石慎三郎著
をオススメしておきます。

206 :主催者:02/07/17 02:44
難しいと思われましたが、好作品があがっています。

匿名さんの >>194「油売り(仮)」は、いつもながらシュールな作品です。
仲間が油を売るというだけなのに、数々の違和感というか不思議な空気が
たまらなく広がっています。「限りなく限られた状況だね。」
「言葉もなくなるね、商売道具で家財道具燃やしたら。」などツッコミが
一筋縄じゃないですね。アブラコブラのくだりは爆笑問題を
彷彿とさせるボケツッコミです。
ハイレベルな噺ですね。

ごじゅういちさんの>>199-202「材木屋騒動(足上がり)(仮)」という
大作ですが、お見事の一言です。
タイトルは本当は大坂じゅうの材木問屋で画策がばれて騒動になっている
はずですから「材木商の乱(仮)」というのも考えましたが、
先日「大丸屋騒動」を聞いて印象に残っていたので、上記のネーミングになりました。
実在の噺の演題も「風の神送り」「いもりの黒焼き」「初音の鼓」など
同じ演題で内容が違うものも多いですから、「昔は『足上がり』と呼んでいました
が今は『材木屋騒動』と呼ぶことが多い」みたいなニュアンスで書いておきました。

内容ですが、『なんとなく、国廃る』などの田中県政の盛り込み方も
さることながらストーリーが濃厚で、よく練られた印象を受けます。
奈良茂の傘下騒動から、田中知事のパロ、番頭寄り合いの画策、
大旦那の泣いて馬謖を斬るくだりまで、一本につながって無理がないのが
凄いと思います。重厚なお店噺が聞けるとは思っていませんでした。
ありがとうございます。

もうしばらく、この御題を続けます。
ご参加よろしくお願い致します。


207 :ごじゅういち:02/07/19 01:10
>主催者氏
演題、ありがとうございます。
一応考えてた候補というのを発表すると、
この後旦那も番頭も心を入れ替えて親切な人間になる、というのとかけて
「新説・足上がり」でした。お粗末さまでございます。
「材木屋騒動」のほうがしっくりいきます。

208 :sana亭omi:02/07/20 18:04
・・・ダイモク騒動・・・


209 :重要無名文化財:02/07/22 21:06
このスレ、面白いですね。
ここのかたがたに新作作ってもらいたい。

210 :湖亭半弗:02/07/25 00:24
新企画ですね、こういうのは面白いと思います。
ごじゅういちさんの「材木屋騒動」があまりに大作なので、
今回はちょっとラフな噺でご機嫌をうかがいます。
「長いものには巻かれろ」「油を売る」「二の句が継げない」ですね。

世の中には、この、お金持ちとまぁそうでない人とがあるんやそうですが、
金持ちちゅうのは何でもそれで解決したがるんですなぁ。
揉め事があっても、「これだけ払やぁえぇやろ」てなもんで、いくらか
置いていく。また貰う方も貰う方なんでっしゃろけど、あんまりえぇもんや
おまへんわなぁ。昔、一万円札が聖徳太子さんの肖像画やったときが
あって、そんな時分の小咄で、
金持ち「なんや、どないしても引かんちゅうのか、相手は。」
お付き「そうです。」
金持ち「ほな、万札をな、これ、これで五万円や。これで許してもろぉてこい。」
お付き「いやぁ、こらあきまへんで、相手『物部さん』ちぃまんねん。」
聖徳太子は蘇我馬子側やったさかいね、こんな小咄も説明せんともう通じんように
なってしもたんですが。

清八「ははぁ、今日は皆ようけ集まったな。」
喜六「せ、清やん、今日は何ぞえぇ話か?」
清八「えぇ話といえば、まぁえぇ話かも分からんな。いや、町内の連中も
集まってもろてすまんが、皆、食いもんに好き嫌いはないな?」
A「何をいうねや、清やん。呼びつけて好き嫌いて。わしらにかて
食えんもんぐらいあるで。」
清八「へー、そら知らなんだ。皆、悪食で通ってるさかい、何でも食える
と思てた。」
A「バカにしいなぃ、わしかて荷車は食えん。」
清八「よぉそういうしょうもないこと言うてるな。えぇ。誰が荷車食う話
しとるねや。普通に皆が食べてるもんの中で、好き嫌いはないか、
ちゅうてるねや。」
A「はは、ほなないわ。」
清八「せやろ、ほなええやないか。その隣は?」
B「酒さえあれば何でも食えるな。」
清八「おまはん、酒好きやさかいな、その隣は?」











211 :湖亭半弗:02/07/25 00:25
C「いやぁ、こないだから腹痛でなぁ、刺激物やとか何とか、そういうのは
あかんねやて。」
清八「いやいや、そないなもんやないねん。体にえぇもんで好き嫌いはないか?」
C「それやったらいけるわ。」
清八「そうか、そら結構やな。その隣は?」
D「ふん、何でも食えるがその手は食わん。」
清八「何じゃい、その手て?」
D「この中には、お前、仕事休んできてる奴もおりゃあ仕事の最中に
油売ってるついでに寄った奴もいてるわいな。(パチパチパチ)
そういう連中に酒を飲ませてやで、酔いつぶれたところで、
告げ口をしに行って小銭を稼ごうと、お前の魂胆はなんちゅうあさましい。」
清八「えらい濡れ衣やな、えぇ。そんな事せぇへんわいな。」
D「ほな、何をするねや、1人1人好き嫌い聞きまわって。」
清八「いや、実はな、ここにぎょうさんのとろろ芋があるねや。」
D「とろろ芋?」
清八「そうやねんや。かいつまんで話すとな、わしゃ知っての通りに
とろろ芋が好物や。せやさかいに近所でもどこでもとろろ芋とろろ芋やちゅうて
歩いてるわ。」
喜六「せやせや、今度清やん、とろろ芋屋を身請けするちゅうて評判や。」
清八「おかしな評判広めてるなぁ、えぇ。まぁ、そないしつこないに言うてたら
田舎からとろろ芋を送ってきてな。とろろ芋が百本や。」
D「そらえらいもんやな!」
清八「そうやろ、えらいもんや。」
D「あー、皆まで言うな!よぉ分かった。」
清八「分かってくれたか。」
D「分からいでか、えぇ。つまり、今からおまえが百本分食うさかいに
わしらに見届けてほしいちゅうねやろ。とろろの一気食いはしんどいぞぉ、
ヌルヌルするしな、口のまわりはまけてくるし、かゆぅてたまらん。
それを周りが「一気、一気・・・」ちゅうて見てると、なんちゅうあさましい喰い方。」
清八「誰がそんなんするちゅうた。せぇへんわいな、そんなん。
いや、確かに好物やし、食えるもんなら皆食てしまいたいけどな。
せやけど、お前ら「芋粥」ちゅう話をしらんかい?」
E「あぁあ、龍ちゃんの。」
清八「連れみたいに言いないな、芥川龍之介の小説や。」
喜六「そ、その、生玉はんが曲がるの助さんがどないしたんや。」
清八「あんじょう聞かんかいな、芥川龍之介や。この話はな、芋粥を食べたい
食べたいいつか腹いっぱいの芋粥をといつも願うてた人がいててやな、いざ
食べれることになって食べたんやが、いざ夢を果たすと何とのぅ寂しい気持ちに
なってしもうた、ちゅう話や。」
喜六「えらい、それ、贅沢な悩みやな。」
清八「人間誰しもそうやがな、このとろろ芋かて、一遍腹いっぱい食べてみたい
とは思うもんのやで。いざ食べたらその、反発ちゅうんかな、好きなとろろが
嫌いになるやも分からん。」
A「あー、それ留やんもそれやで。博打狂いやったんが、いっぺん大勝ちして
『今度やれば必ず大負けするに違いない』ちゅうて、やめてもたわ。」
清八「せやろ、せやさかいに1人で食うのはやめにして、皆でとろろ芋を
食おうやないかちゅうてるねや。せやから、嫌いなもんはないか、好き嫌いは
ないかちゅうてるねや。」
D「はー、そういう事かいな。わしの睨んだ通りや。」
清八「嘘をつけ、お前。一番疑うてたやないか。ま、ま、そういうことで
米の飯はようけたいてあるねや。せやさかい、皆でとろろを擂ってもらって
ワーっちゅうてやろうとこういう訳や。」
A「そら結構な話やな。」
B「あぁ、そらえぇわ。休んできた甲斐あったわ。」
C「おありがとうござります。」
清八「おかしな物言いしなさんな。さぁ、とろろ芋だけはようけあるさかい、
ジャンジャン擂って食べておくれ。」


212 :湖亭半弗:02/07/25 00:25
金屋満次郎「邪魔するで。」
清八「(わぁ、嫌な奴が来た・・・、金満が来たで、おい)。」
喜六「(な、何が嫌や?)」
清八「(あいつ、金持ちやさかいに、金に物言わせて何かと偉そうに
しくさるから好かんねん。)。
おぉ、金満の。どないしたんや。」
金満「いや、何や皆が寄ってるちゅうて聞いてな。何や、皆大勢で?」
清八「あぁ・・・、あー、お前も食べていってくれるか、とろろ。」
金満「とろろ!?わしゃ、そんな下衆なもん、よぉ食わん。」
清八「ぬかしたな、ほなら食うてらんわい、これから皆でワーちゅうて食べよう
ちゅうとこや、帰ってくれ。」
金満「そうかそうか・・・、おい、皆の衆。とろろ芋食うたかてたいした贅沢には
ならんわぃ。わしについてきてみぃ、新地の芸妓呼んで、上手い刺身でも食おうや
ないか。金?わしが誘うておいてとるかいな、皆わしが出したるさかい、ついとおいで。」
D「芸妓に刺身・・・、ほな、清やん。少し擂ったさかい、これで食べて・・・。」
清八「お、おい、ちょっと待ちんかいな、これ。あ!あんたも行くんかいな?
えぇー、おまはんは・・・、あんたもか。おいおい、皆ぞろぞろと、おい、
そらとめへんけんども・・・、おぉい!」


213 :重要無名文化財:02/07/25 00:26
喜六「はぁー、えらいもんやなぁ、清やん。皆ついていてしまいよった。」
清八「二の句が継げんなぁ、えぇ、ほんまに。(パチパチパチ)薄情な奴らやで。
せやさかい、わし、あいつ嫌いやねん!」
喜六「わ、わたいに怒ってもしゃあないがな。わしかてほんまは行きたい。」
清八「何ぬかす。あら皆、金満に借金があるさかい、ついていてるだけやがな。
皆、長いもんに巻かれやがって・・・。(パチパチパチ)おっと、こら、
お前だけは逃さんぞ、さぁ、とろろ芋食べるぞ、擂ってくれ。」
喜六「擂ってくれ、て清やんは?」
清八「わしゃ食わす側やで。それぐらいしてくれてもえぇやろ。」
喜六「なんじゃ、わしだけ貧乏くじやな、ゴリゴリゴリ、そら清やんには
義理があるけども、ゴリゴリゴリ、わしかて新地に、ゴリゴリゴリ、刺身や
何やうまいもん、ゴロゴロゴロ、ただで食えるねやったら、ゴロゴロゴロ、
とろろ芋では満腹になるけど、ゴロゴロゴロ、何とはなしに・・・」
清八「何をぐちゅぐちゅ言うとるねや、お前は。はよ擂ってくれ。」
喜六「はぁ、だいぶに擂ったで、わし1人でよぉこれだけ擂ったで。」
清八「ははは、上等や上等。労働の後のとろろ芋は旨いはずやで、さぁ、
喜ぃ公、食わんかいな・・・、お前、どこへ行くねや?」
喜六「いや、別に。」
清八「別にやあるかい!ははぁん、そうか・・・、お前も薄情に、皆の後
つけて旨いもん食おうちゅうねやな!喜ぃ公、お前まで、長いもんに巻かれたか!」
喜六「いぃや、わしゃ、長芋で(手が)まけたんや。」

ドンドン

214 :湖亭半弗:02/07/25 00:27
最後が匿名になってしまったようですが、サゲも私です。

215 :重要無名文化財:02/07/25 13:37
金満みたいな奴、いる!
オーソドックスな展開にちょこちょこリアリティがあって面白い。

216 :ごじゅういち:02/07/27 03:54
>半弗さん
「饅こわ」や「寄合酒」系統の噺ですね。一度は挑戦してみたいスタイルです。
特に「寄合酒」の雰囲気を強く感じますね。ウロコ取りの「バリボリベリバリ」が
「ゴリゴリゴロゴロ」に変わったような。
上方勢の師匠格とあがめる半弗さんから「大作」という言葉をいただくとは、
妙に恐縮してしまったりしますが、とりあえず、脱スポーツと擬古典という
課題はクリアできたのかな? あと、>>175へのお返事がもらえたりすると
更に嬉しかったりするわけなんですが、いかがなもんでございましょう?


217 :sana亭omi:02/07/27 23:55
「油を売る」「長いものに巻かれる」「二の句が継げない」で、


ああ、俺の人生はどこで狂ったんだろう?

て言うか、今思えば、物心のついた初めからおかしかった。
俺の家は美濃の名門で土岐源氏の流れをくむ、
名家とまでは言わないが結構巾を利かしていたんだよ。
そう、祖父さんの代まではね。噂でしか知らないけれど。

親父の代になったら、・・・くそー・・・
何処の馬の骨とも分からない、上方からの流れ者の、
坊主くずれの油売り野郎め、(パチパチ)
殿さんにうまいこと取り付いて、とんとん拍子の出世だ。
飛ぶ鳥を落とすという勢いってやつか、
とうとう、親父は・・・結局、長いものに巻かれたんだろうな。(パチパチ)
・・・奴の家来になってしまった。

俺はそんな親父の姿を見るのが耐えられなくて家出した。
見送ってくれたのは桔梗の旗だけだったがね。
涙を堪えるのに苦労した、良い思い出だ。
俺は桔梗の旗を祖父さんの時代のような元気なものにしたかっただけなんだ。

家出したあとの苦労話はとても人に言えたもんじゃないし、
思い出したくもない。まったくひどいもんだった。
例えば、美濃にいた頃は、
俺を誰だと思っているんだ。俺の名前を知らないかっ
と啖呵を切れば、喧嘩相手も「あっ」てな事を言って、
かたち上は敬意を表したような表情を見せてくれたもんだが、
こっちの奴等ときたら本当に俺の事を知らないもんだから
余計にバカにされちまったよ。


218 :sana亭omi:02/07/27 23:57
そんなこんな、色々あったが
俺にも運が回ってきた。天下のタイショウに気に入られちゃったんだ。
さあ、これで桔梗の復活だ。
と思う間もなく、俺もホントついていないね。
すごい勢いで次の天下のタイショウ候補が伸してきて、
お前にとってはどっちが天下のタイショウなんだ、
どっちにつくか俺に決めろと言うんだ。
俺は心の中で悩みながらも表面的には即断で決めた振りをして
実は悩まずに即断で決めたとおりに
次の天下のタイショウ候補についていく事にした。
この辺の演技を間違えると大変な事になる気難しい奴なんだ。新タイショウは。

やっぱり俺は親父の子だった。結局、長いものに巻かれたんだ。
でも、親父は美濃のタイショウを長いものとして巻かれたが
俺は天下のタイショウを長いものとして巻かれた。
俺の方がスケールが大きいという事だけは誰にも譲れない。

新タイショウの下でも俺はよく働いたよ。
ただ、ここでも俺に不幸があり、俺が生きているのと同時代に
猿顔の同僚も生きていたということなんだ。
奴に負けないように俺もがんばったけれど、・・・。
色んな事があって、今は結局、
猿顔との戦争に負けて逃げている最中だもんな。

何があったって?
俺が新タイショウを殺したのさ。その復讐戦で猿顔に負けたんだ。
殺した理由は、せっかく俺の働きで桔梗の旗を昔以上に立派なものにしたのに
奴がそれをないがしろにしやがったからさ。
桔梗の旗は俺が俺である原点みたいなものだからな。
でも、ホントは殺すまでのつもりはなかったんだ。いや、ホント。


219 :sana亭omi:02/07/27 23:58
つい、口が滑ったんだ。あそびの連歌の会でね。
俺が発句で、「時は今、雨がしたしる五月かな」と詠んだんだ。
ところが、烏帽子を被ったボンクラがいて、
ボンクラのくせに変に深読みしやがって
「土岐は今、天が下治る五月かな」という意味にとったみたいなんだ。
もっとも俺もその意味を裏に置いて詠んだのだけれど
単なるシャレだったんだよ。
烏帽子野郎は目を白黒させて、文字どおりで悪いけど
なかなか二の句が継げなかったよ。(パチパチ)

こんな事でも新タイショウの耳に入ったら俺の身は破滅だ。
俺がいなくなったら桔梗の旗も消滅してしまう。
そこで、やむを得ず殺られる前に殺れってことになったんだけれど
やっぱり、自業自得だ。
今は猿顔の軍勢に追われて逃げている。
こうなったら捕まってたまるか、何処までも逃げ切って・・・
いってー、
誰だ、いきなり横から俺を刺すのは、

この、キキョウ者ー!(ドンドン)

これにて一巻のお終い。まあ、番外編と言うことで、


220 :重要無名文化財:02/07/31 13:11
「俺」っていうから誰かと思ったら(w
「二の句が継げない」、連歌で出ましたね。

221 :重要無名文化財:02/07/31 23:15
落語というよりも何だろう、独白?
sana亭さんの日向守落語も見たかったが、今回は番外編だし
次回も期待するよ。


222 :ごじゅういち:02/08/01 01:03
>omiさん
こういうのも新鮮ですね。
もしや「利家とまつ」に影響されましたか?
勝手に演者を想定すると、彦いち、昇太、喬太郎の順に
思い浮かんだんですが、当てはまるのはありますか?

223 :sana亭omi:02/08/01 19:07
220〜222、どうもありがとう。

>221さん、
明智光秀と彼の失敗をなじる家来との会話調の噺にしようか、
それとも番外編と言うことで、講談調にしようかとも
思いましたが、結局、独白調の噺になりました。

>ごじゅういちさん、
「利家とまつ」は見ていますが、特に意識はしませんでした。
独白調の噺にしようと決めた時、
脳裏にあった噺家は円丈ですが、
内容は特に意識したものではありません。

>こういうのも新鮮ですね。
僕が、あなたたちに互して作品を発表しようとする場合
こういうことも考えないとね。
だから、この言葉は嬉しかったです。



224 :主催者:02/08/03 13:14
夏真っ盛りというのに忙しくて、なかなかゆっくり拝見できませんが
珠玉の作品がまたあがってきています。

半弗さんの>>210-213「とろろ芋(仮)」は、素朴な感じの作品です。
寄合酒の雰囲気から、金満の出現で噺が大きく動くところも、
人間心理がよくあらわれていて面白いと思いました。
喜八が板ばさみでかわいそうですね(笑)

OMIさんの>>217-219「光秀走馬灯(仮)」は落語というより
地噺小説ですね(笑)でも、なかなか番外編らしく楽しめました。
「・・・事にした。」という言い回しが、私は円丈師匠っぽく感じました。
「時は今、雨がしたしる五月かな」って単なる洒落だったんですね(笑)


番外編も終わって、第十六回から番外編までの感想週間を設けたいのですが、
前回同様のリスト化がここのところちょっと忙しくて出来ません。
どなたか以前の形式でやっていただけたらありがたいです。
(前回スレッドをまたいでいるので、難しいのですが)
主催者らしいことが出来ずにすみません。

また、作家さん各々の「ピックアップ感想」も前回好評だったので
お願いしたいのですが。よろしくお願いいたします。


225 :重要無名文化財 :02/08/04 03:36
それでは、主催者さんに代わり第十六回から第二十回
及び番外編までの作品をご紹介します。十六回のぶん、失敗してたらスマソ。

<第十六回>
「田楽」「USJ」「ピンはね」
匿名さん 「小咄・ピンはね疑惑」 http://ton.2ch.net/test/read.cgi/rakugo/1003505184/661
鉄棒勇助さん 「マタギの説得」 http://ton.2ch.net/test/read.cgi/rakugo/1003505184/664
里の筍さん 「化けもの屋敷」 http://ton.2ch.net/test/read.cgi/rakugo/1003505184/669-670
柳ヤコさん 「疑惑の笑点」 http://ton.2ch.net/test/read.cgi/rakugo/1003505184/672-674
湖亭半弗さん 「桶狭間」 http://ton.2ch.net/test/read.cgi/rakugo/1003505184/678-685

<第十七回>
「再出発」「テキスト」「素人」
重要無芸文化財さん「夫婦は二世」 >>21-24
湖亭半弗さん 「授業場風景」 >>29-31
匿名さん 「ストと社長」 >>39
sana亭omiさん 「風邪薬」>>41-43

<第十八回>
「都都逸」「ゴング」「カーネーション」
菊亭艶馬さん (準作品) >>60
鉄棒勇助さん 「マタギは歌手になれるか」 >>61
里の筍さん 「二人旅」 >>63
湖亭半弗さん 「猿の守り本尊」 >>69-70
柳ヤコさん 「試し都都逸」 >>75-77

226 :重要無名文化財:02/08/04 03:39
<第十九回>
「Aチーム」「しゃもじ」「雨漏り」
前スレ亭ごじゅういちさん 「雨森弥助」 >>95-96
匿名さん 「屋内テニス」 >>101
sana亭omiさん 「左官第三組合」 >>104
里の筍さん 「熱湯の主(仮)」 >>109
湖亭半弗さん 「一力屋」 >>111-113

<第二十回>
「クリーニング」「取り違え」「アジサイ」
匿名さん 「梅雨骨」 >>132-133
前スレ亭ごじゅういちさん 「W杯見物〜南の旅〜」 >>134-136
sana亭omiさん 「野暮雨」 >>141-143
里の筍さん 「洗い張り屋」 >>151-152
湖亭半弗さん 「カタツムリ」 >>156-159

<番外編『慣用句三題噺』>
「長いものには巻かれろ」「油を売る」「二の句が継げない」
匿名さん 「油売り」 >>194
前スレ亭ごじゅういちさん 「材木屋騒動(足上がり)」 >>199-202
湖亭半弗さん 「とろろ芋」 >>210-213
sana亭omiさん 「光秀走馬灯」 >>217-219

以上です。お気に入りの作品に感想をお書きください。

227 :sana亭omi:02/08/04 18:34
重要無名文化財さん、お疲れさまです。



228 :重要無名文化財:02/08/05 23:39
おつかれあげ

229 :重要無名文化財:02/08/07 17:54
十六回の分、読み返してみました。
今の季節に見ると、里の筍さんの「化けもの屋敷」がまた笑えます。
お化けじゃなくてもお化け屋敷のスタッフとか、本気でああやって
ぼやいてるかもしれないなあ。

230 :ごじゅういち:02/08/07 19:13
感想ということで思いつくままに…。

「疑惑の笑点」は絵が浮かびやすくて、すんなり楽しめるのがいいですね。
「夫婦は二世」では、東西両刀使いに恐れ入りました。無芸さんの復帰は?
匿名さんの「掛け合い」モノは、とにかくフレーズがいい。真似したくても
できない芸風なんで羨ましさも込めつつ。
「洗い張り屋」「カタツムリ」は、今回の中で一二を争うお気に入りの噺。
お二人は毎回読み応えがあるけど、作者の側に回って競う立場になると
「なるほどそうきましたか」みたいな部分もあって楽しめました。
「桶狭間」と「光秀走馬灯」は、こうやってまとめて読み比べると
好対照で、このスレのバラエティに富んだ感じが出てていいですね。

それにしても、USJ絡みは今読むと別の意味でも笑える…。

231 :重要無名文化財:02/08/07 22:55
>USJ絡みは今読むと別の意味でも
ですね。やっぱり(w
もうこうなってきたらしばらく太秦映画村の方に出張したほうがいいかも。

十七回は重要無芸文化財さんの「夫婦は二世」が安定した面白さ。
やっぱり題名にもなったオチ(サゲ?)の言い回しが古典の雰囲気を
作っている、落語らしい噺で安心して読めました。

232 :sana亭omi:02/08/08 23:41
改めて読み直しました。

常連の人たちの枕の部分から作られている作品は
全体の構成というか骨組みがしっかりしていますね。

この辺は僕の課題でもあると思いましたが、

せっかくのこういう場ですから
感想を中心に書込みしている人たちも
例えば三題の内の1つからでも適当なギャグが浮かんだら
あとの2つは何とかくっつけて
気軽に作品を発表したらいかがですかね。
落ちに困ったら、
個人的にはいきなりドンドンでも良いと思います。

ごじゅういちさんが言われているような、
よりバラエティに富んだスレになるんじゃないですかね。

それと、
主催者さんのネーミングセンスはすごいですね。
僕は今回の作品の中では
「南の旅」が作品の内容と共に演題名も
良かったと思います。


233 :snobinette:02/08/12 15:09
「長いものには巻かれろ」「油を売る」「二の句が継げない」
感想週間に入ってしまいました。
おくれて出す夏休みの宿題みたいですが、よろしいでしょうか。


むかしむかし、遠い山奥の村に、与平と言う男が住んでおりました。
与平は、助けた鶴を女房にしてふたりで暮らしておりました。
与平「おつる、帰ったべ」
おつる「お帰り、あんた。寒かったでしょう」
与平「なに、このくらいの寒さ、なんでもないさ。今日もたくさん油を売ってきた(パチパチ)。
 おまえが作ってくれる油は、本当に高く売れるでな、
 おれはお前のような女房がいてうれしいよ」
おつる「あんた…そんなにお金が大事?わたしはあんたと二人でつましく暮らせればそれでいいの」
与平「だども、都はええぞ。お前に、絹の着物の一枚でも買ってやりたい」
おつる「あらあんた、その白いのはなに?首にぐるぐると、
 長いものに巻かれちゃって…」(パチパチ)
与平「これか、ええじゃろう、都で買ったマフラーと言うものじゃ。
 ふわふわで、まるで鳥の羽でも織り込んであるようじゃ。どうしただ、おつる、泣いているのか?」
おつる「いや何でもないわ。ちょっと、友達のことを思い出して。機織りが得意だったわ」
与平「また、油をたくさん作ってくれ、そしたら、かんざしでも紅でも買ってやる」
おつる「でも、あれをつくるのは大変なの。わたしげっそり痩せてしまうわ」
与平「そこをなんとか頼むよ、おつる。
 さもないと、俺たちはいつまでたってもここで貧乏暮らしだ。俺はそんなのイヤだ」

234 :snobinette:02/08/12 15:10
与平も、以前はこんなに欲張りではばかったのですが、一度おつるの油でもうけて以来
だんだんと人が変わってしまいました。おつるはそれを悲しく思っていましたが、
夫の懇願を退けることもできず、仕方なく油を作るのでした。
でも、最初に油を作って差し出したのはおつるのほう、そんなことさえしなければ
与平が金に目がくらむこともなかったのに、やっぱりそれは人でない身のあさはかさか
はたまた、馬鹿な男に尽くし続ける哀れな女の愚かしさか。

そこへやって来たのが、吾作と伊作。金の話ばかりして与平をそそのかす、悪い奴らです。
伊作「お、与平、都さいってきたべか。たんまりもうかったじゃろ?」
吾作「なにしろ、与平の油は都で大評判!」
伊作「あんどんによし、髪につけてよし、なめてよし」
吾作「料理に使えば、てんぷらはカラッと揚がる、ちんげん菜をいためれば香ばしい、
 ドレッシングを作れば風味がいい。」
伊作「リノール酸たっぷり、健康によし」
与平「なんじゃおまえら、また来たのか。うるさいな。帰れよ」
吾作「そんなに邪魔にせんでもいいやろ。もうけてきたくせに」
伊作「あの油を都へ持っていって売れ、ってすすめたのは、わしらやからな。
 わしらにも、ちっとは見返りがあってもいいじゃないか」
吾作「どうじゃった、またあの評判の女郎屋行ってきたのじゃろ?」
与平「しー、おつるに聞こえる」
伊作「おつるは?」
与平「奥のへやで油を作っている。こら、戸を開けるんじゃない! 
 絶対開けるなと言われているんじゃから」
吾作「ちょっとくらいかまわんじゃろ」
伊作「わしらにもあの油の作り方教えてくれろ。そしたらもっともうかるぞ」
与平「だめじゃ。おつると約束したんだから。
 それに、となり村の浦島太郎は、開けるなと言われた玉手箱をあけて
 どえらい目にあっとるじゃろうが」
吾作「なに、あいつが助けたのは亀じゃ。お前が助けたのは鶴じゃ。大丈夫だよ」
与平「大丈夫なものか! こら、ダメだってば!」
とうとう、吾作と伊作は、戸をがらがらと開けてしまいました。
すると…

235 :snobinette:02/08/12 15:11
なんとおつるは、着物の前をはだけて、太くもない体の腹や太ももをつまんで
必死で油を絞り出しているではありませんか!
おつる「みぃ〜たぁ〜なぁ〜!あれほど見るなと言ったのに!」
骨と皮ばかりになったおつるが、髪を振り乱し、目をギラギラさせ、キバをむき出して着物をひるがえしますと、
へやにおいてあったたくさんのカメが一斉にひっくり返り
どっと、油が流れ出しました。
伊作「うわー! 一面油の海だ!」
吾作「助けてくれ! 油ですべって歩けない!」
伊作「くわばらくわばら!」
吾作「くわばらくわばらじゃないだろう! 呪文だったら、なんかもうちょっと気の利いたことをいえ!」
伊作「じゅげむじゅげむ、なむあみだぶつ、なむみょうほうれんげっきょう、はんにゃーはらみったー」
吾作「ええい、ひらがなばかりで読みにくい、無学なやつめ!」
伊作「oh,my god !  アブラカダブラ、アブラハム…」
吾作「アブラハムといえば、イサク、おまえの親戚だろ、このアブラなんとかしろ!」
伊作「そんなむちゃくちゃな! 二の句がつげないよ」(パチパチ)
与平「あのさ、油ハムってまずそうだな」
伊作「そうだよな、脂肪ばっかしで」
と、3人が油にまみれておりますと、そこへ通りかかった二人の男。
一人はどこぞの大店の若だんならしく、もう一人は番頭ふう。
若だんな「これはこれは、油ハムにお困りですな」
番頭「わたしたちがちょいと始末してあげましょう」
与平「油ハムじゃなくて油なんだけど」
若だんな「大丈夫、大丈夫」
番頭「油だろうが、油ハムだろうが」
若だんな「燃やしてしまえばみな同じ」
与平「勝手に燃やすなよ、お奉行さまに捕まるぞ」
若だんな「見つからなけりゃ、平気です」
番頭「燃やせ燃やせ、何でも燃やせ」
若だんな「油だろうが、ハムだろうが。舶来だろうが、国産だろうが」
与平「あんたたち、だれ?」
若だんな&番頭「ニッポンハムと申します」

どんどん

236 :snobinette:02/08/12 15:17
いつも楽しく読んでおりました。
sana亭omi さまが、>>232 で、「お気軽にどうぞ」とおっしゃったのに甘えて
身の程もわきまえず、投稿してしまいました。
常連の皆様の力作の前に、ただのお目汚しにしかなりませんが。


237 :sana亭omi:02/08/12 22:22
面白かったと思います。
あちこちにギャグが盛り込まれているし、
時事ネタもあるし。

個人的には
>「ええい、ひらがなばかりで読みにくい、無学なやつめ!」
と言うギャグの部分が笑えました。

気になるのは
始めに出てきた与平とおつる夫婦の行末です。
どうなるんでしょうか?

snobinetteさん、
主催者さんがどういう演題名を付けてくれるか
楽しみですね。


238 :ごじゅういち:02/08/13 01:28
>snobinetteさん

こりゃまた随分と謙遜家の方がご登場ですね。かなり笑わせて頂きました。
233の時点では「五百噺」系統というかほのぼのした作品と思いきや、
アブラハムあたりからのギアチェンジはお見事。

239 :snobinette:02/08/14 10:31
sana亭omiさま、ごじゅういちさま、早々にご感想ありがとうございました。
うれしかったです。

omiさま「気になるのは、始めに出てきた与平とおつる夫婦の行末です。
    どうなるんでしょうか?」
うーん、そうですね、「夕鶴」では、与ひょうは、つうの残した布を大切にだきしめ
呆然と夕焼けを見つめて立ち尽くす、ということですから
与平も、おつるの残した油を大切になめながら(?)立ち尽くす…かな?

omiさまの、最近の作品では、「左官第三組合」 >>104 と、「風邪薬」>>41-43 が、わたくしは好きです。
それから、こまめに感想を書いて下さるのがいいですね。
ごじゅういちさまは、「W杯見物〜南の旅〜」 >>134-136、大笑いしました。

240 :snobinette:02/08/14 11:24
あとは、今まで全部読んでの感想ということになりますけど、
湖亭半弗さまや、里の筍さまといった常連の型の作品は、いつもほんとうに面白いし
マタギの親子や徳さんはがでてくると、「今度は何かしら」とワクワクします。
わたくしは芝居が好きなので、重要無芸文化財さまのお話は
いつも楽しませていただいてます。
第15回の「初夜芝居」、第13回の「勧進帳狸」、時々読み直しては笑っています。
ジャンケンで「覇王別姫」が出てくるところなんか、もう…
いつもシュールな匿名さま、わたくしの好きな別役実の不条理劇みたいで、
「梅雨骨」 >>132-133、「油売り」 >>194 いずれも大好き。
ごじゅういちさんの「材木屋騒動(足上がり)」 >>199-202 の中の「なんとなく、国廃る」
まわりに言いふらして、みなさんに受けてます。
(老中田中様は結構好きですが)

そしてやっぱり…柳ヤコさまの「ヨンデレラ」ですか。
何度読んでも、いつもおかしい。

241 :コギャルとHな出会い:02/08/14 11:24
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242 :重要無名文化財:02/08/16 17:50
ヨンデレラ、あの大傑作(w
思い出すだけで笑える…。

古典パロディものもまた読みたいな〜。
最近見なくて淋しい。

243 :ごじゅういち:02/08/17 01:56
>snobinetteさん
>まわりに言いふらして、みなさんに受けてます。

書き手冥利と喜びつつも、妙な冷や汗も感じる…。
何にしても、気に入って頂けたようでありがたい限りでございます。

ところで、上方勢の一員として気になってる点を一つ質問。
上方弁まんまの表記とか送り仮名なんかは、非上方の人にとって
読むときに苦になったりしてます? 私としては乱発し過ぎかな、と思うとき、
もっと使いたい、と思うときなど、いろいろありまして…。
まぁ「苦になる」と言われても、やめられるものでもないんですけどね。

244 :重要無芸文化財:02/08/18 06:53
 どーもご無沙汰ですが、ここんとこ時間がなくて。
 おまけに、これまでに作ったのを読むと、何か中途半端なとこでアップしてる気が
して、もすこし時間に余裕のある時に作んなきゃなぁ、と思ってます。
 「勧進帳狸」は、歌舞伎の勧進帳の台本はあるので、それ見ながら書くべきところ
なんですが、無精して、ネットでダウンできる文楽の勧進帳を使ってます。ですんで
お馴染みの勧進帳とはちょっと違うんです。
 「初夜芝居」も「ばりばりか」という台詞があるように、状況設定を「かいなくい」
から借りてます。この噺は若旦那のリアリティがポイントで、何度も出戻った娘さん
を喜んで嫁に貰う、けれども喜ぃやんではなくて、それなりにしっかりした人です。
そういう若旦那が事情があり、そういう娘を喜んで嫁にするという、その必然性を作
らないといけないのに借り物ですましてます。
 「夫婦は二世」は「縁」というのがテーマになっていて、その「縁」を肉付けして
いくようなエピソードを盛り込んでいかないと、情緒が出ない。盗人夫婦のなれそめ
や互いの情、さらに子供を拾ってからの生活の一端とか、そういうのを描かないと、
噺としての世界が出来てこない。なのに、ストーリーが出来た時点で、名前とかさえ
チェックせずに書き込んでしまってる。
 そんなんで、古典風の噺を作るならば、もっと時間をかけなくちゃいけないなぁと、
 主催者さんの言う「誰かが使用願いを出すレベル」というのは、とてもとてもとは、
思っても、作ってるうちに欲というもんが出てくるもんです。
 かと言って、ちょっとした掌編を作るのも落語に馴染んでない身では難しい。
 そんなんで、軽く作るにしても、じっくり作るにしても、皆さんの作品を読んで、
勉強しているところです。
 次回には、小咄あたりで、復活したいなぁと思っておりますが、長い噺以上に題を
盛り込むのが難しいんで、どうなることやら。

 なお、白状しますと、34は、酔っぱらってハンドルをタイプミスした私です。

245 :重要無芸文化財:02/08/18 07:07
snobinetteさんのは、古典を下敷きにしているので、すぐに世界が思い浮かぶ。
その上で、飛び方が予想外でオモシロイですね。
タイトルは、前半から思いついたのは「油づる」。後半からは「女で暮らす油地獄」・・・・やっぱり、主催者さんのセンスにゃかないません。

246 :snobinette:02/08/19 18:59
重要無芸文化財さま ご感想ありがとうございました。
きっちりとお作りになっている、その姿勢に頭が下がります。
次回作、楽しみにしています。

信楽焼の狸が金剛杖を片手に見得を切っているところを想像しては、にやにや笑っています。

247 :湖亭半弗 :02/08/26 00:44
十六回から特別回まで全ての回に感想を書いた長文を
接続ミスで全て消してしまって放心状態です。
とてもじゃないですが書き直す心の余裕がないので
全編からピックアップをして感想を書きます。全く申し訳ないです。

とっつきやすさで、まずは「疑惑の笑点」柳ヤコさんを挙げます。
笑点メンバーという親しみやすさに加え、特徴を良く捉えていて
楽しめる作品です。

完成度でいうと、重要無芸文化財さん「夫婦は二世」 と
前スレ亭ごじゅういちさん 「材木屋騒動(足上がり)」 がやはり
よく練られていると思います。下地がしっかりとした御両人の才能が
垣間見れました。

斬新な切り口という点で、sana亭omiさん 「光秀走馬灯」を挙げます。
この方は規定スレスレの斬新さで、実に大胆に切り込んでくる語り口なので、
主催者さん泣かせでしょうが、私はこの挑戦の仕方が大好きです(藁
それでいて落語の基本には忠実なところがすがすがしいです。

オーソドックスな語り口で常にハイレベルな作品を出しておられる
里の筍さんの逸品は「二人旅」「洗い張り屋」でしょう。
弥次喜多の都都逸・俳句の銭のやり取り、洗い張り屋との画策など
江戸っ子の粋が感じられる作品です。

そして、センスの面では今回は匿名さんのシュールな短編が実に
評価が高いです。新鋭漫才を髣髴とさせる語り口の凄さは圧巻です。
突っ込みにボケの要素を加えた相乗効果で、独特の世界観を味わえます。
「油売り」ではますますツッコミの突っ込み方がひねりひねってあって
実にシュールです。残念ながら、この手の作品を見事に表現する落語家を
私は今のところ知りません。「落語らしくない」という評価はまさに
「我々が語り口を想像出来る落語家がいない」ということだと思います。

総評としては、第二十回の作品がどれも秀逸でお薦めです。
でも、私の作品で自分自身のお気に入りは「授業場風景」だったりします。
とにかく、民さんのレベルが上がってきていてついていうのがやっとな
今日この頃です。



248 :湖亭半弗 :02/08/26 00:51
あと、ごじゅういちさんの>>175の質問にもお答えします。

この回は、いつも米朝風で通していたので
「(どんな御題が来ても)枝雀風にやる!」と決めてました。
某「落語なんてつまらない、価値がないスレ」で実に見事な
枝雀師匠風レスを見た影響です。
で、頭の中で構想を練るうちに長い説教をあてはめねば噺がゴチャゴチャに
なってしまう方向へ持っていってしまいました。そこで、「枝雀師匠なら
長説教もこなしはるやろ」という安易な発想であてはめたわけです。
ですから、あの部分だけ米朝師匠の語り口で聞いたとしてもおそらく
雰囲気は壊れないと思います。もちろん、枝雀師匠の語り口を想像して
お読みになっても違和感はないはずです。
ちなみに、私はネタに詰まると根問物や寄合酒風の大勢でワチャワチャ
やる噺で「逃げます」(藁。三題噺で寄合酒はある意味卑怯ですから
真似なさらないでください。

249 :重要無名文化財:02/08/27 04:26
いまだに前スレがあがってくるとは、このスレも根強い人気だな。

250 :重要無名文化財:02/08/27 23:34
>>248
逃げの寄り合い酒でこれだけ書けるなんてうらやましいです。

251 :ごじゅういち:02/08/28 19:02
>半弗さん

レス、ありがとうございます。お待ちしておりました(w
なるほど、まず枝雀風ありきでしたか。あんまりよくハマってたんで
思わず書いてしまったのが>>175でして。
根問物や寄合酒風の件はよくわかります。でも、「逃げ」と言うには
もったいない作品ばっかりですがな。

私も、枝雀風に挑戦してみようか、という意欲が出てきました。
お題とうまく合えば近々…。

252 :主催者:02/08/28 21:50
八月ももうすぐ終わりにさしかかるというのに
なかなか顔出し出来なくて申し訳ありません。
パソコンのない実家に長期間戻っていたのも災いしました。
活発な意見交換がなされていて、本当に安心しました。
頼りない主催者ですが、何卒今後ともご贔屓にお願いを致します。

新たにあがっているsnobinetteさん(何とお読みするのでしょう?)
の「油ぅ鶴(仮)」の感想を書かせていただきます。
前半と後半で雰囲気がガラッと変わる噺ですが、両方が互いの良さを
ひきだしているように思います。話の筋とくすぐりと一粒で二度おいしい
噺といえるでしょう。リノール酸などの前半のくすぐりも噺を崩さずに効いていて
今後の作品も期待されます。

第二十一回の開始は、夏休み最後の土日直前の8月30日といたしましょう。
それまでは、夏休みの宿題ということで、読書感想文といいますか
それとも落語鑑賞日記とでもいいますか、皆様の三題噺企画・アイデアなど
でも盛り上がっていただきたいと思います。




253 :重要無名文化財:02/08/29 02:30
http://ton.2ch.net/test/read.cgi/rakugo/1029081939/908

254 :主催者:02/08/30 00:09
それでは、これより第二十一回御題取りを行います。
例によって、一レス一単語でお願いします。
たくさんの御題、お待ちしております。

255 :重要無名文化財:02/08/30 00:28
言葉狩り

256 :重要無名文化財:02/08/30 00:32
ナポレオン

257 :重要無名文化財:02/08/30 00:35
せんたくばさみ

258 :重要無名文化財:02/08/30 00:45
千手観音

259 :重要無名文化財:02/08/30 01:06
発売延期

260 :重要無名文化財:02/08/30 01:32
アザラシ

261 :重要無名文化財:02/08/30 01:35
そうめん

262 :重要無名文化財:02/08/30 04:15
出逢い系

263 :重要無名文化財:02/08/30 06:07
シャチハタ

264 :重要無名文化財:02/08/30 13:57
大仏

265 :重要無名文化財:02/08/30 14:10
インスタントラーメン

266 :重要無名文化財:02/08/30 17:00
宿題

267 :重要無名文化財:02/08/30 18:17
人妻

268 :重要無名文化財:02/08/30 18:26
なぁに?

269 :重要無名文化財:02/08/30 20:19
古時計

270 :重要無名文化財:02/08/30 22:35
お祖父さん

271 :主催者:02/08/30 23:30
たくさんの御題、ありがとうございます。
それでは第二十一回お題の発表です。

「言葉狩り」「アザラシ」「宿題」
の三題です!

こうして文章に携わると欠かせない問題「言葉狩り」
時事ネタとして「アザラシ」
もうすぐ提出時期の「宿題」
で決めさせていただきました。
ナポレオン、シャチハタ、古時計なども候補でした。

それではたくさんの作品、お待ちしております。
初心者の方も気軽にチャレンジしてみてください。
常連の方も楽しい作品を期待しています。

272 :重要無芸文化財:02/08/31 01:04
それでは、即席の小咄で

とうとう、夏休みも今日が最後の日となりましたが。
生徒1:おーい宿題やったか? (パチパチ)
生徒2:全然、してへん。
生徒1:明日から学校やで、どうすんのや?
生徒2:先生に言うね。毎日、海で遊んでて、
    宿題は、アシカがある、アシカがある、アシカがあるさと思ぅて、全くせいうちに、
    トードー新学期。けれどもノートはアザラシいまま、落第さすなら、さあオットセイ。(パチパチ)
生徒1:そんな駄洒落みたいなことばがり言うても、どうにもならんやろ。(パチパチ)
生徒2:いや。あんまり寒うて、冬休みになる。
(どんどん)

273 :里の筍:02/09/02 20:36
近頃ではゆとり教育とかもうしまして、「これからは土曜も日曜も休みだよ。あとの五日間も
あまり一杯色んなことを勉強しなくていいからね。」なんてね、こりゃあまた子供さんがたには
まことに結構な世の中になってきたもんですな。
そうかと思うと「そりゃあまずいぜ、それでなくても子供の学力が落ちてるんだ。そんなことを
した日にゃあ、これからの日本心配だぁ。」なんておっしゃる方もおられるようで、まあなかなか
教育というものも一筋縄には行かないようでございます。

これが昔は義務教育もないから今以上に楽だったかというとそうでもなかったんだそうですな。
江戸の昔から全国どこに行っても藩校なんてものを作ってさむらいの子供たちの教育を熱心に
したんだそうでして。
それがまたさむらいの子供だけなのかなと思うと、町人の子供のほうでも寺子屋で読み書き算盤を
習うというのが普通のことだったんだそうですな。
そんな時代でも子供の中にゃあできのいいのもいりゃあ悪いのもいる。中にゃあ、こまっちゃくれて
親のことなんぞは屁とも思わないのがいるというのも今と同じでしてね。

金「おっ母さん、百文おくれ。」
母「またこの子は、口を開けばお足ばかり欲しがって。
  それにそんなたくさんのお足をどうしようってんだい。
  だいたいそんなにお足がうちにあるわきゃないだろ。
  それより金坊、宿題はやったのかい?」(パチパチパチ)
金「宿題って何だい?そんなもの知らないよ。」
母「何を言ってるんだい、この子は。
  おっ母さんが知らないと思ったら大間違いだよ。
  お向かいのよっちゃんをごらん。
  手習いのお師匠さんから、イロハを覚えて来なって言われて、一生懸命勉強してるじゃぁないか。」
金「よっちゃんは出来が悪いからおっしょさんに居残りさせられたんだい。
  それでもできないから家でやんなくちゃぁならないんだよぅ。
  そこへ行くとおいらは親に似ずできがいいからそんなことしなくてもいいんだよ。」
母「本当かい?それならいいけど。」


274 :里の筍:02/09/02 20:39
熊「おい金坊、またおっ母に銭をねだっていやがったな。」
金「あ、お父っさん、そこにいたのかい?
  じゃあお父っあんでもいいや。百文おくれよ。」
熊「じゃぁお父っあんでもいいやたぁ何て言い草だ。
  そもそもおめぇは人の顔さえ見れば銭をたかってばかりいゃあがる。
  全く強欲な野郎だ。
  それに、親に似ずできがいいたぁ一体どういうことだ。
  まったく親を何だと思っていやがるんだ。」
金「だっておっしょさんもがおいらのことを『鳶が鷹を産んだ』っていつも言ってるよ。」
熊「何だ、その『トンビが卵を産んだ』ってぇのは?」
金「卵じゃねぇや、鷹だよぅ。
  お父っぁんにわかりやすいように咬んで含めるように話しをするとね、
  本当に鳶が鷹を産む道理はないんだけれど、ぱっとしない鳶のような鳥が立派な鷹を産む
  という例えをひいて、平凡な親から利口な子供が産まれるということを言うんだよ。
  さしずめお父っぁん、おっ母さんからおいらが産まれたことを言うんだな。」
熊「なにぉぅー、ふざけやがって。何がさしずめだ。
  おい、おっ母、この野郎の言い草を聞いたかい?」
母「あたしゃ、前からこの子は見所があると思ってたんだよ。」
熊「何だよ。おめぇまでそんな事を言ったんじゃあ、親の示しがつかねぇじゃあねぇか。」
金「できの悪い親を持つと子供は大変だ。
  それでなくてもつらい世間がよりつらくなる。
  ほんにこの世は憂きことばかりだなぁ。」(パチパチパチ)
熊「何を言いゃがる。この野郎、親を馬鹿にしやがって。」


275 :里の筍:02/09/02 20:40
竹「御免よ。兄貴はいるかぃ?」
熊「おお、竹じゃあねぇか。」
竹「外から大きな声が聞こえたが、あいかわらず親子喧嘩かい?」
熊「喧嘩なんかじゃぁねぇや。
  この野郎があまり生意気な口を利きゃあがるからちょいと説教してやってた所だ。」
竹「へぇー、そうかい?
  俺にはおめぇのほうが説教されてたように聞こえたんだがなぁ。」
熊「てめぇまで何を言いやがる。
  この餓鬼は人の顔さえみりゃあ銭を欲しがって、まったく欲張りでいけねぇ。」
竹「へぇー、金坊はそんなに銭をもらって一体何に使うんだろうねぇ?」
熊「さあなぁ? まだ一度もやったことがねぇからわからねぇ。」
竹「なんだい、まだ一度も小遣いをやったことがねえ?
  それで子供のことを欲張り呼ばわりしてるおめぇのほうもどうかしてるぜ。」

熊「うるせぃやぃ。
  ところでおめぇ今日は一体なにしに来たんだ?」
竹「あっ、忘れるところだった。
  いえね、兄貴に教えてやろうとおもってね。
  大川に海坊主が出るってんだが知ってるかい?」
熊「知らねぇなぁ。
  本当かい?ふーん、海坊主がねぇ。」
竹「何だか真っ黒い頭のつるっ禿の化け物がプカプカ浮いてるんだってさ。
  町内の若い連中は怖いもの見たさで大川端を行ったり来たりで、そりゃあもう大騒ぎだぜ。
  糊屋の婆さんなんぞは、海坊主に襲われたらあたしゃどうしよう、なんて念仏を唱えて
  家にこもったきりだし...」



276 :里の筍:02/09/02 20:41
金「あたぃ、海坊主の正体知ってるよ。」
熊「野郎、大人の話に口をつっこむんじゃぁねぇ。
  それにおめえが口を出すと話がややこしくなるからちょっと黙ってろ。」
竹「まぁ、ちょっと待ちなよ。
  へぇ、金坊、本当かぃ?知ってるんだったらおじさんに教えてくれねぇか。」
金「他ならぬおじさんのことだから教えてあげてもいいけど、いくらかくれるかい?」
竹「ああ、事としでぇによっては銭はやってもいいが、一体ありゃあ何なんだい?」
金「あれはアザラシってもんなんだってさ。」(パチパチパチ)
熊「なに?シャレコウベか?」
金「それは野ざらしだよ。
  お父っつぁんが口を出すと話がややこしくなるからちょっと黙ってて。」
熊「この野郎、親の揚げ足をとりゃあがって。」
竹「いいから兄貴ちょっと黙っててくれねぇか。
  それで金坊、そのアザラシってぇのは何なんだぃ?」
金「お師匠さんのお話では、本当は蝦夷の方の海に住んでる生き物なんだけど、
  何かの間違いで大川に流れ着いたんだろうって。」
竹「ふーん、おめぇ、偉れぇことをしってるなぁ。
  それでそいつぁ何か悪さをしやぁしねぇかい?」
金「ごく大人しいから何もしないってさ。
  そのうちにどこかに行ってしまうから何も騒ぐことはないんだって。」

竹「そうかぃ。負うた子に教えられて浅瀬を渡るてぇのはこのことだ。
  なあ兄貴、立派な子供をもって幸せだなぁ。先行きが楽しみだ。」
熊「何を言ゃぁがる。人の子だと思って勝手なことを言うんじゃあねぇやぃ。
  毎度毎度やり込められる親の気持ちにもなってみやがれ。」
竹「まあそういいなさんな。子供は世の中の宝だぜ。」
熊「なにー?宝だと。冗談じゃぁねぇや。
  宝どころか野郎にはいつもたかられてばかりいる。」(ドンドン)


277 :前スレ亭ごじゅういち:02/09/03 21:50
「言葉狩り」「アザラシ」「宿題」
えー、いっぱいのお運びで、ありがたく御礼申し上げます。どうぞ、お後お楽しみの上、
私のほうはホンの>>277-851ほどお付き合いを…いや、ホンマにクリックしなはんなて。
そんなにできますかいな。久しぶりと言いますか、ちょっとやっておりませんでしたので、
今日はまた、野球のお噂を聞いて頂きますが…

部下「オーナー、うちのチームもとうとう春からの貯金を使い果たしてしまいました」
オーナー「あぁ、もう言うな。聞きとうない。わしはな、今年は“いつもの位置”と違うだけで
     満足なんじゃ。8月になってもまだ貯金があった。それだけで今年は十分じゃ」
部「そりゃ、言われてみればその通りなんですが、悔しいやおまへんかいな。
  ここまで来たらやっぱり、最終的には勝率5割を超えてAクラスを狙いたい」
オ「そらな、できるもんならそうあってもらいたい。けどなぁ、これだけ怪我人が続出してるのに
  そこまで望むのは、強欲というもんやで」
部「確かに。こんなに怪我人が出るのはこちらとしても予想外でしたなぁ」
オ「またいつものように、シーズンオフになって監督にフロント批判されるようなことは
  今年こそは避けてもらいたいわな。今度の監督は流石にわしも怖い。
  まぁ、トレーニングのやり方がどうとかいうのは、わしゃド素人やさかいわからんが、
  来年への宿題やと思うて、君にはがんばってもらうで」(パチパチパチ)

278 :ごじゅういち:02/09/03 21:51
部「わかりました。それはそうとオーナー、困ったことが一つ持ち上がっておりまして」
オ「というと?」
部「うちの球場のベンチ裏に猫が一匹棲みつきまして。何べん追い払うても
  戻って来るんでございます」
オ「誰かがエサをやりよったんじゃな」
部「どないしたらよろしいでっしゃろ?」
オ「どないしたらも何も、そんなもん放っといたらええやないか」
部「オーナーはそう簡単におっしゃいますが、このままでは、試合中のグラウンドに
  いつ飛び出してくるかわからんと言うて、グラウンドキーパーらは毎日ビクビクでございます。
  そんなことになったら、秋の珍プレー特集では笑い物になるのも目に見えておりますが」
オ「君も商売気のない男じゃな。そんなもんは利用せんかい。えぇか、次の試合、
  風船飛ばしが終わったらその猫、君がわざと放せ」
部「そんなことしてもよろしいんで?」
オ「どんどんやったらえぇ。『行方不明のタマちゃん、甲子園に現る!!』
  翌日のデイリースポーツの一面は決まりやがな」
部「なるほど、多摩川のアザラシ騒動に乗っかるわけですな、さすがはオーナー」(パチパチパチ)
オ「多摩川という言葉は、うちの球団では禁句になっておる!」
部「は!しもた。えらいすんませんでした」
オ「多摩川グラウンドで流した汗と涙がどうのこうの言いながら、公共の電波で恥ずかし気もなく
  涙を流すようなアナウンサーの顔なんぞ、わしゃ見とうないわい」
部「そういや“徳さん”、このごろ出てきまへんな」
オ「どうしたんじゃろな」
部「オーナーもほんまは気になってはるのでは?」
オ「やかましわ。それより、猫の一件、あんじょう頼んだで」

279 :ごじゅういち:02/09/03 21:53
しょうもない相談というのは早いことまとまるもんでございまして、次の日から早速
「タマちゃん作戦」が開始されます。思いがけん所へかわいらしい猫の登場でオーナーの目論み通り
テレビでも取り上げられたり致しまして、なかなかの名物になったんでございますが、
肝心のチームの成績の方は、なかなか上向きになる気配がない。というのも、
主砲としてクリーンナップを期待されて余所のチームから連れてきた外国人選手が
前半戦と比べると至って元気がございません。ここらでもう一丁、気合いをいれてやらねば、と
試合後にオーナー直々に呼び出しよった…。

外国人選手「シツレイシマース」
オ「あぁ、やっと来たか。まぁ、こっちぃ入り」
外「オジャマイタシマース」
オ「相変わらず君は真面目じゃな。日本語もうまなったやないかいな。それはそれで結構なことやが、
  君なぁ、前半戦はあれだけ打ってくれてたのに、どないしてしもたんじゃ」
外「コウイウトキモ、アリアス」
オ「洒落まで憶えたんかいな。一体どうやって日本語を習てるのじゃ?」
外「コノアイダ、ニホンゴノベンキョウノタメニ、ラクゴノテープヲモライマシタ」
オ「落語? 誰じゃいな、妙な知恵を付けてんのは…」
外「モウ、ミッツホド、デキルヨウニナリマシタ」
オ「3つも! おもろいな、ここでやってみてくれるか?」
外「オヤスイゴヨウデース。エー、ココニゴザイマシタノハ、ワレワレドウヨウトイウ
  イタッテノンキナオトコデ。ヨソカラ、サバヲモライマシテ、ソレヲ、ニマイニオロシテ…」
オ「待った待った待った! それ、もしかして『地獄』と違うか?」
外「ソウデース」

280 :ごじゅういち:02/09/03 21:54
オ「ソウデースやないがな。そのまま最後までやったら、一体いくつレスを使う気ぃじゃ?」
外「ソウデスネー、>>277-851ホド…」
オ「付き合うてられるかいな。しかし、今の所、青いままか紫になってるか気になるような…」
外「ダレト、シャベッテイルノデスカ?」
オ「こっちの話じゃ。それにしてもなぁ、そこまでして日本語を勉強したり、性格が真面目なのは
  誠に結構なこっちゃが、今の成績ではちょっと困るなぁ」
外「ハイ、キョウモ、ノーヒットデシタ。エライスンマセン」
オ「昨日は?」
外「ノーヒットデシタ」
オ「おとといは?」
外「ノーヒットデシタ。ヘレン・ケラー、キセキノヒト。ラッツ&スター、メグミノヒト。
  クマザワ・アカネ、ウツツノヒト」
オ「なんじゃそら?」
外「ノーヒットヅクシ」
オ「……今日はもう帰りなさい」

部「どうでした? オーナー直々の檄は効きましたか?」
オ「あかん。ノーヒットが続いてるのを苦に病んでるらしいんやが、『奇跡の人、め組の人
  うつつの人』でノーヒットづくしじゃと。誰じゃ、あいつに日本語を教えたのは…」
部「ほたら早いとこクビにして帰国させましょか? 本人がたちまち『機上の人』」
オ「やっぱり君か、妙なこと教えたのは…。しかし困ったな。あれだけノーヒットにこだわって
  考え込んでるようでは、調子も上がらん。どうしたもんか…」
部「こういうのはどうでしょう。あいつが例えノーヒットで終わった日でも、周りの者も誰も
  ノーヒットと言うたらあかんことにするんでございます」
オ「そんなことで解決するかな?」
部「誰もノーヒットに触れんかったら、苦に病むこともないんと違いますかねぇ。
  何でしたら、言うたヤツから罰金を取ってもええかと」
オ「それではただの言葉狩りやがな」(パチパチパチ)

281 :ごじゅういち:02/09/03 21:56
しょうもない相談というのは早いことまとまるもんでございまして、次の日から早速
「ノーヒットNGワード作戦」が開始されますが、こんなもんが成功するはずもございません。
相変わらずヒットが出んところへ、ベンチに変なプレッシャーも加わっていよいよチームは下降線。
話題になるのは7回名物のタマちゃんだけという有様で…。

部「私のせいでこんなことになってしもて、ホンマにすまなんだ」
外「ソウイウコトモ、アリアス」
部「わかってんのかいな…。今からオーナーの所へ謝りに行くさかい、すまんが一緒に来てくれんか。
  オーナー、失礼致します。入らせて頂きます」
オ「あぁ、君か。この前はとんでもない提案をしてくれたな。おかげで…」
部「申し訳ございません!」
外「ダンサン、カンニンシトクナハレ。バントウノ、フシマツハ、デッチノワタイニメンジテ」
部「そら何をいうのじゃ!」
オ「……もうえぇ。静かにしてくれ。わしゃ疲れた。わしの心を癒してくれるのはこいつだけじゃ。
  おぉ、よしよしよし」
部「あ、タマちゃん」
オ「君らがやかましいんで怯えとるやないか。頼むから静かにしてくれ。あ、それからな、
  しょうもない言葉狩りはもうやめるぞ。明日からは今まで通り好きなようにやってくれ」
部「承知致しました」
外「アリガトウゴザイマース。アシタカラ、ガンバリマース」
オ「頼むで、ホンマに。しかしなぁ、いくらノーヒットが続いてるというても、もうそろそろ
  ヒットが出てもえぇのと違うか? 明日は期待してるで」
外「ハイ、ガンバリマース。ナンカ、ウテルキガシマース」
オ「よっしゃ、その意気やがな。そしたら手始めに明日は何本打とかな?」
外「ソレハ…」
部「改めてそうやって聞かれましても、まだ自信が持てんのでは?」
オ「いや、そんなことでは頼りない。さ、答えてもらおかな。明日は一体ヒットを何本打つ?」

猫が横から
「2安打」

ドンドン

282 :sana亭omi:02/09/03 23:29
犬が「ワン」とか、ねずみが「チュー」ならありふれているけれど
まさか、猫が「2安打」とはね。すごい。
すすむ君だったら、「五安打五安打」ですかね?
登場人物は「無能の人」???


283 :重要無名文化財:02/09/03 23:55
アリアスのキャラがすごくいいですね。笑った!
サゲは「猫忠」ですな。

284 :sana亭omi:02/09/04 00:33
我が鷹は、子宝なれど、たかられる、
それにつけてもお宝ほしさよ。

285 :ごじゅういち:02/09/04 22:08
早速の感想レス、どうも。

>omiさん
>「五安打五安打」

やられた。そんな返しは予想外でした。
くわえてたタバコを太ももに落としてしまった…。あぁ、熱かった。

>>283
作り手からしても、再登場させたいキャラになりましたね。
また機会があれば。

>里の筍さん
うまいなぁ。もし実際に寄席で掛けられても「初めて聞く噺だなぁ」と
古典の一つだと思ってしまう人、絶対いると思いますよ。
「野ざらし」、先を越されたのは悔しかったんですけど(w

ところで、1レスの字数制限が厳しくなった気がしました(筍さん、気になりませんでした?)。
お後の師匠連、一応ご注意あそばせ。

286 :重要無名文化財:02/09/06 17:12
重要無芸文化財さん、アザラシ(?)づくしお見事。

287 :重要無名文化財:02/09/06 22:29
「言葉狩り」「アザラシ」「宿題」

1「最近暑いね。」
2「やけに普通の出だしだね。」
1「この暑さは君のせい?」
2「僕のせいだとしても謝らないけどね。」
1「暑さで宿題も解けないかな?」(パチパチ)
2「解けないし、溶けないね。」
1「君のせいだね。」
2「今日はやけに僕のせいにしたがるね。」
1「暑さで君のせいにしたくなるんだよ。」
2「そんな病例、まだ報告されてないよ。」
1「アザラシにそういう例があるよ。」(パチパチ)
2「むやみに嘘をつくのは良くないな。」
1「じゃあ君はシューベルトの何を知ってるんだ!」
2「そのアザラシはシューベルトっていうの?」
1「それはうちのセイウチの名前。」
2「訳分からない以前の問題として、都内でセイウチを飼う人も珍しいね。」
1「米国で初めてだからね、僕が。」
2「今、都内って言ったばかりだけど。」
1「アザラシも暑くなると人のせいにしたくなるんだよ。」


288 :重要無名文化財:02/09/06 22:30
2「別にアザラシ研究してるわけじゃないから良く知らないけど、そうなの?」
1「だと思う。」
2「又聞きを自分の意見のように話すのは良くないよ。」
1「君のせいだよ。」
2「また始まったね。そう度々発症するの?」
1「アザラシの場合は二年に一度だったよ。」
2「君の病気とは違うみたいだね。」
1「それは医者に『風邪でしょうか』というようなもんだぞ。」
2「君が獣医ならその屁理屈も納得するけどね。」
1「君のせいだよ。」
2「何もしてないよ。」
1「僕が獣医じゃないのは君のせいだよ。」
2「資格試験の試験官に食って掛かりなよ。もう『君のせい』はいいよ。」
1「そうやってすぐ言葉狩るだろう、君は。」
2「動詞を勝手に作るのも病状のひとつ?言葉狩りでしょ?」(パチパチ)
1「そう、その言葉がる。」
2「名詞として使ってたんだね。」
1「そういう風に言葉狩るのはよくないよ。」
2「全て僕のせいにする方がよくないよ。」
1「まぁ、州法では裁けないけど。」
2「日本の刑法でも無理だよ。」
1「狩られる方の立場になってみろってんだ。」
2「いいこと言ってるようだけど、狩られる立場にはどうやったらなれるのさ?」
1「放送禁止用語を連発するね。」
2「汚れてまで狩られる方に回りたくないよ。」
1「それじゃいつまで経っても、立派な言葉狩られにはなれないぞ。」
2「基本的になりたくないんだけど。」
1「まったくあーいやこー言う。とにかく言葉狩り撲滅に協力せよ。」
2「まったく疲れるな、ほんとに。君のせいで汗かいたよ。」
1「おい君、その『君のせい』って言うな。」

ドンドン

289 :重要無名文化財:02/09/07 23:18
いつもながらに見事、匿名さん。

290 : すのびねっと:02/09/11 16:56
重要無芸文化財さま 早い、短い、うまい!

ごじゅういちさま  おもしろい! ところで阪神ファンの方は、
  ほんとに「いつもの位置」と違うだけで満足なんですか?

里の筍さま すごくいい感じ、すばらしいなあ。読んでいるうちに、もしかして
   ほんとに「たから」と「たかる」は、同じ語源かと思っちゃいました
  (あまりいい加減なことをいうと大野晋扱いされてしまうのでやめときます)

主催者さま 「油ぅ鶴」すばらしいタイトルありがとうございました
   「もうお前なんぞ来んでもよろし」と言われたらどうしようかと思っておりました。

291 :重要無名文化財:02/09/11 19:18
ごじゅういちさん、自分は阪神ファンじゃなく星野監督ファンなんですが、
ちょっぴり嬉しい感じでした(w

292 :湖亭半弗:02/09/11 22:04
重要無芸文化財さんの短編、ごじゅういちさんの野球噺、
里の筍さんの小僧噺、そして匿名さんのシュール噺と力作そろいですので
緊張しながら書き進めていきます。
「言葉狩り」「アザラシ」「宿題」ですね。

 昔から、この、東の旅とかいうのは、ずっと前座の時分にさろぉて
しもうて、かけてたんですな。今では落語会でもトリでやったりします
さかいね。会のあさぁい時分に前座があがりまして、見台をこう
ガチャガチャやって景気付けて、あれもその音に負けんような声を
出さないかんちゅので、それが声の鍛錬になったりしたもんですが。
よぅよぅあがりました私が初席一番叟でございます、二番叟には
三番叟、四番叟には五番叟、御番僧に御住持に、旗に天蓋、銅鑼に鐃鉢、
影灯篭に白張り、てなことを申しますと葬礼の話で。何やあがるなり
葬礼の話でゲンの悪いやっちゃとお叱りがあるや分かりまへんが、
決してせやない。いたってゲンのえぇことを申しております。およそ
人間には三大礼と申しまして・・・てなことをベラベラ喋りながら
進めていくわけでございますが。
ここにおりました喜六清八という大坂の二人連れ、気候もよぅなったちゅうので
どやひとつ御伊勢参りでもしよやないかちゅう「でも」つきの伊勢参り。
伊勢神宮への参詣もすませまして、お社の西に流れます五十鈴川、
参道へ通ります宇治橋まで出てまいります。


293 :湖亭半弗:02/09/11 22:05
喜六「清やん、御伊勢さんちゅうのはやっぱりえらいもんやなぁ。」
清八「せやな、みてみぃこの人出を、えぇ。これ皆、御伊勢参りの
人らやで。」
喜六「皆、これが参りに来たんか。かわってるな。」
清八「何を言うねや、これ。わしらも伊勢参りしたんやがな。」
喜六「あぁ、そうか。いや、わいな、もう済んでもぉたさかいに
忘れてたわ。」
清八「あんじょうせないかんで。これから大坂への帰り道中や、
用事は済ませてあるねやさかいに、ゆっくりしぃもっていこやないか。」
喜六「そら結構な話やな。清やん、橋の周りに人がよぉけ集まったあるで。
何ぞ土左衛門でもあがったんとちゃうか?」
清八「参って早々ゲンの悪いこと言いないな、えぇ。しかし、ほんに
よぅさん集まって・・・、ちょっと聞いてみたろ、ちょっと待ってえ。
もぉし、あの、何ぞおましたか?」
旅人「あぁ、何でもこの五十鈴橋に海坊主が出たちゅうんでなぁ。」
清八「海坊主ちぃますと、化けもんか何かで?」
旅人「いや、そないに恐ろしいもんでもないみたいやな。かわいらしい
もんやちゅうのでな、近所の子供らや巡礼の娘やらが川岸で姿見ようちゅうて
待ってるらしいわぃ。」
清八「はぁ、左様で、おおきにはばかりさん。おおぃ、いてきたで。」


294 :湖亭半弗:02/09/11 22:05
喜六「何やちゅうてた?」
清八「海坊主が出たちゅうてたわ。」
喜六「はぁーん、そら、行でもしてなはるねやな。」
清八「そんな行があるかい、あら化けもんやで。」
喜六「化けもん!清やん、はよ帰ろ。」
清八「しょうのないやっちゃな。そない怖いもんやありゃせんちゅう話や。
かわいらしいんやそうなな。」
喜六「かわいいちゅうても化けもんやろ、羊の皮かぶったちゅう事も
あるがな。第一、川やのに『海坊主』とは、これ一つの不思議。」
清八「何の不思議な事があるかいな、そら言葉狩りちゅうもんやで。
ほな谷川にヤマメとはどないやねん。」(パチパチパチ)
喜六「それなら清やん、山にカワウソてなもんやな。」
清八「しょうもない問答しててもあかへんがな。まぁ、今日はこの辺りで
宿をとって海坊主見物でもしょうやないか。ひょっとしたら御伊勢さんで
出くわしたちゅうことは神の使いかも分からんで。」
宇治橋を渡りまして、大鳥居をくぐりますと伊勢内宮の参道でございます。
この辺りにいったん宿をとりまして、宇治橋から噂の海坊主を待っておりますが
この日は姿を見せずじまい。二人は宿へ立ち返りまして、


295 :湖亭半弗:02/09/11 22:05
喜六「何や、清やん。今に出てくる今に出てくるちゅうて結局
何もおらなんだやないかい。」
清八「まぁそう言いないな、わしらだけやない、皆待ちぼうけしてたんやがな、
しゃあないわい。また明日にでも出直そうやないか。」
喜六「わい、明日はここで寝てるわ。出たら起こして。」
清八「なんちゅう不精な奴や、こいつは、ほんまに・・・。ん?・・・おい、
おまえ、ここの宿代は足りるかぃ?」
喜六「足りるかぃちゅうて、何でそんなん聞くねん?」
清八「胴巻をどうやら落としたらしいねや。」
喜六「不細工な、えぇ。そらわいの役回りやで。しかし、そらえらい
こっちゃ、はよ拾といで。」
清八「あっさり言うな、お前。あないようけの人出の中で落としたもんが
今頃行って見つかるかいな。ちょっとここの宿代払うてくれるか?」
喜六「えぇ?そらいかんで。わいかて、清やんの懐、あてにしてたんやで。
見てみぃな、参道でうまそうなもん見繕うてつまんでるうちに、逆さに
振っても鼻血も出んちゅうやつや。」
清八「えぇ?こら、弱ったな・・・。もうこれだけ飲み食いしてやで、
明日、宿のもんにどない言うたらえぇねん。無一文で宿に泊まったと
あったらただでは済まんぞ。」
喜六「ほしたら、どないすんねん。」
清八「うーん・・・、そうやな・・・。よし、こうなりゃままよ、わしら
二人は『海坊主の使い』ちゅう事にしよう。」
喜六「えげつない事考えるな、ど、どないすんねん?」
清八「まぁまかしてみぃ。おい、下へいてな、筆と硯と、それから
何ぞ書く紙をもろぉておいで。」


296 :湖亭半弗:02/09/11 22:06
早速、店のもんから借りてまいりまして、
清八「えぇか、お前。今からわしが言う事をつづっていくねや。」
喜六「わし、字ぃ苦手やのん知ってて、ずるいわ、清やん。」
清八「ごちゃごちゃ言うな、ほな言うぞ。『右の二名、海坊主の使いにて』。」
喜六「うわぁ、恐れ多い。」
清八「『伊勢神宮に代参せしむるものなり』。」
喜六「清やん。だいさんちゅうのはあの瀬戸物屋の大さんかぃ?」
清八「何でそんなところで大さんが出てくるねや、代わりに参るのを
代参ちゅうねや。」
喜六「ほな宮崎に参るのは「徳さん」ちゅうのかな?」
清八「いらんこと言うてんと、はよ書いてしまうぞ。『よって、
おんしゅくだい免除の事、よってくだんのごとし 海坊主』。」(パチパチパチ)
喜六「御宿代免除とは大きく出たな、海坊主。」
清八「何も大きに出てないがな。貧相な書付やけどな、しのげるかどうかは
それこそ神のみぞ知るちゅう奴や。」
喜六「清やん、『右の二名』は喜六・清八でえぇんかな?」
清八「そんな事したら、万一気づかれた時にガンがつくやないかい。
こういうのは偽名ちゅうのを書いとけばえぇねや。そうやな・・・、
わしは玉造に叔父さんがいてるさかいに、『玉』としておいてくれ。
何やら玉ちゅうのは神々しいかんじがするさかいな。」


297 :湖亭半弗:02/09/11 22:06
喜六「はぁはぁ、そんなもんかいな・・・。ほな、タマ・・・と。」
清八「おい!そら『多摩』ちゅう字やがな。わしが言うのは
『玉』やで。」
喜六「どうせニセの名前ねやさかいえぇがな、清やん。ほな、わしは
鶴見に叔父さんがいてるさかいに『鶴見』としょうかしら。」
清八「どないでもせぇ、とりあえず今からわしらは海坊主の使いや
さかいな。清やんてな事言うたらいかんで。」
喜六「分かったわ、清やん。」
清八「言うた先から言うてるやないか、あんじょうしいや。」
何やかやで夜が明けます。いつもより早起きをいたしまして
旅支度を整えます。
手代「これはお客様、お早いお支度で。」
清八「いや、先を急ぐもんでな、はよぅ出立することにした。」
手代「あ、左様でございますか。左様でございましたら、ご出立の
時と心得ておりましたが、この場でお宿代を頂戴したいと存じますが
よろしゅうございますか?」
喜六「そぉら来た。」
清八「いらんこと言うな。それでは、これを・・・主なり番頭なりに
見せてきてくれんか。」
手代「あの・・・これは?」
清八「おぬしも海坊主様の事は存知おるな?」
手代「へぇ、もうえらい騒ぎでございますので。」
清八「わしら二人はその海坊主様の使いの者じゃ。伊勢内宮へ海坊主様に
なりかわり参詣いたす、そう申し伝えてその書付を見せるが良いぞ。」
手代「は、ははぁ!少々お待ちを!」
信じやすい手代と見えまして、書付を持って階段を急いで駆け下りて
まいります。


298 :湖亭半弗:02/09/11 22:07
喜六「え、えらいもんやな、清やん。いや、多摩やん。」
清八「こうあっさりいくとは思わなんだな。こら、宿代払わんでえぇどころか
土産がつくやも分からんぞ。」
喜六「うわ、土産!?こらぁ、何やな、海坊主様々やなぁ。」
主「失礼を致します。」
清八「これはこれは、ご亭主か。」
主「はい、当宿の亭主にございます。海坊主様のお使いの方で、
多摩様と鶴見様でございますか。」
清八「いかにも。いや、ご亭主。昨夜の逗留の際に申しておけば
よいものを手数をかけさせたな。」
主「勿体無い事にございます。これから御参詣との事、使用人の
者達も是非お見送りしたいと申しまして、まかりこしましてございます。」
喜六「見送りやなんて、そない大層な。」
清八「黙ってぇ。あ、それには及び申さぬ。元より忍ぶ代参にて
派手な振る舞いは好まぬのでな。」
主「左様でございますか。それでは、せめて海坊主様のお使いの方で
ございますれば、屋敷の階段、廊下のお歩きもご苦労でございましょう。
何分急なお話でございますので、このようなゴザしかございませぬが、
四隅をこう、使用人に持たせまして、玄関までお送りさせていただきます。」


299 :湖亭半弗:02/09/11 22:07
清八「それはそれはかたじけない、きっと海坊主様のご利益がありますぞ。」
二人がそれぞれゴザの上に座らされまして、
清八「それでは頼むといたしましょうか。」
と言うが早いか、
主「それいけー!」
と主が叫んだかと思うと、宿の者がそれぞれ縄を手にとって
あっちゅうまにゴザごとグルグル簀巻きにしてしまいよった。
清八「こ、これ、何をする!」
主「何をする?そらこっちの台詞やわい。よぅも海坊主様の使いやと
御恐れ多い事を騙ったな。本来なら、宿代の踏み倒しは番所に突き出す
ところやが、海坊主様のお使いやちゅうねや、五十鈴川へお帰り願おう!
それ、担ぎあげぃ!」
簀巻きにされた喜六清八、えっほえっほと宿の者に担がれて、宇治橋まで運ばれて
参ります。


300 :湖亭半弗:02/09/11 22:07
喜六「みてみぃ、清やん!せやからわしはやめとこちゅうたんや!」
清八「今更嘆いても遅いわい!ご、ご亭主、堪忍しておくれ!」
主「えぇい、朝からゲンの悪い、勘弁ならんわぃ!さぁ、橋の下へ落として
しまえ!」
清八「そ、そればかりは堪忍!」
海坊主を見に来た参詣客と簀巻きの二人を見守りに来た者とが
合わさって、宇治橋は大勢の人だかり。皆、口々に、
群衆A「無銭で泊まろうちゅう不届きな奴らや、はよう落としてしまえ!」
群衆B「海坊主様の使いを語るやなんて、はよ投げ入れぇ!」
もう「落とせ落とせ」の大盛り上がりを致しておりますと、
急に川から顔を出した、当の海坊主。
海坊主「お前ら黙って聞いてたら調子にのりやがって!
オットセイとちゃうわい、わしゃアザラシや!」(パチパチパチ)

ドンドン





301 :湖亭半弗:02/09/11 22:10
ずいぶんな長文になってしまいました。
板を汚してしまってどうも相すいません。

302 :sana亭omi:02/09/11 23:01
面白く感じながら、長文いっきに読みました。
相変わらずの実力の発揮ぶりですね。

>谷川にヤマメとはどないやねん

敵を憎む習性を利用しても
アユノトモヅリと言うが如し。


303 :重要無名文化財:02/09/12 18:07
よく出来た噺ですな。
東の旅の珍道中ぶりが実にアザラシ見物とマッチしていて
面白い。本領発揮といったところですかな。

304 :重要無名文化財:02/09/12 23:17
今日、タマちゃんが横浜で見つかったそうですね。
何とタイムリーな(藁)楽しませてもらいました。

305 :重要無名文化財:02/09/14 03:02
湖亭半弗さんの作品はいつも思うのですが、
ストーリーがしっかりしている点でずば抜けていると感じます。
今回の作品も、東の旅シリーズを舞台に借りて、アザラシの
時事ネタを交えながら、
伊勢神宮に着く→海坊主騒動→なかなか姿を現さない→神がかっているのでは?
→宿賃がない→海坊主をダシに使おう→書付作成→亭主相手の猿芝居
→バレて簀巻き→海坊主が怒る→サゲ
複線が至るところに張られていて、三題噺以上のエンターティナー性を
含んでいると思われます。また、お題の使い方も
・言葉狩り→クスグリで
・アザラシ→サゲで
・宿題→駄洒落で
とバリエーションに富んでいますね。この作品はクオリティが高く、感服です。

306 :主催者:02/09/17 01:56
長い間コメントせずに申し訳ありません。
今回も力作をお寄せいただいて、皆様ありがとうございます。

まず無芸さんの>>272「小咄・鰭脚類で言い訳(仮)」は即興とのことですが
どうしてどうして、見事なまとまりと余韻を残しています。
サゲの「あんまり寒くて」というのが自虐的な感じが、子供ながらに
宿題ができてなくてまずい、という感情を表しているように思えました。

筍さんの>>273-276「宝小僧(仮)」は小僧噺らしい雰囲気が
抜群に表現されています。薀蓄をたれては生意気に小遣いをせびる金坊
は実に愛らしいですし、両親・竹などの脇キャラも役柄をまっとうしています。
時事ネタのアザラシ騒動も交えてのほのぼのした話です。



307 :主催者:02/09/17 01:56
ごじゅういちさんの>>277-281「二安打(仮)」(←あえて「たがや」のようにサゲを
題名にしてみました)は、「しょうもない相談というのは早いことまとまるもんで
ございまして」と二度おいしい相談がまとまるコミカルな噺です。アリアスの
落語好きという設定、猫のタマちゃんを名物にする在阪球団のたくましさ、
実に楽しませてもらいました。ごじゅういちさんの伝家の宝刀野球ネタ、十分
堪能いたしました。

匿名さんの>>287-288「君のせい(仮)」は相変わらずの脱力ぶりが
群を抜いていますね。なぜか米国にこだわっている(州法とか)1氏と
頭の中で計算され尽くした流し方の2氏のやりとりがシュールです。
今回は「君のせい」というキーワードを効果的に使っていますよね。
私は最後の「とにかく言葉狩り撲滅に協力せよ。」と何気に命令調のせりふ
がツボでした。

そして、半弗さんの大作>>292-300「多摩と鶴見〜東の旅〜(仮)」は
時事ネタを東の旅に放り込むという荒業ながら違和感を感じさせないのは
さすがです。喜六清八の宿賃踏み倒しの策略は、膝栗毛を彷彿とさせますし
踏み倒し方のいきあたりばったり感がより滑稽に感じます。
>>305の方が詳しく解説なさっていて、さらに解釈が深まりました。



308 :主催者:02/09/17 01:56
それから、すのびねっとさん。仮タイトルを気に入っていただいたようで
こちらこそありがとうございます。仮決定権を私が持っている手前、下手な
題名をつけてしまっては皆様に申し訳がないので、いつも汲々して考えています。
「油ぅ鶴」は実に楽しい作品でしたので、またご参加していただけたら、と
思います。

それでは、第二十二回御題取りに移りたいと思います。
例のごとく、一レス一単語でお願いいたします。
たくさんの御題候補、お待ちしております。


309 :重要無名文化財:02/09/17 15:59
弁慶

310 :重要無名文化財:02/09/17 16:07
さいころ

311 :重要無名文化財:02/09/17 16:35
拉致

312 :重要無名文化財:02/09/17 17:52
遺憾

313 :重要無名文化財:02/09/17 18:11
街路樹

314 :重要無名文化財:02/09/17 22:05
果物

315 :重要無名文化財:02/09/17 22:16
りんごジュース

316 :重要無名文化財:02/09/17 23:53
北国

317 :重要無名文化財:02/09/18 00:33
ルクセンブルク

318 :重要無名文化財:02/09/18 18:46
スケール

319 :重要無名文化財:02/09/18 18:47
牛乳瓶

320 :重要無名文化財:02/09/18 18:49
パンクロック

321 :重要無名文化財:02/09/18 20:57
温野菜

322 :主催者:02/09/19 01:25
それでは、第二十二回御題の発表です。

「さいころ」「北国」「温野菜」の三題です。

北国と温野菜はつながりとして少しかぶるところですが、
それをそのまま使うのでなくどこまで発想を飛躍できるかがポイントです。
「スケール」「パンクロック」なども候補でした。
次回はカタカナ三題というのも楽しそうですが、今回はこれです。

それでは、たくさんの作品、お待ちしております。
新人常連に限らず、ご応募お待ちしています。

323 :重要無名文化財:02/09/19 18:53
age

324 :里の筍:02/09/20 21:18
よく昔から『親がなくとも子は育つ』なんてことを申しますが、「そりゃあ考え違いだぜ。あれは『親が
あっても子は育つ』ってえのが本当だ。」なんておっしゃるお方もございますね。
なるほど言われてみたら、そりゃあそうかもしれませんな。

「坊や、あっちへ行っちゃあいけませんよ。川に落っこちたら大変だから。
そっちに行っちゃあ駄目ですよ。松ぼっくりが落ちてきて頭に怪我をしますよ。
おや、そんな硬いものを食べてお口を怪我したらどうします。
お母さんが噛んで柔らかくしてあげますからね。ほら...」なんてね。
なまじっか親が何でも先回りして手助けをしたばっかりに、北の国の日陰のモヤシのように
ひょろっと育ってどうにも頼りないなんてぇのは世間にはいくらもある話でして...(パチパチパチ)

そんな話があるかと思うと、またまるで反対のお話もありまして...
ある立派な大店の大旦那様に、昔話をうかがったことがありましたが、
「若いころに親に死に別れて随分苦労をしたもんだが、その苦労のお蔭で今ではこんな暮らしが
できるようになりました。まことにありがたい事です。よくぞ早く死に別れてくれた。」
そんなこたぁ言やぁしませんが...
でも親がなくとも子供は立派に育つといういい見本かもしれませんな。

『子は親の背中を見て育つ』とも申しますが、これは何もそのまんま親の真似をするということじゃあ
ない、子供の方じゃあ「ああ、あんな風じゃいけないな。こんな風にだけはなりたくないな。」
なんて腹の底じゃあ思ってることもあるんでね。
そんなわけで、できの悪い親父の子供が実に親孝行だというのも昔からよくあるようでして...


325 :里の筍:02/09/20 21:20
長兵衛「おい、今帰ぇったぜ。
  なんでぃ、しけた面しゃあがって。
  腹が減ってるんだ。
  何か食うものはねぇのか?」
女房「食べるものなんぞ、何にもありゃあしないよ。
  そこのザルに胡瓜なら一本あるけど。」
長「西日がカンカン当たってるじゃあねぇか。
  そんな温たまった野菜なんぞ食えるけぇ。」(パチパチパチ)
女「そんな事言ったって何もないものはしょうがないじゃあないか。」
長「飯を炊きゃあいいじゃあねぇか。」
女「お米がないんだよ。」
長「なけりゃあ買って来いよ。」
女「そんなお足がどこにあるんだぃ?」
長「このあいだ銭をやったじゃあねぇか。」
女「そりゃ一体いつの話だい?」
長「そいつぁー、そうさなぁ、三日前、いや一月前、それとももうちょっと前だったか...?」
女「何言ってるんだい。三カ月も前の話じゃあないかね。
  お前さん、仕事にも行かずに博打ばかりやってるから、頭も呆けちゃったんだろ。
  三日前だなんてあきれかえって、二の句が継げないよ。」

長「うるせぃやい。
  何も取られようと思って博打をやってるんじゃあねぇやぃ。
  種銭さえありゃあ目が出るんでぇ。
  えー、あの、何はどしたい?
  ほらあの大家の所で借りた紋付はよぅ。」
女「お前さん、何を言ってんだい。
  あれはどうしても義理のある旦那の葬式に行かなくちゃあならないって大家さんをだまして、
  拝み倒して借りてきたその日のうちに質に入れてしまったじゃあないか。
  そのお足もすぐに博打ですっちまいゃがって。」
長「そうだったかなぁ?
  まあいいや、他に何か質に持ってくようなものぁねえかぃ?」
女「何にもありゃあしないよ。」

326 :里の筍:02/09/20 21:23
花「お父っつぁん、お足がいるの?
  それならこれを使って。」
長「何だい、お花、おめぇそこにいたのか?
  うん? 何だよ、この竹筒は。
  おやっ、これは銭じゃあねぇか。
  それもこんなにたくさん。
  どうもおっ母が銭がねぇと言ってると思ったらてめぇに小遣いをやってたんだな。」
花「そうじゃぁないよ。
  あたい、おっ母さんからお小遣いなんて貰ってなんかいないよ。」
長「それじゃあ、何か?
  まさか人様のものに手をつけて...
  お父っあんがいつもそう言ってるだろ。
  いくら貧乏をしたってそれだけはやっちゃあならねぇって。」
花「ちがうの、お父っあん。
  このお足はあたいが稼いで貯めたの。」
長「何を言いやがる。
  てめぇなんかにこんなに銭が稼げるはずがねぇじゃあねぇか。
  親に嘘をつくと承知しねぇぞ。」


327 :里の筍:02/09/20 21:23
花「これはね、あたいが寺子屋の束脩にしようと思って今まで貯めてきたお足なの。」
長「なに?寺子屋の束脩だぁ?」
花「お向うのみーちゃんはね、寺子屋でイロハやら算盤やらを習ってるんだって。
  それでね、『はーちゃんも寺子屋に行けるようお父っつあんに頼んでごらんよ。』って。」
長「ふーん?」
花「それでね、寺子屋で習うには、お師匠さんに束脩というものをあげなくっちゃあならないんだって。
  そんなお足は家にないのはわかってるし、とっても無理だって思ったんだけどね、
  色々考えてね、裏の川で泥鰌をすくってザルに集めて向こう横丁の泥鰌屋に持ってゆくとね、
  おじさんがお駄賃に三文のお足をくれるの。
  まだとっても束脩には足りないけれども、いつかは寺子屋で読み書きを習いたいと思って、
  こうやって少しづつ竹筒に貯めてきたの。」
長「そうだったのかぃ。
  こりゃ疑ったおっ父っあんが悪かった。」
花「そんなことはいいのよ、お父っあん。
  でも種銭がいるんだったらこれを使ってね。」
長「冗談じゃあねぇや。
  そんな銭に手をつけられるかい。
  そんな事をしたら罰が当たってお天道様の下を歩けなくなるじゃあねぇか。」
花「本当にいいの、これはあたいが稼いだお足なんだから。
  それにお父っあん、博打はきっと勝つんでしょ?
  もし負けたって、またあたいが稼げばいいんだから。」

328 :里の筍:02/09/20 21:24
長「す、すまねぇ。
おめぇにそんなに苦労させてたたぁ、気づかなかった俺が悪かった。
  博打で勝つたぁ言ったが、そりゃあ大嘘だ。
  サイコロの目なんてものは丁と張れば半と出る、半と張れば丁に出る。(パチパチパチ)
  よしんば一時勝ったところでいつかは負けてしまうもんだ。
  おめぇに束脩を出してやるどころか、その銭を巻き上げて博打に使うようじゃあ、
  俺りゃあ人間じゃあねぇ。
  子は親の背中を見て育つというが、そりゃあ反対だ。
親の俺がおめぇを見習わなくちゃぁならねぇ。
  お父っあんはこれから心を入れ替えて明日から真面目に働くから勘弁しておくれ。
  すぐには稼げないかもしれないが、なーに、すぐにそのうち束脩の分くらいどうにでもならぁ。
  もう少しだけ待っててくんな。
  お花、本当にすまなかったなぁ。このとおりだ。」
花「お父っあん、手を上げてちょうだい。
  親が子供にあやまるなんておかしいわ。
  おっ母さんも涙なんてこぼして変よ。」
女「だってお前、こんな嬉しいことはないよ。
  やっとお父っあんが真面目に働く気になってくれたんだ。
  これもお花のおかげだよ。
  おまえが泥鰌をすくってお足を貯めたのを見習って、お父っあんも博打から足を洗う気に
  なってくれたんだよ。」
花「えっ、あたいを見習ってお父っあんが足を洗う気になった?
  そういえば泥鰌をすくった後、あたいいつも井戸で足を洗ってた。」


329 :里の筍:02/09/20 21:26
(ドンドン)

330 :重要無名文化財:02/09/20 21:53
心温まるお話ですね。ドジョウをとるお花坊が実にけなげです。

331 :sana亭omi:02/09/20 22:17
花坊の今までの境遇にドゥジョウします。

ひょっとして彼女は
親からの災難、オヤサイを被り
ホッコク行きになるかと心配しましたが、
長兵衛さんの立ち直りにより
今、人生サイコロの瞬間を迎えましたね。


332 :重要無名文化財:02/09/20 22:58
>>331
うまい!sana亭omiさん、その調子で作品の方もがんばって。

333 :重要無名文化財:02/09/21 00:27
「北国」が噺に使われてないぞ・・・

334 :重要無名文化財:02/09/21 00:37
マクラにあるよ。>北の国の日陰のモヤシのように

それよりも「北国」を「北の国」、「温野菜」を「温たまった野菜」の
方が違和感がある。意味がほとんど一緒だからいいけど・・・。
話のレベルが高い分気になるのかな・・・。

335 :重要無名文化財:02/09/21 00:41
なんだ、マクラか・・・やっぱり噺には使われてないじゃん・・・

336 :重要無名文化財:02/09/21 00:47
マクラも噺の一部じゃないかなぁ、付けマクラとか。
里の筍さんの場合、マクラにも噺同様味わいがあるから
硬い事言わなくていいと思う・・・。

主催者さんに任せますわ。

337 :重要無名文化財:02/09/21 22:49
AGE

338 :前スレ亭ごじゅういち:02/09/23 05:29
「さいころ」「北国」「温野菜」

えー、ようこそのお越しでございまして。さっきも楽屋のテレビで見ておったんでございますが、
惜しかったですなぁ、貴乃花。まだあないに強いとは思いませんでしたな。千秋楽で横綱同士の
相星決戦やて。思えば表彰に来た総理大臣に「痛みに耐えてよく頑張った。感動した!」と言わせた
のがもう一年以上前でございますからな。それ以来の千秋楽結びの決戦。もうこら今ごろは、
勧進元である相撲協会は大喜びですな。相撲と申しますと今でこそ日本相撲協会というところに
日本中の力士が集まってございますが…、まぁ、昨今では日本中はおろか世界中から集まってると
言えんこともないようでございますが、昔はと申しますと一つではなかったんで。もちろん江戸の
相撲が一番盛んやったそうですが、京、大坂にもそれに負けんぐらいの相撲があったんでございます。
それに負けんどころか、元々は大坂の相撲の方が人気でも実力でも上やったんでございますが、
お大名が集まる江戸に今でいうスポンサーが段々集中してしもたんですな。江戸時代も後期になりますと
借金に困った親方が部屋の権利を博打打ちに渡してしもたり、というようなことが少のうなかった。
こうなりますと、実力のある力士は江戸へ江戸へと移って行ってしまいまして、形だけは何とか大正時代
まで続いてた大坂相撲も、今は親方の名前がいくつか残ってるだけというようなことでございまして。

今日申し上げますこのお噺は、頃は幕末。大坂に七ツ海又三郎という力士がございました。怪力無双の
豪傑で、放っといても大関間違いなしと言われたこの七ツ海も、小結まで昇進したところで
例に漏れず大坂相撲に愛想をつかしまして、江戸に鞍替え。ここでもやはり放っといても大関間違い
なしと言われますが、江戸の相撲に打ち解ける様子がない。江戸に来てからというもの誰が相手でも
心を許して話をすることがございません。何を考えてるのかわからんもんですから、最初は大勢あった
ご贔屓の衆も次第に離れてしまいまして、その後すぐに姿を消してしまいます。七ツ海が江戸から
姿を消したのが先か、江戸の相撲好きが七ツ海の名前を忘れたのが先か、それさえも誰も憶えてない
というのがもっぱらの評判で。て、こんな話、どうやったら評判になるんか皆目わからんのですが…。

339 :ごじゅういち:02/09/23 05:30
さて、前置きが長なりましたがここからが本題で。この七ツ海が江戸から姿を消しましてから
三年の歳月が流れたある日のことでございます。大坂相撲に蛸壺部屋という小さい部屋がございまして、
ここの親方もまたおんなじように借金にあえいでおりました。

蛸壺親方「困ったわい。どないしたもんじゃろな。このままではわしの部屋は立ち行かん。
     かと言うて、ほかの所と同じように博打打ちのような輩に部屋を渡すのは耐えがたい。
     ホンマにどうしたもんか…」
力士A「親方ぁ、腹が減りましたぁ」
蛸「そういうことはわしに言うてもどうにもならんといつも言うてるじゃろ。ちゃんこ番はどうした?」
A「はい。ちゃんこの中身をどうするか算段してくる、と言うて出てってから今日で二日目で」
蛸「そうか…。すまなんだ。お前らには苦労ばかりかけてホンマにすまん」
A「お、親方…。何もそんなつもりで言うたわけでは」
力士B「ただいま」
A「兄弟子ぃ。心配しましたで」
B「いやぁ、すまんすまん。なかなか材料が揃わんもんやさかいな。心配させたな」
蛸「それはえぇが、これがちゃんこの中身か?」
B「そうですが、何か?」
蛸「どうでもえぇけどその口調やめてくれんか。どうも煽られてるような気がして仕方がない。
B「そんなことが気になるのは親方だけという罠」
蛸「しまいにどつくぞ」
B「親方、必死ですな」
蛸「やめいと言うのに! ホンマに張り手かますで。それにしてもこれ、菜っ葉の屑ばっかしやないか」
B「親方、そのうちにはどこの部屋もうちの真似をし始めるに違いありません。これからは
  『意外とあっさり』が決め手の温野菜ちゃんこが流行ります。(パチパチパチ)
蛸「流行るかそんなもん!」
B「冗談でございます。親方、心配は無用。後は我々が田舎から持ち寄ったもんが貯めてあります。
  それにこの、菜っ葉の屑を足せば、どうにかちゃんこに見えるもんができるやろうと」
蛸「そうか、そんな心配までお前らがしてくれとったんか。重ね重ねすまん…」

340 :ごじゅういち:02/09/23 05:32
此花親方「親方ぁ、蛸壺親方はおるかのう」
蛸「これはこれは此花親方でございますかいな。ご無沙汰を致しております」
此「いやいや、無沙汰は互いじゃ。それよりな親方、弟子を一人預かってもらえんじゃろかな?」
蛸「弟子を? 親方の部屋からわしの部屋に? ははぁ、そのご様子ではなんぞ、訳ありですな」
此「わかるか。なら、話をせな仕方ないな。実はな、わしの一門の中の弟子がやっとる部屋が
  また一つ…コレでな」(顔に傷の仕草)
蛸「コレと言いますと?」
此「皆まで言わしないな、コレにコレじゃがな」(顔に傷の仕草、押し潰す仕草)
蛸「はぁ、どこも同じでございますなぁ。しかし、お恥ずかしい話ながら、うちの部屋も
  似たようなもんで。もう時間の問題ですわ」
此「うん、噂には聞いてる」
蛸「で、何でございますな。そのコレにコレの部屋の力士をうちでお預かりしたらよろしいんで?」
此「いや、それはうちの一門で何とかなるのじゃ。実はな、今度のコレの旦那の持ってる賭場でな、
  どうにもこうにも首が回らんようになったのが一人おってな。何を思たかそのコレの旦那、
  面白がってその男を相撲取りにさせようと考えよったんじゃ」
蛸「なるほど、ようありそうな話…ではございませんな、これは」
此「あぁ、わしもこんな話は今までかつて聞いたことがないわい。しかしな、まんざら悪い話でも
  ないようにわしは思うとるぞ」
蛸「と言いますと?」
此「その男というのが、ただ者やないのじゃ」
蛸「化け物で?」
此「違うがな。賭場で首が回らんようになったというてもこの男、根っからの博打打ちやありゃせん。
  元は船場のそこそこの家の若旦那でな。極道が過ぎて家を放り出されよったのじゃ。となると、
  いくら放り出した倅とは言え、この話が二親のもとへ聞こえていってみぃ。相撲なぞ務まるはずも
  なかろうにさぞ苦しんでるやろう、と心配の一つもするじゃろう。そうなったら今度は親方、
  あんたの腕次第じゃ。息子さんを一人前の相撲取りにして見せましょうとか言うて贔屓の一人に
  してしもても、倅は返すさかいなんぼかよこせと揺すっても、どないにしてもわしゃ何も言わん」


341 :ごじゅういち:02/09/23 05:33
蛸「なるほど。そういうお話ですかいな。しかしそれでは後が怖いやおまへんか。コレでっしゃろ?」
此「さ、そこじゃ。せやさかいわしもこの計略を思いついてはみたものの、一門の中でやるわけには
  いかなんだのじゃ。しがらみが多すぎるさかいな。しかしな蛸壺、考えてみ。相手は任侠じゃ。
  『此花の所とうちとでは一門が違います。それでは筋が通りません』とか何とか言うといたら
  どないかなるような気もするがな」
蛸「そんな簡単な話やおまへんやろ」
此「近いうちにコレの旦那の所から連れてくる話になってるさかいな。確かな、火事場の又兵衛
  とかいう、えろぅ図体の大きなお兄ぃさんが仲介じゃそうな。あ、そうじゃこれを
  言うとかにゃならん。その若旦那にはな、相撲部屋へ放り込むという話は知らせてないんでな。
  はじめは相撲部屋やということを気付かれんようにしとくようにな。ほな後は頼んだで」
蛸「あ、ちょっと親方…。行ってしもた。何じゃこりゃ。言いたいことを好き勝手にしゃべって
  いきよったな。えぇ? 相撲部屋と気付かれんように? 無茶言うたらどんならんで。
  表に看板が掛かってるがな。中へ入ったら土俵があるんやがな。これで相撲と気が付かんだら
  アホやがな。ええい、もうなるようになりやがれ」

こんな無茶な話もありませんな、ですがそもそもこの蛸壺、借金で明日は我が身も危ないという立場で
ほとんどヤケクソになったと見えまして、腹を括ってその男が来るのを待つことに致しました。
所は変わりまして、とある賭場の表口。今日も今日とて有り金を全部巻き上げられてしまいました
件の若旦那。帰る場所があるわけでもなし、かと言うて中でもう一回ひと勝負するにも一文なし。
ただあてもないまま何の気なしに玄関から賭場の中のほうをぼんやりと眺めておりますところへ…

342 :ごじゅういち:02/09/23 05:34
又兵衛「もし、作ぼん、作ぼんやおまへんか」
作治郎「おぉ、又はんかいな」
又「こんな所で何したはりまんのや。ははぁん、作ぼん、また負けなはったな。えぇ加減にしとかな
  あきまへんで、あんたは博打には向いてない。悪いことは言わん。ここらで足洗いなはれ」
作「それがな、もう遅いねん。うちをな、追い出されたんや」
又「ほう、そらまたどういうような?」
作「さっきな、またコソッとおかんに泣き付いて、なんぼか金をせびったろと思てうちへ帰ってみたら
  拍子の悪いことにオヤジが出てきてな『極道息子のわがままに耐えて頑張ってきたが、もう我慢が
  ならん!勘当した!』やて」
又「そらあきまへんで、作ぼん。もうあんたとわしの仲も今日限りでんな」
作「そんなこと言わんといてぇな」
又「あんたなぁ、この賭場であんたのような人がなんで仲間に入れてもらえてるかわかってるか?
  あのお家があってのことでっせ。わしらがなんぼ金巻き上げても、わしら相手にどれだけ借金
  こしらえても、いずれはお家から出してもらえるじゃろうという、いわば信用みたいなもんが
  あるさかいに置いてもろてるわけだ。その後ろ盾がのうなったらもう、あんたは用無しや」
作「そんなこと言うてもなぁ、又はん。わいはこの勝負の世界が好きでしょうがないなんや」
又「ろくに勝ったこともないのに、なんでそないに」
作「さいころの目一つで勝った負けだが決まる。(パチパチパチ)『勝負!』という声が聞こえてくる。
  こんな男らしい世界はないやおまへんか。こればっかりは、もうやめとうてもやめられんなぁ」

343 :ごじゅういち:02/09/23 05:35
又「OK! わしに任せときなはれ」
作「桶? 桶がどないぞ…」
又「いかんいかん。また異人の口癖が出てしもうたわい」
作「何でんねん、その異人の…」
又「シャラップ! 七つの海を知らんようなもんにはわからんで当然のこっちゃ」
作「海ならぎょうさん知ってるがな。須磨に白浜に和歌ノ浦…」
又「……あぁ、えらいえらい。作ぼんは物知りじゃ物知りじゃ。しかし、そんなに勝負事が好きだっか。
  ほたら、えぇ話があるんやがなぁ…」
作「何でんねん、そのえぇ話て」
又「さいころ一つというわけやないが、勝った負けたが全ての世界で、男らしいことこの上ない
  そんな商売がありまんのや。作ぼん、あんたがその気ぃなら、世話せんこともないが」
作「どんな商売で?」
又「それをここで教えて、連れてく前から尻ごみされても困るんでな、詳しい話はまだやめとこ」
作「尻ごみ…。そんな危ない商売なんか?」
又「そら穏やかでのんびりした商売とは言えんが、男にしかでけん、勝つか負けるかの世界。
  そのことだけはこのわしが請け合う。今はそこまでしか言えまへんな」
作「又はん、わい、やる。うちからも賭場からも追い出された以上、わい、やる」
又「よっしゃ。そんなら明日の朝わしの所に来なはれ。その後のことは一切任せてもらいまっさかいな」

さぁ、何にも知らんこの作治郎。どこで何をさせられるかもわからんまま、火事場の又兵衛の口車に
まんまと乗せられまして、連れてこられましたのが蛸壺部屋で。ところが、相撲部屋とは気付かれん
ようにというのが申し合わせやったにもかかわらず、部屋では朝稽古終わりの時分どき。ちゃんこ鍋の
ダシの匂いがプンプンしておりまして、それを取り囲むのはいかに弱小部屋の連中とはいえ大坂相撲の
相撲取り。もう誰が見ても相撲部屋であることは明らかでございます。

344 :ごじゅういち:02/09/23 05:36
蛸「いやいや、今日もこうしてお前らのおってくれたおかげでちゃんこを食べることができる。
  ことにこの頃、中身の具はともかくダシだけはえぇのが出てるやないか。これは誰のおかげかな?
  ん? あぁ、お前らか。ありがとう、ありがとう」
B「親方、こいつら兄弟の田舎で取れる昆布は上物でっせ」
蛸「そうじゃなぁ。弟子入りしてきた時には田舎も遠いさかい、入門を許したもんかどうか悩んだが、
  今日ほど北国育ちの弟子を取っといてよかったと思たことはないぞ」(パチパチパチ)
B「ほれ、親方も喜んでるがな、何とか言わんかいな」
力士C「よかったわ次郎作ちゃん。親方も喜んでくれてるわ次郎作ちゃん」
力士D「わかったでそうパシパシ叩くな。わしは相撲取りには珍しい体の弱いことで評判なんじゃ。
    あ、親方。ここで笑わんともう笑うとこないから」
蛸「どうでもえぇが、お前らの大坂ことばには、どうも未だに違和感をおぼえるな」

又「邪魔するで」
蛸「おや?どなたかおいでたな。どうぞ。お入りなされ」
又「わしはのう、火事場の又兵衛というもんじゃが、蛸壺はどこじゃ?」
蛸「火事場の又…はいはい。お越しになるとは聞いてたが、えらい急なこって」
又「聞いてたが? そんならこのザマは何じゃ。相撲部屋であることは隠しとくようにという話も
  知らんとは言わさんぞ」
蛸「いつおいでになるやわからんのに、そんな無茶言われても」
又「えぇわい。どの道いつかは知れるこっちゃ。おい、作ぼん、入っといで」
作「お邪魔致します」
又「蛸壺、話は聞いてるな。これが預かってもらいたいという男じゃ。どうや、作ぼん。
  これでわかったな。あんたが今日からする商売が。見てみぃ、そこで今日からみっちりと
  しごいてもらえ」
作「わぁ、大きな土間やな」
又「土間? アホも休み休みぬかせ。まだわからんか。えぇからこっちへ来い。そこへしゃがめ。
  ここでお前がそうやってしゃがんで、わしがこっちでこうやってしゃがんで、それからこうやって
  お互い両手を地ベタに付いて…」

345 :ごじゅういち:02/09/23 05:38
蛸「ちょっと待った! その仕切りの時の姿はもしや…。客人、あんた又兵衛はんとおっしゃったが、
  もう一ぺん、よう顔を見せとくなはれ」
又「おう、蛸壺のう。こんな顔、穴が開いても構やせん。よう見てくれ。さぁ」
蛸「………はっ、な、七ツ海関! お懐かしゅうございます!」
             (鳴り物)
又「気がついたか、蛸壺のう。いかにもわしはその七ツ海じゃ。十五でこの世界に飛び込んで、
  末は大関と持てはやされたが、見るに見かねる勧進元の有様。それなら江戸でと身を転じ、
  精進するも水に合わず、伝え聞いたる横浜の、異人の船に身を潜め、旅に出たのが三年前。
  万国巡り遊山して、帰ってみても大坂の、相撲のことが気に掛かり、戻ってみても相変わらず、
  昔とたがわぬ有様で、さてこれからはこのわしが、蛸壺乗っ取り(チョーン)
  大坂相撲復興に一旗揚げて見せよう」
蛸「七ツ海関が大坂相撲に戻ってきてくれた。皆がこの日をどれだけ待ってたことか。
  お前らもよう聞いてくれ。わしはこの部屋をそっくり七ツ海関に譲るさかいな。これからは
  お前らの師匠はこの七ツ海関じゃ。よう鍛えてもらうように」
力士衆「ごっつぁんです!」
A「親方ぁ、なんやごっつぅ気合いが入りまんなぁ。そしたら余計に、腹が減りましたぁ」

さてこれから、大坂相撲復興のための七ツ海の奮闘が始まるわけでございますが、
後半は次の席ということで、今晩はこの辺で。

ドンドン

346 :ごじゅういち:02/09/23 05:47
ついに一話完結できない所まで逝ってしまいましたw
相撲噺は前から一度時期を合わせてやろうとは思ってました。
ネタ探しに「大坂相撲」で検索をしてたら、予想外におもしろくてハマってしまい
結果がこの通り。こうなった以上次回がどんなお題でもまとめてみせましょう。
(とでも見栄を切っておかないと…というのが本音だったりする)
さぁ、寝よう寝よう。

347 :重要無名文化財:02/09/24 04:24
やんややんや。
次回の七つ海のの活躍が楽しみ。
でも、相撲取りがなりを潜めてもぐりこめる異人船って(藁

348 :湖亭半弗:02/09/25 19:58
それではひとつ書かせていただきます。
里の筍さんの実に温かい噺、ごじゅういちさんの軽快な
相撲噺の大作に続きまして、軽い新作で失礼をいたします。
「さいころ」「北国」「温野菜」ですね。

 えぇ、実に馬鹿馬鹿しいお噺を聞いていただきますが、
関西のもんちゅうのは二人よるだけで、面白いもんで、
A「醤油ちゅうのは、何の油かいなぁ。」
B「何にも知らんねやなぁ、お前も醤油の炒めモンぐらい食うたことあるやろ。
醤油ちゅうのは料理油や。」
教えるほうもわかってないんではさっぱりワヤですが。とかく
この相談事やらをやらせてみても、悪いほうに転がるもんで、
北川国松「南島の、またせたな。」
南山島梅「おぅ、北国の。いや、わしも今来たとこや。」(パチパチパチ)
北国「せやけど、お前、こんなレストランなんかに呼び出して何やねん。」
南島「いや、いきつけの店やとガイが悪いモンでな。」
ウェイター「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか。」
北国「お前、もう決まったんかぃ。メニュー貸してくれ。」
南島「ほな、わし、さいころステーキで。」(パチパチパチ)
北国「ちょっと待てよ・・・、ほなわし、温野菜とパスタの
サラダとコーヒーで。」(パチパチパチ)
南島「何や、お前。ダイエットでもしてるのんかぃ?」
北国「いや、実は、昼飯が遅なってな、腹一杯やねや。」
南島「そうか、ほなそれで。」
ウェイター「ご注文繰り返します。さいころステーキがおひとつ、温野菜とパスタの
サラダがおひとつ、コーヒーがおひとつでよろしかったですか?」
北国「あぁ、それで。」
ウェイター「一気に片付けましたね。」
南島「余計なこと言うてんと、早よせぃ。」
ウェイター「失礼いたしました。」


349 :湖亭半弗:02/09/25 19:59
北国「・・・で、何やねん。そのガイ悪い話っちゅうのは。」
南島「それがやな、実はもうすぐあれがあるやろ、週間東西の
小説大賞の発表が。」
北国「あぁ、そうやな。お前もわしも最終選考まで残ったちゅう話や・・・。
そら、ガイ悪いなぁ、だんだんそんな気がしてきた。」
南島「そうやがな、それがな、その、わしの書いた私小説にモデルが
出てくるねやが、これ大賞として発表されると、ちとまずいねや。」
北国「ほぉ、今は何や危ないからな、肖像権やとか何やとかで。」
南島「それが、これ、うちの嫁のな、話やねん。」
北国「お前の?・・・まずいなぁ、一番まずいやないか、それは。
書きようによってはアザではすまんで。何でそんなもん出したんや、お前。」
南島「いや、ほんまは違うのん出すつもりやったんや。というのはな、
わし、腹いせに一杯書いてたんや、嫁の小説を。で、週間東西の大賞用のを
編集が出せちゅうので、それ用の別のを渡したつもりが、間違うて、その秘密の
嫁小説を出してもうたんや。」
北国「ぶさいくなやっちゃなぁ。・・・せやけど、お前のが大賞になるや
ならんかは分からんやろ。わしのがなるやも分からんしな。」



350 :湖亭半弗:02/09/25 19:59
南島「さぁ、そこや。実は、大賞候補辞退の電話を編集部に入れたんや。
ところが、まずいことにお前のとわしのとで票が割れてるちゅうねや。」
北国「あぁ、そこまで行ってしもてるねやったら、おいそれと辞退できん
わなぁ。ちゅうか、待てよ。お前、辞退したらわしのが大賞か?」
南島「そうねやがな、おまえが大賞や。まぁ、わしのはどうでもえぇねや。
世間に出てしもたらそれこそ台風を家の中入れてるようなもんや。
せやから、わし、無理からでも辞退してお前に賞とらせたるさかいに、
それ許してくれるか?」
北国「冗談やないで、お前。ほんなら、わしゃ、お前に賞を譲ってもろぅた
形になるがな。あれ確か、出版社の恩夜祭でも受賞経過が審査員から
発表されるねやで。『両者甲乙つけがたかったのですが、南山氏の辞退が
ありまして、北川氏の作品が大賞に・・・。」てなこといわれたら、わしゃ
恥やがな。」
南島「実にサイコロジカルな悩みやな、これも。まぁ、せやさかいに
こうして呼び出して頼んでるねやないかぃ。」
北川「いやいや、聞いてもた以上はほっこく、いやほっとく訳にはいかんわぃ。
わしかて辞退してくる、このままではえぇ恥さらしや。」
南島「まぁ、待ちちゅうねん。ほなら、このサイコロで決めよやないか。
1から3が出たら、わしの勝ちや。んで、4から6が出たらお前の勝ちや。
わしゃ辞退せん。これでどや?」
北国「ははぁん、そう来たか。」
南島「何がやねん。」
北国「お前、肉嫌いなくせに、さいころステーキ注文したんは、ずっと
そのサイコロに執着してたからやな。はじめからこうする手はずか。」
南島「ははは、ばれたらしゃぁない。どや?やらんか?」


351 :湖亭半弗:02/09/25 19:59
北国「まぁ、えぇわい。ほな、それで振りぃな。」
南島「ほな、行くぞ。えぇな。待ったはなしやぞ。やっとこらさの
どっこいしょ!・・・や!見てみぃ。ピンや!一や!」
北国「お前の思い通りに流れてるなぁ・・・。まぁ、しゃあない。男の
約束や、辞退するなり何なりせぇや。後のことは何とかなるやろ。」
南島「すまんなぁ、そうしてくれるか。」
北国「その代わり、後でどんな作品かわしには読ませてくれ。」
南島「ま、お前ならえぇやろ、実はそれ、今、持ってきてるねや。
このカバン・・・、あれ?中身あれへんがな。」
南島の妻「あんた!これいったい何やの!」
南島「あ!お前!いつから後ろに陣取ってたんや!?」
妻「北川さんが来はる前からいてたわ!あんた、こんなもん書いてたんか!!
えぇ、それも大賞になるやならんややなんて!はよ辞退しといで!その後
みっちり色んな事させてもらうさかいな!!覚悟しとき!」
南島「・・・は、はぁ・・・、何やったんや、わしは。賽振ったら
妻が出るとは思わんがな。今のピン出た喜びがさっぱりワヤやがな。」
北国「せやな、今のお前はまさに愚(グ)やな。」

ドンドン

352 :湖亭半弗:02/09/25 20:00
どこが軽い新作やねん、とお叱りをいただくほど長くなってしまいました。
最近書き込み制限が短くなりましたね・・・。すいません。

353 :重要無名文化財:02/09/25 23:14
思い切った話だなぁ。御題の放り込み方が、そのままと駄洒落と
2パターンあるんだね。サイコロジカルって・・・よく見つけたと思う。

354 :新参亭トーシロウ:02/09/26 02:08
さいころといえばあの噺ということで。ああまだ拍手は
しなくて結構です。

 残暑も厳しいとある夏の夜、長兵衛という貧乏人が腹を空かせながら
寝つけずにあっちぃゴロゴロ、こっちぃゴロゴロと部屋中寝返りうって
いますと、戸を叩く音がします。

トントン、トントン、

「こんな夜中にいってぇ誰だろうな、おおぃ、開いてるよッ。入ぇりな。」
「ちょいと開けていただけますか」
「何だ、バカに高ぇ子供みてぇな声だな、開いてるから入ぇりなって。」
「手が届きませんので開けていただきたいのです」
「届かねえって、…まぁいいや、開けてやらあ。(ガラッ)はい開けた。
 あれッ、誰もいねえ」
「ここでございます」

足元を見るといいますと小さな狸がちょこんと座っております。

「いま戸ぉ叩いたのはお前ぇさんか?」
「そうでございます」
「こりゃたまげたね、喋る狸なんてな話にゃ聞くけど見ンのは初めてだ、
 へぇーっ」
「長兵衛さんに受けたご恩を返しに参りました。あたしの事を覚えて
 いらっしゃいませんか」
「いや、狸に知り合いはいねえ」

355 :新参亭トーシロウ:02/09/26 02:09
「三月ほど前に長兵衛さんが罠にかかったあたしを逃がしてください
 ました」
「アァ、アァ、あん時の!越後の爺様がかけた罠をおいらが間違えて
 外しちゃった、あん時の狸かい。また越後とは遠くから来たねえ」
「あれ間違えただけだったんですか」
「そうそうあの日は狸鍋がパァになったって怒られてな」
「はぁ」
「そうだ、お前ぇのせいで爺様に鍬持って追っかけられたんだ、今から
 でも狸鍋にしてやるか」
「待ってください、恩返しに来ていきなり食われたんじゃあ他の狸に
 示しがつきません」
「恩返しか。お前ぇさん何が出来るんだい」
「そりゃあ狸ですから化けられます」
「わかった、狸鍋に化けろ」
「北国生まれなんで熱いのは勘弁しておくれでやす」(パチパチ)
「じゃあとりあえず切り身でいいや、煮るのはこっちでやるから」
「できれば食べられる以外の恩返しが…」
「贅沢だね」
「それほどでも」
「うーん、そんならとりあえず人間に化けて飯でも作ってくれるか」
「あいすみません、そんな大きいモノには化けられないんで」
「人間に化けられねぇ?なにも、ライオンやサイに化けろってわけ
 じゃねえんだ、大きすぎるってこたぁねえだろう」(パチパチ)
「自分より大きいものにはなれないんですよ」
「意外と不便だね狸ってのも。あっ、じゃあアレだ、お前ぇさん『狸賽』
 って落語知ってるか、さいころに化けてくれ」(パチパチ)
「へぇ、その話なら知っております。教科書に載ってました」
「教科書なんかあんのかい」
「ちゃんと勉強して立派に恩返しが出来るようにと」


356 :新参亭トーシロウ:02/09/26 02:10
「偉いもんだね、狸をバカにしちゃいけねえな。これから狸鍋を食う
 ときはハハァーって頭下げて食うことにするよ」
「食べないでいただけると嬉しいんですが…」
「おう、落語を知ってるなら話が早ええや、お前さんは壷の中でオレが
 口で言ったとおりの目をだしゃいいんだ」
「心得ております」
「落語だと最後に観音様の格好しちまうけどあれはやんなくていいん
 だぞ」
「もちろんです」

長兵衛、狸が化けたさいころを握って賭場に出かけていきまして

「おうっ、八公、元気か!」
「なんだ長兵衛やけに威勢がいいな」
「へっへっ、今日のオレぁいつもとは違うんだ。おうおうおうっ、
 お前ぇら集まりゃあがれ!オレが胴さしてもらうぞ。さいころは
 持ってきてんだ」
「わかった、壷はオレが持ってきたのがあるから使いねえ」
「お、八の字気が利くじゃねえかそんじゃあ振るぞ!さぁ張った」


357 :新参亭トーシロウ:02/09/26 02:10
とまあ、いつもの面子で博打を始めたんですが全く勝てません。
長兵衛が「五」といえば一が、「三」といえば四が出る有様で
最初のうちは狸が怪しまれないようにわざと違えてるのかとも
思ったんですがあんまり勝てないもんですから

「ちょっ、ちょっと厠に行ってくらあ」

とさいころを持って出ていきました。

「おいっ、おいっ、狸!お前ぇ約束が違うじゃねえか、言った
 とおりの目をださねえか」
「大変申し訳ありません、無理です」
「あの壷、狐が化けてます」
(ドンドン)


358 :重要無名文化財:02/09/26 02:28
新参亭さん、うまいねぇ。なかなかのもんだよ。
狸賽ベースできれいにしあがったね。サゲがいいね。本家狸賽でも
このサゲでよさそう。

359 :新参亭トーシロウ:02/09/26 13:00
2ちゃんねるに書き込むの初めてなんですが1つ目を書き込んだ直後に
スレッド一覧まで飛ばされてたいへん慌てました。2ちゃんねるブラウザは
必須ですね。

360 :新参亭トーシロウ:02/09/26 17:16
サゲ前の長兵衛のセリフが抜けてた…

「大変申し訳ありません、無理です」
「ん?」
「あの壷、狐が化けてます」
(ドンドン)

361 :重要無名文化財:02/09/29 04:48
age

362 :主催者:02/10/03 01:42
ごぶさたしております、主催者です。たくさんの投稿ありがとうございます。
実は今、携帯から書いています。全てに感想をお書きしたいのですが、その環境にはありません。ので、この後に題名と一言感想にとどめたいと思います。読者の方が感想を書いて下さるのを期待しつつ、不甲斐無さをお詫びいたします。

363 :応援団:02/10/03 01:45
いつもROMってます。主催者さん乙カレさんです。
これからも頑張ってください!

364 :主催者:02/10/03 02:04
筍さんの「どじょう孝行(仮)」は、花坊のけなげさが子供心に実に温かくて江戸噺の情を描いています。
51さん(携帯なのではしょります)の「七ツ海力士伝(前)」は次回に持ち越しとの事で豪快な七つ海の活躍が楽しみです。
半弗さんの「一に踊る作家(仮)」はお題の使い方が拍手もので、今回おそらくモチーフだろう柳さんの作品を題名にあてはめて見ましたがいかがでしょう?
トーシローさんの「狸の再コロ(仮)」はタヌサイを本歌取りに、とてもユニークかつ忠実に展開していくさまが楽しいです。

365 :主催者:02/10/03 02:14
トーシローさんは初投稿ありがとうございます。これからも楽しみにしています。
応援団さんもあたたかいお言葉ありがとうございます。親指つっても書き込みます(笑)

では、次回第23回お題とりにまいりましょう。一レス一単語でお願いします。

366 :重要無名文化財:02/10/03 02:16
衣替え!

367 :重要無名文化財:02/10/03 03:13
胴上げ

368 :重要無名文化財:02/10/03 11:12
運動会

369 :重要無名文化財:02/10/03 16:24
プレーオフ

370 :重要無名文化財:02/10/03 17:43
悔し涙

371 :重要無名文化財:02/10/03 19:14
黄金虫

372 :重要無名文化財:02/10/03 19:50
株価

373 :重要無名文化財:02/10/04 00:48
ダンディ

374 :重要無名文化財:02/10/05 00:01
ヤクザ

375 :主催者:02/10/05 03:23
たくさんの応募ありがとうございます。それでは第二十三回お題発表です。

「衣替え」「プレーオフ」「株価」
です。
今回は落語と馴染みがなさそうなのを選んでみました。不甲斐無い割にシビアな主催者ですみません(苦笑)そこは皆さんの類まれな才能で越えていっていただきたいと思います。

みなさんの力作を心よりお待ちしております。

376 :新参亭トーシロウ:02/10/08 01:44
「衣替え」「プレーオフ」「株価」

不況の嵐も吹き荒れるとある町中でのこと。一人の老人が、とは
いってもまだまだ元気で歩く足取りもしっかりとしておりますが、
横断歩道の上から飛び降りようとしている男を見つけました。

「…もうダメだ、死ぬしかない、飛び込むぞ飛び込むぞ」
「これ、お前さん」
「…恐い、でも…うう、いち、にの、さん!」
「これ」
「…で飛び込むぞ、今度こそは、せーのっ」
「お・前・さん、と呼んでおる!」(ポン、と肩を叩く)
「うわぁっ!、、びっくりした、死ぬかと思った」
「なにを筋の通らんことを」
「あ、そうか。…止めないでください。私はもう死ぬと決めたン
 です!」
「お前さんがどうしても死にたいというなら止めはせんが、ここで
 はやめておきなさい」
「どうして!」
「道路に車が走ってない。」


377 :新参亭トーシロウ:02/10/08 01:44

男をなだめすかしながらとりあえず歩道橋から降ろしまして。

「まあ落ち着きなさい。どうかな。このジジイにお前さんが死にたい
 理由を話してみてはくれんかね」
「はぁ…。実は私は服飾メーカーの重役をやっておりましたが、先日
 手違いから重要な取引をご破算にしてしまい会社を首になった上
 女房には逃げられ、ローンの返済のめどは立たず、もう生きていく
 希望もないので死ぬしかないと」
「かぁーっ情けない、そんな小さなことで死んでいたら世の中死人
 だらけになってしまう」
「あんたに私の気持ちなど分かるものか」
「いいかね、たったいちどの失敗で首にする会社も会社だが、それを
 取り返そうとしないお前さんも悪い。人間死んだ気になれば何でも
 できるものだ。重役にまでなるからには成功したこともあるのだろう」
「はぁ、ライバル会社との競争でわたしの企画が当たって大きな差を
 つけた功績を認められたことが一度あります」
「ならば一勝一敗ではないか、まだ引き分けに過ぎない」
「なんだかだまされてるみたいだなあ」
「ちょうどわしの持っている会社も服飾メーカーだ、よし、お前さんの
 借金はわしが払ってやる。その代わり拾った命、わしに預けてみんかね」
「社長さんなんですか」
「もう引退して会長だがね、社員を一人ねじ込むぐらいの権力はある」
「わかりました。どうせ死のうと思ってたんです、なんだってやります」


378 :新参亭トーシロウ:02/10/08 01:45

そんなこんなで無理矢理のように入らされた会社というのは以前その男が
出世するきっかけになったライバル会社だったンですが、男にとっちゃ
そんなことは関係ない。引き分けで終わるはずだった人生に降って湧いた
プレーオフ(パチパチ)とばかりにバリバリ働きました。

また、どうやら会長のお気に入りらしいというんで普通なら通らない
ようなところも何故かスムーズに通ってしまうような按配で、もともと
優秀な男ですから瞬く間に会社の中で地位を築き上げ、出す企画出す企画
がことごとくうまくいって会社の株価もうなぎのぼりです。(パチパチ)

面白くないのは男のもといた会社の方で。首にした人間がライバル
会社に入って活躍している。これは自分の処の秘密をいろいろ盗んで
行ったんじゃないかと勘ぐりたくもなります。男と知り合いだった人間を
接触させて探りを入れてきました。

「ずいぶんと活躍してるらしいじゃないですか」
「死ぬ気でやってるからね」
「はは、ご冗談を。会社を辞める前の落ち込みようが嘘のようですね」
「そうかな」
「あの時から今の会社に入ろうと思ってたんですか」
「いや。」
「ウチのお偉いサン連中には、あなたがウチの情報をライバル会社に
 売ったんじゃないかって思ってる人もいるみたいですよ」
「まさか。そんなことはしちゃァいないよ」
「ええ、僕はあなたに会ってみてそんなスパイみたいな真似はしてないって
 納得しました。以前はもっと気弱そうだったけれど、衣替えしたみたいに
 落ち着いた雰囲気ですもんね。一体何があったんですか」(パチパチ)
「うん…ふくの神に拾われたんだ」
ドンドン



379 :新参亭トーシロウ:02/10/08 01:46
笑いがなくてゴメン

380 :重要無名文化財:02/10/08 02:51
うまいんじゃないですか、サゲもいいし。
時勢に合ってる感じがする。

381 :重要無名文化財:02/10/08 08:57
age

382 :前スレ亭ごじゅういち:02/10/08 22:04
「衣替え」「プレーオフ」「株価」

えー、今日は、前回の続きでございまして、何のこっちゃという方はどうぞこちらを。便利でんなぁ。
http://ton.2ch.net/test/read.cgi/rakugo/1019209481/338-345
さて、大坂相撲復興という大見得を切りました七ツ海、人気低迷と内輪揉めが絶えん毎日に
頭を抱えておりました勧進元に、破格の待遇でこれを迎えます。今で言う一代年寄…大坂では
年寄とは申しませんで頭取というてたようでございますが、七ツ海親方として蛸壺部屋の表の看板も
七ツ海部屋と改めまして、ドッカと主におさまります。明日がいよいよ新生七ツ海部屋として
部屋開きやという晩のことでございます。ひょんなことから生え抜きの弟子第一号となりました
作治郎を呼び出しまして。

七ツ海「さぁ、お前もこれからは今までと同じような気持ちでおってもろては困る。
    わしの弟子になったからには一から鍛えなおすさかい、心してもらいたい。
    今日でこの通り、部屋の衣替えも済んだわい(パチパチパチ)。明日からが肝心じゃ。
    今までは又はんと気軽に呼んでくれてたが、これからはわしが師匠でお前が弟子じゃ。
    呼ぶときには親方と呼ぶようにな」
作治郎「はい、親方」
七「うん、それでえぇ。あぁそうじゃ。相撲取りになったからには、いつまでも作ぼん作ぼんと
  呼んでるわけにもいかんわい。なんかえぇ四股名をつけにゃならんな」


383 :ごじゅういち:02/10/08 22:05
作「親方、その心配はいりまへんで」
七「ん? もう考えてあるのか?」
作「これからはわいが二代目七ツ海としてがんばらせてもらう…」
七「アホぬかせ。そう易々とわしの名前がやれるか。そうじゃなぁ…。何がえぇじゃろ」
作「相撲取りの名前というと『山』とか『海』とかが付きまんねやなぁ?」
七「あぁ、そうじゃ。名前の頭に『若』とか『大』てな字を付けるヤツもおるな」
作「『若旦那』というのはどうですやろ」
七「そのまんまやないかい」
作「あきまへんか。ほな『大旦那』…」
七「なおいかんわい。そうじゃな。お前、座右の銘とかそういうもんはないのか?」
作「そうでんなぁ、『人間万事塞翁が馬』でっか?」
七「塞翁が馬…か。よし、ほたらそれにお前の今までの生き様をかけて『賽翁』とはどうじゃ?」
作「『賽翁』かぁ。親方、これはえぇ名前だっか?」
七「なかなか相撲らしいえぇ名前じゃと思うがな」
作「ほたらそれに決めますわ。相撲らしいえぇ名前でんなぁ。えーっと…何ちゅう名前でした?」
七「憶えられんか。仕方ない。紙に書いたるよってちょっと待っとれ。そのかわり先に言うとくが
  道で友達に会うたりしても、これを読ませたりせんようにな。話がややこしなるさかい」

384 :ごじゅういち:02/10/08 22:06
じぇろむ「ごめん」
賽翁「わ、異人さんや」
七「おぉ、来てくれたか。待ってたんや。賽翁、皆に紹介するさかい呼んできてくれ」
力士A「親方お呼びですか。わ、異人さんや」
力士B「親方、なんぞ御用で。わ、異人さんや」
七「ったく、どいつもこいつも…。ビックリするときまでみな同じじゃ」
じぇ「約束通り来たぞ」
七「うん、おおきに。メルシー。お前ら、こいつは今日から新弟子じゃ。ふらんす国の男で
  『じぇろむ』という。よう面倒見たってくれ」
A「新弟子って親方、異人さんでっせ。こいつ、相撲取れるんでっか?」
じぇ「大口を叩くヤツは潰す!」
賽「わ、えらい勢いで怒ったはるがな」
七「じぇろむ、そのぐらいにしとけ。お前らもな、気ぃつけないかんで。こいつの左の張り手
  食ろたら立ってられんぞ。それどころか今のお前らなら命も危ない」
A「そ、そんなに強いんでっか?」
七「せやさかい連れてきたんやないか。ここで試しに一番、てなこともわしゃ無責任には
  よう言わんで。ま、そういうこっちゃ。仲良うするんじゃな」
A「わ、わかりました」
七「ほたらじぇろむ、お前にも名前を付けよかの。お前らも考えたってくれ」
賽「『異人山(いじんさん)』はどないです?」
七「そのまんまやないかい、ほかは?」
A「名前なぁ…。さっきのえらい勢いで怒ったときの顔。あれから考えたら…」
七「うん、それじゃな。えらい勢いで怒ったと書いて『勢怒川』」
じぇ「『せいぬがわ』! う〜ん、トレビア〜ン」

こんな調子で七ツ海、自分が異国巡りをしてたときの人脈で次から次へと外国人を入門させまして…
こんなことを申しますと、鎖国の時代にそんなことができたんかいな、とお思いの方もございましょうが
なんせそこは幕末でございまして、できたんでございますな、これが。そんなこんなで迎えましたのが
秋の本場所。あの七ツ海が大坂相撲に帰ってきたというだけでも評判なのに加えまして、なんやわけの
わからん異人の相撲取りが前相撲でぎょうさん出てきて、しかもそいつらが滅法強いという噂が
流れますと、大坂中がそのことで持ち切りでございます。

385 :ごじゅういち:02/10/08 22:07
男1「聞いたか?」
男2「聞いた。えらい評判やな」
男1「えらい評判や。昨日よねやんが見に行って、帰ってきてから話聞いたが、すごいな」
男2「前相撲がすごいらしい。変わった名前の異人さんの力士がやたら強いんやて」
男1「ふらんす国で用心棒やってたのが『勢怒川』で、えじぷと国のが『砂原国(さはらくに)』、
   おろしあ国で船曳きやってたのが『掘賀川(ぼるががわ)』、ちべっと国から来たのが
   『暇羅山(ひまらやま)』やて」
男2「異人さんの相撲てどんなんやろな?」
男1「行てみよか?」
男2「行てみよ行てみよ」

噂が噂を呼びまして場所は大賑わいですな。何しろまず前相撲から見なあかんというんで、
朝早うから行列ができまして木戸番がびっくりしよった。前相撲からこんな盛り上がりになると
取り進んで番付が上がってきても土俵の周りには一種独特の異様な雰囲気が立ち込めまして
普段は支度部屋でさいころに興じてるほうが熱心なような関取連中にも、この雰囲気は伝わります。
おのずと取り組みに熱を帯びて参りまして大盛況のもとに夏の場所を終えまして。

386 :ごじゅういち:02/10/08 22:08
七「いや、ご苦労さんご苦労さん。立て直したばっかりのドタバタした中での最初の場所。
  そんな中で皆ようやってくれた。グッジョブじゃ。掘賀川、お前は8番取って8戦全勝か。
  うんうん、来場所の番付が楽しみじゃのう。暇羅山、お前も7番取って7戦全勝か。ん?
  空気が濃いさかい、負ける気がせん? おい聞いたか。今度は場所前に皆で暇羅山の故郷へ
  稽古しに行こか、ホンマに。えぇ次は勢怒川、お前は7番取って6勝1敗か。誰に負けたんじゃ。
  千秋楽で孝乃富士の喉輪に? あぁ、そうかいな…て、こんなネタ、皆さんついてこれてるんか?」
賽「親方、わいもやりましたで」
七「おぉ、賽翁。お前はまた特にようがんばったな。正直、ここまでやれるとはわしも思てなかった。
  結局、何番勝ったな?」
賽「はい。9番取らしてもろて6勝3敗で」
七「63のはやかぶか。(パチパチパチ)幸先えぇな。その調子じゃ。それに比べて兄弟子衆よ。
  お前ら、もうちょっとがんばらないかんな。ウカウカしてたらお前ら、すぐにこいつらの褌担いで
  歩かんならん」
A「親方、わかってます。わしらも悔しい。悔しいけど今はこいつらにあやからせてもらおと思います。
  わしらもこれを契機に四股名を変えたいと思います」
七「なるほどな。それもよかろう。しかしなぁ、お前らはわしが来る前からの力士やさかいなぁ。
  いわば鎖国する日本の象徴……よし、お前は今日から『鎖国』じゃな」
A「『くさりくに』? なんやゲンの悪い名前やなぁ」

387 :ごじゅういち:02/10/08 22:10
B「親方、お客さんがおいででございますが」
七「うん、お通しせい」
大男「おはんが七ツ海親方かの?」
七「いかにも」
大男「おいは薩摩藩からの使いのもんでごわして、この度の場所でのおはんの部屋の力士の活躍、
   惚れ惚れ致しましてごわす。そこで一つ、これからは、おはんの部屋の力士を皆揃うて
   薩摩藩のお抱え力士ということにさせてもらいたいがどうじゃ?」
七「そ、それは誠のお話か? ありがたい!」
大男「喜んでもらえるなら、そういう話で」
七「信じられんようなお話じゃが、重ね重ね礼を申す。それにしても客人、あんた、なかなか
  立派な体格じゃ。どうじゃ? ここは一つあんたも力士になってはみんかな?」
大男「ワッハッハッハ。おいも相撲は大好きでごわすが、それは遠慮したい。おいにはこれから
   せねばならん大きな仕事が待っとる」
七「惜しいなぁ、いやいや、ならば結構。おい聞いたか、賽翁。すぐに勧進元に連絡をせんか。
  大坂相撲に夜明けが来たぞ!」

このことがどれだけすごいことかと申しますと、前回も申しました通り、それぞれの藩にとっては
武家屋敷があります江戸で力士を召抱えれば、江戸と地元を往復させればその藩の勢いを世に示す
ことができたわけでございます。つまり、わざわざ大坂相撲までお抱えを作る必要なんぞないわけ
ですな。そんな中で大坂の一つの部屋丸ごとお抱えとなると、よっぽどの茶人やなけりゃ考えつかん
ような話でございます。ただでさえ尋常でない強者を集めた所へ大スポンサーがついたわけでして
まさに鬼に金棒で。次の場所からは七ツ海、嬉しい悲鳴でございます。

388 :ごじゅういち:02/10/08 22:10
七「いや、ご苦労さんご苦労さん。今日もようやってくれたのう。今場所も残りは明日の千秋楽を
  残すのみ。明日取り組みがあるヤツは早うに休め、おぉ鎖国。お前も早うに休め」
鎖「親方、わしと砂原国は今日まで勝ちっぱなし。明日はことによっては優勝決定戦で」
七「何、決定戦? あぁ、プレーオフじゃな。(パチパチパチ)まだまだ番付は下のほうとはいえ
  この部屋から優勝が出るのは早いに越したことはない」
鎖「はい。でも、そんなことになったら、わし、あがってしもてどないしたらえぇか…。親方、
  お願いじゃ。あともうちょっと稽古をつけてもらいたい」
七「よしよし、わかった。ちょっと待ってい。仕度をするさかいに」
B「親方ぁ、大変じゃあ!」
七「何じゃ、騒々しい」
B「幕府が、幕府が大政を奉還しました!」
七「何じゃと!」
B「そのことで京は大騒ぎやそうで…親方、これから一体どないなります?」
七「さぁ、どうなるかのう。ただ、少なくとも相撲どころでないのは確かじゃ。騒動になるぞ。
  世の中はこれでガラリと変わる」
此花親方「親方ぁ、七ツ海親方はおるかのう」
七「おぉ、此花か。えらいことじゃな」
此「えらいことどころの騒ぎやありゃせん。さっき京相撲の頭取から飛脚が飛んできてな。
  京では薩摩長州の軍勢と幕府の軍勢が今にも戦を始めん有様じゃそうな。親方、あんたのせいで
  幕府の連中、大坂相撲は薩摩ベッタリじゃと思い込んでしもたわ。どうしてくれる?」
七「どうしてくれる? 知れたこと。おい鎖国のう。わしは今から京に馳せ参じる。えぇかよう聞け。
  幕府は終わったんじゃ。江戸の時代はもう終わりじゃ。相撲もこれからは大坂の時代じゃぞ。
  明日の優勝はお預けになるかも知れんが、そんなのは小さいこと。よう精進せぇよ」

389 :ごじゅういち:02/10/08 22:12
これが、大坂の相撲界に七ツ海が残しました最後の言葉でございます。ご存知のように、この日を境に
本当に世の中はガラリと変わってしまいまして、世に言う明治維新でございますな。京を舞台に
繰り広げられた戦が済んで、さぁ、いよいよ七ツ海のもとで大坂相撲の復興を、と高まる期待にも
かかわらず、七ツ海の姿は再び大坂相撲から消えてしもた。仕方がないというんで一度は隠居をして
おりました蛸壺が親方に復帰を致します。明治も始まった頃には、七ツ海の言葉通り、江戸の力士にも
江戸はもう終わりやと腹を括って大坂へ移るのが何人か出まして、一度は活気を見せました大坂相撲で
ございますが、新政府が東京に本格的にできますとそれも立ち消えてしまいます。こうなりますともう、
嵐が過ぎてしもうたようなもんでございますな。七ツ海が現れる前に逆戻りでございます。
また、風体のようない面々があっちの部屋こっちの部屋に出入りするようなことが増え出したりしながら
十年という月日が流れました。

390 :ごじゅういち:02/10/08 22:13
此「親方ぁ、蛸壺親方はおるかのう」
蛸「これはこれは此花親方でございますかいな。ご無沙汰を致しております」
此「いやいや、無沙汰は互いじゃ。それよりな、あんたの所の賽翁な、入幕が決まったぞ」
蛸「そうですかいな。いやぁ、それは嬉しい知らせじゃ」
此「わしがあの男のことであんたに相談に来たのが十年前じゃ。時間はかかったが、えらいもんじゃな」
蛸「ほんまですなぁ。世間を騒がせた異人力士も、七ツ海関を追うようにしておらんようになり、
  この部屋に残ったのはあいつと鎖国の二人だけ。それでもへこたれんとやったおかげですな」
此「いや、改めておめでとう。ホンマにあいつはようやった。ところで、こんなめでたい話の後で
  言いにくいんじゃがな」
蛸「と言いますと、またようない話ですな」
此「誠に恥ずかしい話じゃが蛸壺のう、わしの部屋、もうあかんわい」
蛸「はぁ…」
此「此花の看板を誰が継ぐか、それを巡って弟子三人にそれぞれな、コレ(顔に傷の仕草)がついとる」
蛸「親方、これから先、大坂相撲はどうなっていくんでしょうな」
此「どうじゃな蛸壺のう。ここは一つ大坂相撲の先行きを賭けて一勝負やらんか」
蛸「ご冗談を。これ以上相撲部屋と賭場を一緒くたにされては…」
此「なぁ蛸壺、あの七ツ海関、外国から帰ってきたときに『火事場の又兵衛』と名乗っとったじゃろ。
  あれはなんでか知ってるか? 西洋ではな、賭場のことをカジノと言うんじゃそうな。わしが
  察するに、口ではあないに立派なことを言うてたが、あの人も性根はすきな口じゃ。おそらくその
  カジノとやらに出入りしとったんと違うやろかのう」
蛸「はぁ…」
此「さぁ蛸壺、一丁張ろやないか。なに、道具はわしが持ってる。どうじゃ。花札かそれとも丁半で…
  あぁしもた、さいころはあっても壷がないわい」
蛸「親方、ここをどこやと思うておいでで。あの床の間の」
此「蛸壺かいな。まぁえぇわい。ほたらいこか。大坂相撲の行く先を握るは、この花札か」
蛸「壺の中の賽か」

ちょうどこの年には九州で西南の役が起こります。勇猛果敢に戦う薩摩隼人の中には、一際目を引く
『異人隊』を率いた男の姿があったとかなかったとか。幕末大坂力士伝より『七ツ海』、
これまででございます。

ドンドン

391 :ごじゅういち:02/10/08 22:37
やれやれ、です。長文失礼。前に答えそびれたレスもあるので
遅レスご容赦で感想なども…。

>>290のすのびねっとさん
ファンによって色々でしょう。前半の勢いを信じてた人もいるでしょうし。
「祝 定位置脱出」なんていうカードも甲子園では見られましたがw

>半弗さんの「一に踊る作家(仮)」
>ウェイター「一気に片付けましたね。」
こういうの大好きです。「船弁慶」の物売りとか、新しいところでは
古畑任三郎の花田を連想しますね。

>新参亭トーシロウさん
お初です。「裏狸賽」に「表死神」って感じで鮮やかです。

>の主催者さん
>(携帯なのではしょります)
これを書く手間で…という気がしないでもないw
なんか「お人柄」って感じで笑いました。
タイトルは 幕末大坂力士伝より『七ツ海』 でお願いします。
あと、あんな長文を携帯で…お疲れさまでございました。

392 :重要無名文化財:02/10/10 00:45
「衣替え」「プレーオフ」「株価」

1「鏡よ鏡よ鏡さん、金偏に意見の「意」の字を書いて鏡と読みますか?」
2「読みませんね、微妙ですけど。」
1「鏡さん、私はシンデレラです。」
2「いえ、あなたは邪悪な女王です、だまされません。」
1「気持ちはシンデレラです。」
2「用件をおっしゃい。」
1「この世で一番速い球を投げるのは伊良部?」
2「世界をなめたような発言は許しません。」
1「株価の下がり具合は何月まで続きますか?」(パチパチパチ)
2「塩川にお聞きなさい、そんなものは。」
1「鏡よ鏡よ加賀見さん。」
2「私、日本人じゃないですよ。」


393 :重要無名文化財:02/10/10 00:46
1「メジャーのプレーオフのチケットを2円で
手に入れる方法を教えてください。」(パチパチパチ)
2「金券ショップならその駒沢通りをまっすぐ行ってください。」
1「2円で買えるんですね?」
2「犯罪暦がつきますが。」
1「それじゃあ意味がないじゃない。」
2「そんな質問するからですよ。」
1「鏡よ鏡よ南さん。」
2「語呂だけですね。」
1「世界で一番衣替えが似合うのは誰?」(パチパチパチ)
2「それはシンデレラです。」
1「え?よく聞こえないわ。花瓶が割れるような大きな声で。」
2「私が割れますよ。」
1「シンデレラが衣替えが似合うですって。これでも無印を私、愛用してるのよ!」
2「微妙な衣替えですね。でもシンデレラはきれいな洋服に着替えると
 それはもう見違えるようになりました。衣を替えるならやはりシンデレラです。」
1「きぃー、悔しいわ。今日の衣替えできっと私が一番だと思ったのに!冬のコーディネートは
 こんなにすごいのよ!こんな鏡、インチキだって焼き芋屋のマイクで
 広めてまわっちゃうわ!」
2「あー!ひどい!今日は醜聞(秋分)の日だ。」

ドンドン


394 :新参亭トーシロウ:02/10/10 01:05
>>392-393
スゴイ、この理不尽さ。楽しいですね!
笑いながらなんとなく反省…

395 :重要無名文化財:02/10/10 01:59
新参亭トーシロウさんの正統新作、ごじゅういちさんの連作大作、
そして重要無名文化財さんの理不尽噺と、贅沢な回ですね。

396 :重要無名文化財:02/10/10 05:20
>>392-393
ぐはは、おもろいな、これ。
オチもいいし、何より読んでる側のおいてきぼり感がたまらん。
南さん最高。

397 :snobinette:02/10/10 08:51
トーシローさま こんにちは。2作ともとっても面白く読みました。
   「狸の再コロ」ワクワクしました。
ごじゅういちさま すばらしい歴史大作! お疲れさまです。
    楽しみながら、すっと読める。あちこちで笑いつつ。
シュールの匿名さま いつもながら、無駄なところがまったくない。
    不条理がどんどん進んでいくところに、拍手!
  

398 :ごじゅういち:02/10/11 02:58
感想レスありがとうございます。メイキングみたいなこと書かせて頂きます。
はっきり言って今回は閉め方がサゲと言えるかどうか自信なかったです。
お題に関しては横文字を入れることができる下地にしてあったので割と楽でした。
むしろ、前回に布石的な要素が多すぎたので、その帳尻合わせがたいへんでした。
ていうか、対応し切れてないですね…。
七ツ海という力士は、昭和に入ってから一人実在するみたいです。

「シュールの匿名さま」っていう呼び方、なんかいいですね。
落語かどうかという形式的なゴジャゴジャすらどうでもいいように
毎回感じさせてもらえるわけだからすごいと思います。

>金券ショップならその駒沢通りをまっすぐ行ってください。

この辺から、生粋の東京の方なのかなぁ、なんて想像してるんですが。

399 :重要無名文化財:02/10/11 03:23
へぇー、七つ海っていたんですね。ちょっと驚き。
いい四股名ですよね。
ごじゅういちさんは湖亭半弗さん以来の前後編で大変だったと
思います。よほど自信がないと出来ない芸当ですよね。


400 :重要無名文化財:02/10/11 03:25
この匿名さんが常連作家の仮の姿だったとしたら
ある意味凄いけどそんなことないか・・・。

401 :ごじゅういち:02/10/11 03:31
>>399
参考までに。
http://www.fsinet.or.jp/~sumo/profile/1/19540101.htm

402 :重要無名文化財:02/10/11 03:33
操さんなんですね>七つ海

403 :重要無芸文化財:02/10/11 03:45
おなじみ清八、喜六が旅に出ますと、お伊勢参り。さらに足を延ばして善光寺にお参りしよやないかと、信州へとやってまいります。

喜六:うー。さぶぅー。
清八:さすがに信州ともなると、もう涼しいどころか、寒いなぁ。
   衣替えしたとこやと言うのに、もうコートがいるで。<パチパチ>
喜六:そんなオーバーな。
清八:しょうもないこと言わんでええ。そやけど。これぐらいで、寒い言うてたらあかん。
   冬になったら、もっとすごいで。
喜六:おはようが凍るというやつか。
清八:あほ。そら、落語の話や。
喜六:そやけど、池とか田圃とか凍るんやろな。
清八:そや。凍って雪が積もって、あたり真っ白になるな。
喜六:で、鎌で鴨を捕って、残ったカブから、芽が出る。
清八:落語の話や言うてるやろ。
喜六:そやけど、カブがあったで。
清八:カブって、そらカブラやない。有名な野沢菜やな。
   元々は天王寺カブラやけどな。このあたりでは葉っぱを漬物にして食べるんや。
   で、切った後のが置いてあるんや。
   こら、勝手に持ってきたらあかんで。
喜六:そやけど、ほってあった。あ。大きい池があるけど、あこも凍るか。


404 :重要無芸文化財:02/10/11 03:46
清八:池て。あれは有名な諏訪湖や。あの湖も凍る。それには有名な話があるな。
喜六:清やんも落語の話か。
清八:落語やのうて、芝居や。本朝廿四孝言うてな。
喜六:へぇ。どんな話やね。
清八:その昔、戦国の世の話や。越後の上杉謙信と武田信玄が、この信州で戦ぅたんや。
喜六:どっちが勝ったん。
清八:何度、戦っても決着がつかん。
喜六:ついにはプレーオフで決着を着けた。<パチパチ>
清八:そんなことするかいな。
   上杉、武田両家の和解のために、上杉の娘、八重垣姫と武田勝頼の縁組みが決まるんやな。
喜六:ほな、仲直りしたんかいな。
清八:ところが、そうはいかんな。
喜六:で、諏訪湖が凍るんは、どういう関わりやね。


405 :重要無芸文化財:02/10/11 03:47
清八:話を聞かんか。
   まあ、この話の中で、上杉が勝頼を討とうとするんやけど、そのことを八重垣姫が知るんやな。
   それで、許嫁に知らせようとするんやけど諏訪湖を渡ると近道やね。
   「追手の者より先へ廻り、勝頼様にこのことを、お知らせ申すが近道の、諏訪の湖舟人に、
   渡り頼まん急がん」
喜六:どないしたんや。
清八:その場面やってんのや。
   「イヤイヤイヤ。今湖に氷張りつめ、船の往来も叶わぬよし。歩路を往ては女の足、なんと追手に、
   追ひつかりょう。知らすにも知らされず、みすみす夫を見殺しに、するはいかなる身の因果。」
喜六:凍ってるのやったら、スケートで、助っ人に行ったら。
清八:黙ってい。「アア翼がほしい。羽根がほしい。」
喜六:金がほしい。
清八:聞いとれ。「飛んで行きたい、知らせたい。逢ひたい見たい」
   「千年百年泣きあかし、涙に命絶ゆればとて夫のためにはよもなるまじ。この上頼むは神仏」
   で、そのカブ、貸せ。
喜六:どないしたんや。
清八:床の間に、諏訪明神から賜ったという諏訪宝性の兜というのがあんね。それを、こういただいて、
   「この御兜は諏訪明神より武田家へ、授け給はる御宝なれば、とりも直さず諏訪の御神。
   勝頼様の今の御難俵。助け給へ。救ひ給へ」
   で、誰かに見とがめられてはと、庭に降りて、池の水を見て驚くね。


406 :重要無芸文化財:02/10/11 03:48
喜六:どないしたんや。
清八:うつる月影怪しき姿。はつ、と驚き飛退きしが
   「今のはたしかに狐の姿。この泉水に映りしは、ハテめんような」
喜六:清やんの方が、よっぽど面妖な。
清八:「まことや当国諏訪明神は、狐をもつて使はしめと聞きつるが、明神の神体にひとしき兜なれば、
   八百八狐つき添ひて、守護する奇瑞に疑ひなし。オヽそれよ思ひ出したり。
   湖に氷張り詰むれば、渡り初めする神の狐。その足跡を知るべにて、心易う行き交ふ人馬、
   狐渡らぬその先に、渡れば水に溺るるとは、人も知つたる諏訪の湖。
   たとへ狐は渡らずとも、夫を思ふ念力に、神の力の加はる兜。
   勝頼様に返せとある、諏訪明神の御教え。ハアア、忝なやありがたや」
喜六:どないしたんや。
清八:諏訪明神のご神体に等しいほどの諏訪宝性の兜や。それに祈ったんで、姫は狐に姿を変えたんや。
   それで、湖を渡ったというのや。
喜六:諏訪宝性のカブて、その葉っぱも漬け物にすんのか。
清八:カブやない。兜や。今は代わりに使ぅたけど、どこぞの世界にカブに祈るあほがおんね。
喜六:カブで祈ったらあかんか。
清八:そら氷が割れんように渡るのにカブはあかん。近頃の株価はすぐ割れる。<パチパチ>
<どんどん>


407 :新参亭トーシロウ:02/10/11 08:53
>400
ていうか毎回その作風だけで「常連の匿名さん」と思われてるけど
実は毎回違う人だったら…

思ったんですがコテハンも匿名の一種ですよね

408 :新参亭:02/10/11 12:26
>>403-406
ああ感想を書くの忘れてた。読み耽って満足してました(笑)
こういう、芝居の台詞とか和歌とかを講座で滔々とやるのって「お見事っ」とか
拍手したくなっちゃうんで好きなんですが、いざ書こうと思うと自分の中に全く
ネタがないことに気づくんですよ。無芸さんの作品は「本物感」が漂いますね。

409 :新参亭:02/10/11 12:30
講座→高座

410 :重要無名文化財:02/10/11 14:02
是非本職の落語家さんの感想も聞いてみたいですな。

411 :snobinette:02/10/11 15:57
重要無芸文化財さま  
オチがとってもタイムリー、株価は下がりっぱなしだし。
喜六でなくても、金が欲しい。そういえば、11月の歌舞伎座は、「本朝廿四孝」です。
ぜひ、喜六さんに見にきてもらって下さい。
   

412 :重要無名文化財:02/10/11 17:45
落語家の間でも、けっこうROMってる人が多いみたいだよ、この三題噺。

413 :新参亭トーシロウ:02/10/11 18:50
>>412
書き込みにくくなるじゃないですか(笑)

414 :重要無名文化財:02/10/11 18:52
こりゃ失礼(W
初心者も気軽に、それでいて質高くがモットーだったね。

415 :柳ヤコ:02/10/12 17:06
久しぶりに作ってみました。最近忙しくてねぇ・・・。

 『仲買い弥市繁盛記』(衣替え・プレーオフ・株価)

佐吉「あー、きょう集まってもらったのは他でもない、この江戸時代から続く
   骨董道具屋の加賀屋。今年で5年連続の赤字だぞ、株価も下がって額面
   割れのピンチだ(パチパチパチ)。このままでは倒産してしまう。
   なにか売り上げを伸ばす良いアイデアはないか」
番頭「ではいかがでしょう、お客さんにカラオケを唄ってもらうというのは」
佐吉「どこかで聞いたことのある話だな。そんなのはダメだ、だいたい道具屋で
   カラオケ唄ってどうする。他になにかないか」
手代「今のように娯楽の多い時代、古道具ばかりではあきまへん。もっと色んな
   ことォやらなあかん。船に乗って備前に行こうとしたら兵庫に着いた、
   ミステリーツアーなんてどないでっか」
佐吉「出たな関西弁のお前。この忙しい時代に船旅が流行るか?まぁでも、
   色々なことをやらなければいけないのは確かだな」
弥市「社長、私に考えがあります」
佐吉「おぉ、仲買いの弥市じゃないか。何かあるのか」
弥市「海外に行きましょう。メジャーリーグに日本人選手が大勢行っています
   から、わが加賀屋のノウハウを活かして、トレーディングカードなどの
   グッズを扱うというのはどうでしょう」
佐吉「なるほど、それはいいかもしれん。よし弥市、さっそく行って来い」

さぁこれから弥市がアメリカに飛びます。ドジャースの本拠地ロサンゼルスに
店を構え、トレーディングカード、サインボールにサインバットなど、色々と
品物を集めてまいります。春先はけっこう売れ行きも良かったんですが、夏から
秋にかけて段々と売れなくなってまいりまして。

416 :柳ヤコ:02/10/12 17:07
手代「支店長、思ったより儲かりまへんな」
弥市「どうしようか」
手代「カラオケ・・・」
弥市「よせよ! うーむ、いまいち品揃えに華がないんだよなぁ・・・なんか
   売れる品物はないかなぁ」
手代「あ、東京の社長からメールが来てまっせ。株価が下がってるぞって」
弥市「困ったなぁ・・・とりあえずドジャースの球団事務所に行ってみるか」

弥市「うんちわぁ。弥市ですけど・・・」
野茂「あっ、弥市さん。元気?」
弥市「あ、野茂さん。それがねぇ、売上げがいまいちなんですよ」
野茂「それは大変だねぇ。あ、そうだ。このユニフォーム、もういらないから
   あげるよ」
弥市「えっ!?野茂さん、ドジャースを辞めちゃうんですか?」
野茂「違う違う。オーナーの意向でね、9月からユニフォームが変わるんだ。
   早い話が、衣替えだな(パチパチパチ)」
弥市「じゃぁ古いユニフォームを・・・」
野茂「あぁ、僕と石井でみんなのを集めてあげるヨ」
弥市「ありがとうございます!」

一週間後、野茂と石井が古いユニフォームを集めて、弥市の店に運び込みます。
手代「さぁ、さっそく店にならべましょう!」
弥市「待て待て、あせっちゃダメだ。ここはしばらく辛抱して、値が上がるのを
   待とう。もうすぐペナントレースも大詰めだ、ドジャースがプレーオフに
   進出すれば、高く売れるようになる(パチパチパチ)」

417 :柳ヤコ:02/10/12 17:08
いよいよ今季ドジャース最終戦、加賀屋ロサンゼルス支店のテレビの前では
弥市と手代、それに従業員が必死の応援です。
手代「これに勝てばプレーオフですな」
弥市「そうだ、なんとしても勝ってほしいな」
手代「勝てば品物も高く買ってくれる・・・ドキドキしてきた。熱いですな。
   あれ? 支店長、下駄なんかはいてるんですか」
弥市「むかしから言うだろ、『試合負けても下駄さえはけば、カッタカッタと
   音がする』ってな」
手代「・・・寒いですな」

ドジャース先発石井が7回まで無失点の好投、そのあとなんと野茂に交替という
日本人リレーです。野茂も期待に応えて3回をパーフェクトに抑え、二人で
完封してプレーオフ進出を決めました。

弥市「やった、勝った、勝ったぞ!」
手代「プレーオフでっせ!さっそく社長に報告しまひょ!」
弥市「その前に、インターネットで株価を見てくれ!どうなった?」
手代「上がった上がったぃ、加〜賀屋ァ〜〜〜」

  ドンドン

418 :柳ヤコ:02/10/12 17:12
久しぶりに書いたら、書き込みできる行数が減っててビックリ。
読みづらくてスイマセン。
下の「最新50」っていうのをクリックすると読みやすくなるようです。

419 :重要無名文化財:02/10/12 19:43
何はともあれヤコ師匠復活に乾杯。
しかも野球ネタとはありがたい。楽しめました。

420 :重要無名文化財:02/10/13 10:49
あっ柳ヤコさん復活!
「金明竹」に「たがや」ときたか。相変わらずパロディ全開ですにゃ(笑

421 :重要無名文化財:02/10/13 14:27
遅レスになるけど、こないだの「一に踊る作家」って題名、
柳美里の「石に泳ぐ魚」の語呂なんだね。気づいてビックリ。

422 :sana亭omi:02/10/13 21:50
>新参亭トーシローさん、

ふくの神にケツヌグイしてもらって、
彼の心配事はフクショクされたみたいですね。
しかし、
僕は以前初心者も気軽に投稿したらどうですかとは言いましたが、
あなたといい、snobinetteさんといい、
僕より上手い人の投稿を想定していたんじゃないんだよ。
困ったもんだ。

>ごじゅういちさん、

大作、お見事でした。
七つ海と掛けて赤い靴はいていた女の子と解く
その心は、
偉人さんと一緒に行っちゃた。



423 :重要無名文化財:02/10/13 21:52
sana亭omiさんは上手ですよ

424 :sana亭omi:02/10/13 22:22
>シュールの匿名さん、

何か不思議な世界ですね。

>重要無芸文化財さん、

いつもながら楽しく読ませてもらいました。
当時に電話があったらなぁとも思いましたが
電話はコールからだめですね。

>柳ヤコさん、

番頭さんのアイディアのとおりカラオケをしていたら、
多分、会社のタガが緩んでいたでしょうね。

>423さん、

どうもありがとう。



425 :柳ヤコ:02/10/15 23:25
>>424
うまいね、どうも

426 ::02/10/16 08:26
新参亭トーシロウさんの「ふくの神」って上手だねぇ〜


427 :新参亭トーシロウ:02/10/16 17:21
「衣替え」「プレーオフ」「株価」その2

街は今日もおおかた平和でございます。通りに面した大店の脇にある
小径をつっと入った、「越前屋」と小さな表札のかかった引き戸は
知る人ぞ知る高級料亭でして、その奥座敷で店の主人と恰幅の良い
男が差し向かいで料理に舌鼓を打っております。

「いかがですか、大臣」
「むう、この白身魚の天ぷらは旨いな」
「勿体ないお言葉。天ぷらは当店の自慢の品でございます。
 とくにこの、さくさくとした」
「うん、衣がえもいわれぬ歯ごたえだ」(パチパチ)
「そちらの円いものはいかがでございますか」
「固いな。人参か?」
「いえ、違います。色が白いでしょう」
「芋か?」
「いえ、芋ではありませんが根菜でございます」
「大根か?」
「近うございますが、違います。」
「すると、あれか」
「ええ、どうぞ皆さま待っておいでです」

「ところで近頃店の株価はどうかね」(パチパチ)
「あなたさまも無茶をしますね」
「何の話だ」
「いえ」
「うむ」

428 :新参亭トーシロウ:02/10/16 17:21

「上場に当たっては並々ならぬお世話を頂きましたので、おかげさまで
 順調でございます」
「そうか、それは私にとっても嬉しいことだよ」
「ええ、表向きには当店と全く関係ない人間を通して億単位の株を買って
 いただいておりますからねえ」
「しっ、うかつにそのようなことを口にするな。」
「おっと今のは無しです」
「この間も君の処の若い店員が私に道ばたで会ったときに『株主様』などと
 口走ったぞ。少々教育がなっていないのではないかね」
「これはとんだご無礼を。不届き者には厳重に処罰をいたします」(パチ)
「なんだ今の拍手は?」
「さあ?『無礼を。不』のあたりで鳴ったようですが(パチパチ)それはそうと
 大臣、今回少々あざとすぎるような気がいたしますが。」
「うむ、毎回あまりに笑いがないと反省したはいいがまっとうな手を思いつか
 なかったと見える。しかし裏技まで手を出した挙げ句この程度というのが
 センスの無さを露呈しているな。そもそもセンスとは」
「大臣、大臣、帰ってきてください」
「お、すまない。つい。…二度目はないと思え」
はい。


429 :新参亭トーシロウ:02/10/16 17:22

「天ぷら屋。店の株価だが、2週間ほどしたら動くかも知れん」
「え、それはつまり」
「うむ、ライバル店に仕入れ関係と税金関係のスキャンダルがあるという噂だ」
「大臣お得意の情報操作ですね」
「ん?人聞きの悪いことを言っては困る。私はただ小耳に挟んだ噂を世間話と
 して提供しただけだよ」
「なるほど、それでは私めも当店に有利な情報を巷の噂にお聞きしましたので、
 大臣とは全く関係のない人間にまた株を買っていただくことにいたします」
「ふっふっふ、お主も悪よのう」
「いえいえお大臣こそ」
『ぬっふっふっはっはっは』

「まあ、仕込みはすでに終わっている。あとは揚がるのを待つだけ」


430 :新参亭:02/10/16 21:54
ひええ、やっちまった…
ともあれ本人も大変反省しておりますのでなにとぞ寛大な心でお読み下さい。

付記:なんかおかしーと思ったら「並々ならぬお世話」って変ですね。
「ひとかたならぬお世話」です。ちゃんと読み返せってば。

431 :新参亭:02/10/16 21:56
あ、忘れてました。(ドンドン)

432 :湖亭半弗:02/10/17 00:51
新参亭さんの新作は政治家ワイロ噺ということで
視点が斬新だと思いました。私も一度そういう黒い政治噺も
書いてみたいです。『無礼を。不』の無理やり感もいいですね。

今回は「衣替え」「プレーオフ」「株価」ですか。
下準備も何もなくつらつらと書いてみます。

 えぇようこそのお運びで、相変わりません馬鹿馬鹿しい噺を聞いていただきますが。
昔からこの、悲劇の主人公と言われておる人が何人もおられます。
豊臣秀頼であるとか、天草四郎、西郷隆盛やとか、坂本竜馬、R-1の陣内であるとか
ま、いろいろおりますが、やはり中でも一番は源義経でっしゃろなぁ。
ずば抜けております。あれは最後には兄貴の命で殺されてしまうん
でっさかいね。男前やちゅうのもふまえて人気があるんですな。
あれは最後は奥州に逃れた。奥州藤原氏を頼ったんですな。
秀衡「これは遠路はるばる、よくぞ頼ってこられた。さぞお疲れでしょう。」
義経「えぇ、それはもう苦労(九郎)しました。」
てなしょうもない小咄もありますが、









433 :湖亭半弗:02/10/17 00:51
喜六「こんにちは。」
甚兵衛「お、こっち入り、まぁあがんなはれ。」
喜六「派手にあがろか陽気にあがろか、あわれぇにあがろか陰気にあがろか。」
甚兵衛「・・・ほなおまはん、いっぺん陰気にあがってみなはれ。」
喜六「えぇ、うらめしや。」
甚兵衛「うらめしやさえゆうたら陰気やと思うてなるな。
今日はいったいどないしたんや。」
喜六「さぁ、それでんねん。あんた、エガワの戦いちゅうのを知ってなはるか。」
甚兵衛「江川ちゅうたら何かぃ、巨人にいてた。」
喜六「せやおまへんがな、あの義経が死んだちゅうあれでんがな。」
甚兵衛「それを言うならおまはん、衣川やろがな。」
喜六「せやけど、あれ、衣紋掛けの「え」でっしゃろがな。」
甚兵衛「そらま、確かに衣が『え』と読むのは理屈やが、あれは「ころもがわ」
と読むねや。」(パチパチパチ)
喜六「ほぉーん、衣川の戦いでっか、あれ。ほな、中の海老川ちゅうのも
おますな。」
甚兵衛「天麩羅あげてるのと訳が違うがな、そんなもんがあるかいな。
で、衣川の戦いがどないしたんや。」


434 :湖亭半弗:02/10/17 00:52
喜六「そこで義経が死んだときに、大きな男がいてましたやろ、ほら
盗人みたいに頭に手ぬぐいまいて、そう、勧進帳で判官ガンガンぶちのめすやつ。」
甚兵衛「盗人とはどうじゃいな。あらぁ弁慶さんじゃろ。」
喜六「そうそう、その武者修行弁慶。」
甚兵衛「なんちゅうか、ニュアンスちゅうのか、それは間違うてない
ねやがな、武蔵坊弁慶。」
喜六「そうそう、その弁慶。あいつは何でんな、立ったまま死んだ
ちぃまっしゃろ。それを聞こうと思ってきたんでんねん、おせぇとくなは
らんかいな、この気の汚い。」
甚兵衛「まだ何も言うてないがな。何じゃ、弁慶はんの立ち往生について
聞きたいのんかいな。そうか、ま、教えてやらんでもないが。」
喜六「それやったら話が早い、いや、人間立って死ぬてな事が
ほんまにあるんかいなと思うて、あらほんまの話でやすか?」
甚兵衛「あらどうやらほんまの事らしい。死後硬直ちゅうのは
おまはん聞いた事がないかいな。」
喜六「あほらしい、あんた、わたいかて九九ぐらい知ってまんがな。」
甚兵衛「何でここで九九が出てくるねん。」
喜六「せやかて、四四十六ちぃましたやろ。」
甚兵衛「おまはんの頭は底抜けやな、死後硬直ちゅうのは人間
死んだときに固まる、硬うなるちゅうのをいうねや。弁慶はんは
一生懸命に戦うて討ち死にをした、な、それで急に死んださかいに
立ったまま固まったちゅう話や。」


435 :湖亭半弗:02/10/17 00:52
喜六「ほぉーん、さよか。せやけど大きな男でしたんやろ?」
甚兵衛「そらぁ話には大きな男やちゅうな。大きな薙刀に大きな鎧、
おまはんが身に着けようとしても、ブカブカで着れんぐらいの
甲冑やろう。それを身にまとって戦いなはったんじゃ。」(パチパチパチ)
喜六「ほぉーん、で、弁慶は誰と戦うたんでんねん?」
甚兵衛「そら、藤原泰衡の軍勢やな。」
喜六「え?そら、あんたおかしい、そうでっしゃろがな、藤原ちゅうたら
義経をかくもぅた。」
甚兵衛「そや、親父さんの秀衡はかくもぅたんやが、息子の代になって
頼朝から義経追討のお達しが来た。奥州藤原氏というたらそらもう
奥州の覇者や。それで秀衡の時は頼朝もおおそれと手を出せなんだ。
ところが、泰衡の代になって頼朝に恐れをなしたんやろうな、何で
こうも頼朝に目をつけられなならんねん、それもこれも義経が悪い
ちゅうので、かくまうはずの泰衡に攻められてしもたんや。」


436 :湖亭半弗:02/10/17 00:53
喜六「ほぉーん、何やな、ほなら義経は裏切られたんでんな。」
甚兵衛「まぁ、そうやな。代替わりが運の付きや。」
喜六「えらい義経はかわいそうな身の上でんなぁ。
ほんでともかくはめでたしめでたしでやすか。」
甚兵衛「ところが、今度は頼朝が奥州に攻めてきて征伐されて
しもたんやな、藤原氏は。」
喜六「えぇ?せやけど、片や奥州の覇者でっしゃろ。日本の覇者と
奥州の覇者、こらぁどう考えても日の本の優勝決定戦、プレーオフやがな。
やっぱり試合は長引いたんやろなぁ。」(パチパチパチ)
甚兵衛「試合てな生易しいもんやない、戦やでな。この頃には
覇者ちゅうても藤原氏は名ばかりでな、頼朝は朝日が昇る勢いや、
あっちゅう間にやられてしもた。」
喜六「何や、情けない話やなぁ。なるほど、しかし、なかなか
おもろい話を聞かせてもろうた、おおきにありがとう。」
甚兵衛「これ、お茶も飲まんとどこへ行くねや?」


437 :湖亭半弗:02/10/17 00:53
喜六「この義経と弁慶の話、誰ぞに聞かせてやろうかと思うてな、
おおきにさいなら・・・、ほぉーん、なかなか弁慶の立ち往生の
話はおもろいな・・・、おう、松っちゃんやないかぃ、どないしたんや?」
松「おぉ、喜ぃやんか。聞いてくれ、わしは腹の虫がおさまらんねん。」
喜六「何や、どないした?」
松「聞いてくれ、寄り合い連中の友達仲間の間でわしの悪口が回ってるねやて。
わしが安月給の平社員でちゅうて馬鹿にしてくさるらしいねや。しかも、その
噂の出所が鉄っちゃんや、わしのかかの兄貴や。あいつが広めてるねや。
親戚付き合いしときながらそれはないやろ、せやから怒鳴りこもうと思う
てるねやが、鉄の家の前に大きなトラックが泊まって入られへんねや。
往生して困ってるとこやがな。」
喜六「そうか・・・、どこのトラックや、これは?何、武蔵運輸か、
こらおもろい。」
松「何がおもろいねん!」
喜六「せやかて、衣川の戦いの役者が揃うてるがな。寄り合い友達、
『よりとも』や。これにせっつかれて、安月給の平社員『やすひら』
となるがな。やすひらが攻めにいこうとしたけど、武蔵運輸『武蔵坊
弁慶』が止まってて立ち往生や。惜しいなぁ、あとは義経さえ
おれば皆揃うのに。」
松「あぁあ、それやったら安心せぇ、相手はわしの義兄(義経)じゃ。」

ドンドン

438 :新参亭トーシロウ:02/10/17 21:24
おお、無駄なところがない。素敵ですね。

439 ::02/10/18 00:46
面白い。ここ来るの癖になりそうです。
それにしても勿体無いなぁ、ここで公にして流してしまうのは〜

440 :重要無名文化財:02/10/18 15:41
>>439
公に流す、とは?


441 :重要無名文化財:02/10/18 18:33
>>440
流す=ブロードキャスト、ぐらいのニュアンスに取りました

本職にこそっと渡すとかすればそのまま高座にかけられるのに〜ってことですよね。>>439


442 :重要無名文化財:02/10/19 01:42
本職の方も勝手に使えばいいのにね。だって落語家から利用願いが出される程を目指したすれっどなんだから、きっと無償提供間違いないし。今さら2ちゃん使うと嫌がられないだろうし、逆にファン増えるよ。ネタ取り込みにどん欲な落語家ってだけで宣伝になるよ。

443 :重要無名文化財:02/10/19 11:11
でもこれ「三題噺」だからねぇ。「題をどう使うか」ということに重点が置かれて
いて、読むほうもそれが楽しいワケでしょ。
本職が高座で使うのに「え〜、じつはこれは三題噺でして・・・」なんて言うのかね。
今まで出てきた噺の中で、「三題噺」であることを知らずに読んで面白い作品って
どれくらいあるだろう・・・?

444 :重要無名文化財:02/10/19 14:24
シュールの匿名さんなんかは題関係なく面白いな。常連作家さんはたいていストーリーも練ってあって、題の使い方だけが評価点ではないと思う。あの「母恋くらげ」も三題噺だというし、これらに肉付けして使える噺にするのは噺家の技量じゃないかな。

445 :重要無名文化財:02/10/21 00:23
正直、本職さんからの感想が聞きたい。匿名でいいから何か言ってほしいなあ。

446 :新参亭トーシロウ:02/10/21 09:40
以前セミプロの手品師みたいなことをしていたことがありまして、その経験から言うと、
素人が「良い」と思えるレベルと本職が「良い」と認めるレベルには天と地ほどの
差があると思うのです。

そして素人に見せられて「この手品どうよ?スゴイでしょ、巧いでしょ」って言われても
アラばかりが見えてしまって答えられなかった経験もあるだけに、本職の噺家さんや
作家さんに感想をお願いする気にはなれないのですよね。(ネガティブな評価って
されるほうよりもする方が疲れるんで申し訳なくて)

きっと本当に面白いと認められるものが出てくればお願いしなくても出ていらっしゃる
のではないでしょうか。

三題噺の名作と言えば芝浜ですかね。実は三題噺じゃなかったなんて説もありますが…

447 :重要無名文化財:02/10/21 10:03
いや、新参亭氏の言うのが正しいが、わたしゃ落語家さんが2CHだからという理由で敬遠してるんじゃないか、と思ってさ。
素人目にうまいと思うものなら落語なんて素人がみるものだから、それをプロの芸にするのもありだろうね。新作落語はプロットが命というし、この三題噺で生まれた無理やりなストーリーが発想飛躍な噺の元になるのでは。

448 :新参亭トーシロウ:02/10/21 11:15
ネタを書きますです。

>>415-417 あらすじ
骨董加賀屋が株価のために
出すはメジャーのレアグッズ
弥市渡米し出会ったモノは
野茂と石井の衣替え

チーム皆のユニフォーム抱え
息詰め見守る最終戦で
プレーオフへの出場決めて
ドジャース上がった加賀屋も上がった

新参亭@野球ネタ大好き

449 :重要無名文化財:02/10/21 16:59
いつもここを見て「いつかは俺も」って思ってるんですが、プロットを
考えるだけで次のお題になってしまいます(w
皆さんすごいなぁと感心するばかりです。どうしてあんなに上手く構成
できるのか。無理なお願いですがもしコツがあったら宜しければ教えて
下さい。
私はお題が決まってプロットを考え、オチは最後に考えてしまうのです。
そうすると強引なオチになって納得できない事もあり投稿できずに終わり
ます。

450 :重要無名文化財:02/10/21 17:33
>>449そう深く考えなくていいと思うよ。
強引なオチでも何でも書いてみることに意義があるんじゃないかしら。
場慣れっていうか、やはり書かないと感じがつかめないと思うのよ。
常連さんもその人のキャラで書いてる部分も多いと思うしね。
もう少しリラックスして、ともかく一作品書いてみて指示を
仰いでみたらいかが?

451 :新参亭トーシロウ:02/10/21 19:02
>>449
僕も教えて欲しいです。お願い>皆さん

新参亭の場合:三題のうち一つを凝視してサゲから考えはじめる

452 :柳ヤコ:02/10/21 23:48
>>449
とりあえず、お題に関連する言葉をたくさん挙げます。連想ゲームみたいに。
今回の思考回路は、「株価」→「あがる」→「あがったあがった、た〜がや〜」→
→「加賀屋」→「金明竹」→「道具屋」→「トレーディングカード」→・・・
という感じでした。

453 :ごじゅういち:02/10/22 01:41
>>49
>プロットを考えるだけで次のお題になってしまいます

前スレで一度作ってから長いこと私もこの状態でした。
私の場合、お題が決まったらまずテーマを決めてます。
W杯、田中知事、大坂相撲てな具合で。サゲも早めに決めて、それへ向けて
ストーリーをもってくほうが作りやすいかと。どんなしょうもないサゲでも
とりあえず先に作っておくと、文字通り「落とし所」というか、目標が
できる、みたいな感じですね。作ってる間にもっといいサゲが浮かべば
変えるもよし(W杯のときがそうでした)。
一度だけサゲも未定でやってみたら…前後篇になってしまいましたw

454 :ごじゅういち:02/10/22 01:49
本職の方の感想云々は、気にならないと言ったら嘘になりますね。

>>442
>きっと無償提供間違いないし。

著作権放棄…とまでは言いませんけど、フリーソフトみたいな感覚?
マジでやってもらえるなんてことになったら逆に恐縮もんですよ。
あ、でも、同録は欲しいかもw

>>447
>落語家さんが2CHだからという理由で敬遠してるんじゃないか、と思ってさ。

ここに直接書かれると、やっぱり真偽で揉めるかも…。
自分のサイトをお持ちの方が「ネット内の某所の三題噺は…」みたいな
書き方をしてもらえたら理想的ですよね。

455 :ごじゅういち:02/10/22 01:58
今、気がつきましたが前スレと合わせて1周年おめでとうございます。
連続レス失礼。


456 :重要無名文化財:02/10/22 02:11
1周年か・・・。また新たな歴史が作られていくんだなぁ。

457 :sana亭omi:02/10/22 23:26
本当に、一周年、すごいと思う。

ところで僕の場合、
以前は題目のダジャレで噺を作ろうとしていたけれど、
少し考えを改めて、
題目の単語の意味を素直にそのまま使って
噺をまとめようと思い始めて以来、
まったく作品ができなくなってしまいました。

マナーが悪いことは承知していますが、
ROMだけではつまらないので、

>湖亭半弗 さん、

僕は自分でベンケィしていますが、
さすがにあなたの噺の中にはいろんな要素が
ホウガンされていますね。


458 :重要無名文化財:02/10/22 23:31
色々と御教授有難うございます。皆様の作り方を参考に試行錯誤
して披露できたらと想います。
クロウもすると思いますが、アタカかく見守って下さい。

459 :重要無名文化財:02/10/22 23:32
すいません。>>458>>449でした。

460 :重要無名文化財:02/10/28 06:38
掛け言葉が大流行だな。猫の忠信現象だ。

461 :主催者:02/10/29 01:05
感想が遅れてご迷惑をお掛けしております。月末までに何とか一言感想を書こうと思ったんですが、今回は常連の方も多数参加者してくださって携帯ではちょっと感想が書きにくい状態です。
嬉しい悲鳴とはまさにこの事です。しかも本職の方まで注目なさっているとの情報もあり、頑張ってまとめをせねばと考えています。もう少し時間を下さい。本当に申し訳ありません。ご理解をよろしく
お願いいたします。

462 :柳ヤコ:02/10/29 01:58
いや別に迷惑ってほどのことは無いと思いますよ。
のんびりいきましょうや。

463 :新参亭トーシロウ:02/10/29 06:55
PCがまだ復活しないんですね。お大事に。

464 :主催者:02/11/01 01:27
それではレスします。まず、51さんの(また略します(笑))幕末大阪力士伝より「七ツ海(後編)」は異人相撲の面白さ、
そして不思議な空気の七ツ海が幕末の大坂相撲を舞台に活躍して楽しめました。勢怒川の命名がナイスです。
前後編お疲れです。次の匿名さんの「南さん(仮)」はまたまたイリュージョンですね。オチも綺麗ですし独特のテンポが
はまっています。塩川にお聞きなさいがツボでした。次に無芸さんの「諏訪宝性のカブ(仮)」は芝居噺と旅噺の一粒二度おいしい
噺に仕上がって重厚な読み応えを得ました。さすがに芝居に長けてらっしゃるので八重垣姫のくだりは
圧巻です。


465 :主催者:02/11/01 01:44
ヤコさん「仲買い弥市繁盛記」はドジャースのプレーオフを背景に加賀屋の株上げを画策する一本筋が通った噺で
久しぶりの作品ながらパロディは健在で、サゲも落語好きならではだと感じました。そして、順序が逆になりまして申し訳ありません、トーシローさんの
「ふくの神(仮)」現代版人情咄とでもいうか、現代世相を反映したいいお噺だと思います。サラリーマンのリストラ、奮起、
何か元気が出てくる作品です。そして二作目「天麩羅屋密談(仮)」は軽い感じでお書きになっていて
お題に沿うように噺が進んでいくのが良くわかりました。プレーオフの使い道がラフすぎて笑えました。半弗さんの「衣川の戦い(仮)」はどなたかも書いて
おられましたが、猫の忠信風のサゲと義経・弁慶の衣川の戦いの逸話で趣向が凝らしてあるなぁと感じました。

466 :主催者:02/11/01 01:53
落語家さんが読んでくださっているという話題が出ていたようですが、とても嬉しい限りです。このスレッドを去年立てたときからの目標でしたので
喜びもひとしおです。ここに書かれている作品で著作権があるものは確か半弗さんが「三人家斉」を改定して公募したとの
事でしたので、それ以外はお使いになって差し支えないと思います。作家の方は「これは勝手にやらないで」という作品があれば(今後どこかに応募するとか)申し出てください。それ以外は著作権フリーとさせていただきます。
お使いになる噺家さんは51さんがおっしゃっていたと思いますが、ご自分のサイトで発表なさった方が誤解を招かないと思います。ここに書かれてもおそらく信じられないですし。
いつかここの作品が高座で上演されるのを楽しみにしております。
一周年になりました。本当に皆様ありがとうございます。作者・読者の皆様のおかげです。御礼申し上げます。
これからもよろしくお願いいたします。

467 :主催者:02/11/01 01:57
パソコンに触れないのがこれほどつらいとは思いませんでした。皆さんの作品は全て目を通しております。今回は多くの皆さんに作品を書いていただいたので
メモに整理しながら携帯で打っております。見づらいかもしれません、すいません。

弟24回御題取りです。例により一レス一単語でお願いします。たくさんの御題待っています。

468 :重要無名文化財:02/11/01 07:10
雪見だいふく

469 :新参亭トーシロウ:02/11/01 13:10
うわーっこれ携帯で打ったんですか!!
お疲れ様です…
あんまり無理されませぬよう。つらいときは誰かに代行指名するとかでも。

470 :重要無名文化財:02/11/01 13:23
作業服

471 :重要無名文化財:02/11/01 13:24
ゴジラ

472 :重要無名文化財:02/11/01 20:27
香辛料

473 :重要無名文化財:02/11/01 20:47
活躍

474 :重要無名文化財:02/11/01 20:53
ヨーグルト

475 :重要無名文化財:02/11/01 22:45
みのもんた

476 :重要無名文化財:02/11/01 22:49
お稲荷さん

477 :重要無名文化財:02/11/01 23:48
座布団

478 :重要無名文化財:02/11/02 01:39
二年目

479 :重要無名文化財:02/11/02 02:15
インディゴ染め

480 :重要無名文化財:02/11/02 10:33
がまの油

481 :重要無名文化財:02/11/03 01:08
ぬいぐるみ

482 :主催者:02/11/04 02:36
それでは第24回御題の発表です。
「ゴジラ」「香辛料」「二年目」の三題です。
二年目に突入という事で、「二年目」も入れておきました。ゴジラはさすがに野球ネタで来るのでしょうか(W また違った角度で来るのか楽しみです。
たくさんの作品お待ちしております。

483 :重要無名文化財:02/11/05 23:20
こりゃまたむつかしい

484 :重要無名文化財:02/11/06 00:07
「ゴジラ」「香辛料」「二年目」

いー「はいはいはい、どうしました?」
ある「あ、これは名探偵ゴジラさん。うちの豆腐が盗まれました。」(パチパチ)
いー「これで55回目ですな。」
ある「うまく合わせましたね。」
いー「しかし良く盗まれますな。豆腐屋を開業なさったらどうですか?」
ある「盗まれたといってるんです。」
いー「死亡推定時刻は?」
ある「盗まれたといってるんです。」
いー「何、死亡推定時刻まで盗んでいきましたか。」
ある「すいません、戻ってきてください。」
いー「おや、この香辛料は何だ?」(パチパチ)
ある「犯人が残していったものですね。」
いー「香辛料なのですか?」
ある「舐めてたじゃないですか。」
いー「あー違ってました。香辛料だと思っていましたがこれは米です。」
ある「何をして香辛料だと思ったんですか?」


485 :重要無名文化財:02/11/06 00:07
いー「写真をとったんです、犯人は。昔の写真は焼き付ける際に米を炊いたんです。」
ある「マグネシウムでしょ、それは。」
いー「同じようなもんでしょう。」
ある「名前からして違いますが。」
いー「マグネシウム丼とか食べた事あるでしょう?」
ある「あなたのおっしゃることを鵜呑みにすると、マグネシウム丼は
ただの白米ですよ。」
いー「学食にありましたよ。」
ある「白米炊いたのはどこでもあるでしょう、そりゃ。」
いー「今年で二年目ですよ」(パチパチ)
ある「うどんか蕎麦がメインの学食なんですね。」
いー「うちの学食、麺はないんですよ。」
ある「推理はどうなりました?」
いー「おいてきぼりですか?」
ある「推理はどうなりましたか?」
いー「とげましたよ。」
ある「米に気が入ってますね」
いー「豆腐が盗まれた時点であなたの自作自演ですよ。」
ある「何でまた?」
いー「豆腐狂言。」

どんどん

486 :新参亭トーシロウ:02/11/06 20:28
あー一番乗りとられたー今回のお題、早いもん勝ちになるおそれが…
名探偵ゴジラさんの反則スレスレ加減にウケてしまったんですが!

(告白)豆腐狂言を知らなかったため検索に頼ってしまいました。

487 :sana亭omi:02/11/06 21:40
>新参亭トーシロウさん、
>豆腐狂言を知らなかったため検索に頼ってしまいました。

そのマメさがダイズだと思います。


488 :重要無名文化財:02/11/06 22:35
sana亭omiさん、洒落はいいから書いてくださいよ(w
けっこうあなたの作品、好きなんですから。「左官第三組合」とか。

489 :新参亭トーシロウ:02/11/07 19:17
sana亭omiさんつっこまれてニガリきってます。

490 :sana亭omi:02/11/07 22:08
・・・age


>488さん、ありがとう、がんばります。


491 :前スレ亭ごじゅういち:02/11/08 22:09
「ゴジラ」「香辛料」「二年目」
えー、いっぱいのお運びで、ありがたく御礼申し上げます。お席亭からのプレッシャーも微妙に
感じつつですな、相変わりません、野球のお噂でお付き合い願います。しかしまぁ、日本シリーズが
こないにあっさり終わってしまうとは、ビックリしましたなぁ。4タテやて。あれでもパリーグでは
90勝してきたチームでっせ。それがあんなに実力差を見せつけられたら、負けた当のチームも
もちろんのこと、パリーグのほかのチームも複雑でっしゃろな。わしらのペナントレースは一体
何やったんやろ、と。そんなわけでございまして、今日のお噺はいつものあのチームやのうて、
パリーグのとあるチームのシーズンオフについてのお噂でございます。

492 :ごじゅういち:02/11/08 22:11
部下「オーナー、失礼致します」
元オーナー「あぁ、君か。入りたまえ。いきなりで悪いがな、わしはもうオーナーはやめたんじゃ」
部下「は、そうでした。とは言いましても、我々にとっては今でもオーナーはオーナーやと
   思っております」
元オ「いや、それは嬉しいセリフなんやが…」
部下「なんでしたらこれから先、『終身名誉オーナー』と呼ばせて頂いてもよろしいでしょうか?」
元オ「やめてくれ! そういう人事の話でも我が社は世間から叩かれたのを忘れたんか」
部下「そ、そうでしたな、えらいすんません」
元オ「まったく、懲りてないな、我が社の連中は…で、今日は一体どういう用件じゃな?」
部下「はい。我がチームの来シーズンに向けての強化策につきまして、もうオーナーでもなんでもない
   人なんか放っといてもえぇか、とも思いましたが、一応ご相談にあがりました」
元オ「君なぁ、さっきと言うとることが全然違うやないか」
部下「申し訳ございません。では、せめて私だけでも今まで通りオーナーと呼ばせていただきます」
元オ「もうえぇわかった。で、チームのほうじゃが、どうなっとる?」
部下「はい。とりあえず本場メジャーリーグから監督を招聘することに成功しました」
元オ「それやがな。彼には期待してるで。なんせ本場メジャーやからな。来年は早速…」
部下「いや、オーナー。正直なところ今のうちの戦力では一年ではなかなか変われません。2004年、
   チームの札幌移転の年には監督も就任二年目でやっと軌道に乗るぐらいかと」(パチパチパチ)

493 :ごじゅういち:02/11/08 22:12
元オ「まぁ、そんなもんかも知れんな。そのためにはやっぱりその戦力じゃな。今のパリーグで
   野球をする限り、やっぱり打たんと勝てやせんぞ」
部下「そうですなぁ。このところ2年続けて、外国人選手がホームランを55本打ったチームが
   優勝してますからなぁ」
元オ「それじゃ! まずはやっぱり優良助っ人を探すことじゃ」
部下「そのことでしたら、それこそ監督に任せといたら大丈夫でしょう」
元オ「ほんまじゃな。これは好都合じゃ。えぇ外国人いっぱい欲しいなぁ。ぶっちゃけた話、
   1番から9番まで全部外国人にしたいぐらいやで。あぁ、外国人枠さえなかったらなぁ…」
部下「どうでしょう。ここは、外国産の選手を国産選手と偽装して試合に出させるというのは」
元オ「……君なぁ、もうその話はやめようや」
部下「あきまへんか、背番号も上から貼り直して…」
元オ「くどい! 君は懲りるということを知らんのか」
部下「す、すんません。とにかく、助っ人のことは監督に任せときましょ」
元オ「それでもなぁ、まだまだ打力が足りんな。『ビッグバン打線』てなことを言われて
   もてはやされたのは何年前じゃ? あの頃に比べたらだいぶ戦力は落ちたじゃろ」
部下「そうですなぁ。そのためにはまずドラフト会議が大事ですな」
元オ「とはいえ、有力選手はみんな逆指名で強いチームへ行くシステムができてしもてるからなぁ」
部下「そこはオーナー、高卒ルーキーのスカウトにがんばらせます。来年メジャーへ行くあのゴジラも
   高卒でした」(パチパチパチ)

494 :ごじゅういち:02/11/08 22:13
元オ「おぉ、その意気じゃ。大学や社会人出身ばかりが人材とは限らんからな。第二のゴジラを
   我がチームから出そうやないか」
部下「ところでオーナー、さっきもおっしゃった『ビッグバン打線』ですが、そろそろ呼び方を
   新しいのに変えたほうがよろしいかと」
元オ「そうやなぁ。マシンガンがピストル程度になった、とか言われてたのも他人事やないさかい、
   なんとかしたほうがえぇかも知れんな。何かふさわしい名前はあるのか?」
部下「『怪獣打線』というのはどうでしょう?」
元オ「今さらゴジラを獲る金はないぞ、うちには」
部下「わかってます。さっきも言いましたようにスカウトにがんばらせて有望な新人を獲得したら、
   そいつらに怪獣のニックネームを付けるんでございます。やっぱり怪獣というやつは
   今でも世間への影響力があるんやないかと思うんですが」
元オ「なるほどなぁ。ラドンやらビオランテやらが並ぶと楽しいかも知れんな」
部下「モスラなんてのが登場したら、あの歌もまた使えますしな」
元オ「けどなぁ、ヘドラあたりになると選手の方が嫌がらんか? はたして9人用意できるかな」
部下「そんなら、ガメラも使いましょか」
元オ「ん? 映画会社の壁を飛び越えよったな。それでもまだ足りるかな」
部下「ええい、この際プルガサリも入れて」
元オ「そ、それは…今のご時世やめといたほうがえぇぞ」
部下「あきまへんか? ホームラン打ったら『マンセー!』と」
元オ「…君、まじめに考える気ぃないやろ」

495 :ごじゅういち:02/11/08 22:14
本社の社員「失礼します。我が社の新製品が完成しました。ご試食をお願いします」
元オ「おぉ、食べさせてもらいましょ。えぇ所へ来てくれたな。こいつと話をしてると
   だんだんムカついてきてたとこじゃ。で、どんなのができたな?」
社員「9種類の香辛料をブレンドした『スパイシーチキンバー』でございます」(パチパチパチ)
元オ「なるほどな…それで今回はうちのチームというわけか。フン、苦肉の策じゃな」
社員「いえ、これは鶏肉でございます」
元オ「こんなとこまでいちいち返事をせんでもよろしい! うん、なかなか結構な味じゃわい。
   何種類ブレンドしたとな?」
社員「9種類でございます」
元オ「それじゃ! 新しい打線の名前は決まった。『スパイシー打線』や!」
部下「『スパイシー打線』でございますか?」
元オ「そうじゃ、1番から9番まで大技小技を駆使する選手が揃うて、それが繋がったときには
   絶妙の味を醸し出す。どうじゃ、我がチームにぴったりじゃろ」
部下「さすがオーナー、妙案ですなぁ。この新製品ともタイアップして早速売り出しましょう」

とまぁ、どこが妙案なんかようわからんのでございますが、話のほうはまとまったものの
いざ売り出すというてもまだ秋季キャンプしかやってないこの時期でございますからな、
世間ではなかなか話題にもなりません。かろうじてスポーツ新聞の隅のほうに記事が載ったぐらいで。
ところがこの元オーナー、大張り切りで、部下をお供に直々にキャンプの視察にまで訪れようという
力の入れようで…。


496 :ごじゅういち:02/11/08 22:15
元オ「どうかね、『スパイシー打線』はその後調子ようやっとるかね」
部下「それが、どうも…」
元オ「どうしたんじゃ?」
部下「まぁ、見て頂くほうが早いかと。バッティング練習はこちらでございます」
元オ「うん。おぉ、皆がんばっとるのう」
部下「オーナー、よくご覧下さい。何やらおかしいとは思われませんか?」
元オ「君、これはバッティング練習じゃったな? 誰一人として打つ練習どころかバットさえ
   振ってないようじゃが」
部下「そうなんでございます。今年は冷え込むのが例年より早いせいでしょうか、寒ぅて凍えて
   固まってしもて、バットを振る元気も出ん、てな始末でございまして」
元オ「そんな情けないことでどうするのじゃ。早いとこ元気出してもらわんと困るがな」
部下「私もそう思いまして、今日は本社のほうから差し入れを持ってきたんでございます。
   もうおわかりですな。『スパイシーチキンバー』でございます」
元オ「おぉよしよし、君もなかなか気がまわるやないか。どんどん食べてもろたらえぇ。
   なんせ『スパイシー打線』やさかいな」
部下「あ、コーチの方。どうぞ、これを皆さんで…」
元オ「ちょっと待った! それが新製品の『スパイシーチキンバー』か?」
部下「そうでございますが?」
元オ「しもた、先に実物見てたらこんなことにはならなんだのになぁ。これでは選手が凍えて
   固まるのも無理ないわい。冷凍食品や」

ドンドン

497 :sana亭omi:02/11/08 22:44
>ごじゅういちさん、
おはこのスポーツネタ、お見事でした。
期待を裏切りませんね。
カネゴンなら400勝できるかもしれません。

ところで、
ゴジラにはメジャーにいっても
コショウにだけは気をつけて活躍してほしいものです。
そうすれば、二年目には
契約更新料も含めて年棒倍額もあるかもしれません。


498 :重要無芸文化財:02/11/09 09:35
神様:汝ら
役者:ん・・・・ん、何やて。
神様:汝ら
役者:何時らって、まだ5時ら。夜も明けてへんのに何やいな。<パチパチ>
神様:時間を聞いておるのではない。
役者:そやかて、何時らて
神様:汝らと言うのは、神がお前たちへの呼びかけに使う言い回しじゃ。
役者:さいでっか。
神様:わかったか。
役者:へえ。・・・・・え、ほな、あんさん、神さんでっか?
神様:いかにもそうじゃ。
役者:そら、知らんこととは言え、失礼を。そやけど、神様や言うことは、私の願いが。
神様:いかにも、聞いてとらすぞ。
役者:へー、そら嬉しいな。
   いや、こうして役者やってますんで、楽屋のお稲荷さんはじめ、
   芸事の神様、いろんな神様には、ちゃんとお参りさせてもうとります。
神様:うむ。汝の常より信心が篤き故にじゃ、こうして芝居の神が姿を現したのじゃ。
役者:ははぁ。芝居の神様でっか。そら、有り難いこって。


499 :重要無芸文化財:02/11/09 09:36
神様:ただ、ワシは芝居の神様でも下っ端の方でな、駄劇の神様じゃ。
役者:ダゲキて?
神様:駄洒落とか駄菓子とか言うじゃろ。あの「駄」でな。
   あんまり上等でない芝居が専門じゃ。
役者:大丈夫でっかいな。
神様:芝居は当たってなんぼじゃ、当てることは得意じゃ。
役者:はあ。
神様:安心せい。どんな早い芝居も止まって見える。
   さて、星君。
役者:星君・・・・て、わたいはそんな名前やおまへんのですけど。
神様:役者でも芸人でも人気者は西洋では星と言われるのじゃ。今日から星君じゃ。
役者:左様でっか。神様が言わはんのやったら、星でも月でもよろしおまっけど。
神様:で、汝の願いとは。
役者:はぁ。神様やったら、ご存知だっしゃろけど、私も、上方ではちょっとは知られた役者で。
   それで江戸でも大当たりを取ったとなると、看板がもひとつ大きゅうなる。
   それで、まあ江戸にやって来たわけです。
神様:確か、江戸に来て1年になるのぅ。
役者:まあ、1年目はこっちの様子も流行りもわからんので、しよーもおまへん。
   けど、2年目になったことですんで、ここらでひとつ評判を取らなと思うもんの、<パチパチ>
   なかなか、ええ役がつきまへん。


500 :重要無芸文化財:02/11/09 09:37
神様:汝くらいのものじゃのう。
役者:へ、何がですか?
神様:皆、ヤクを落としてくれと神に願うのに、ヤクを願うとは。
役者:そのヤクとちゃいまんがな。まあ、しょうもない役でも、工夫のしようはおます。
   それで役の値打ちが上がったならば、役者冥利。
   けど、ここんとこ、その余地もないような役ばっかりでおまして。
神様:今月は、どんな芝居に出るのじゃ。
役者:へえ千本桜の鮨屋で、鮨屋の客をします。
神様:ほお。鮨屋か。いい芝居じゃ。だが、客なんて出ておったかな。
役者:それが、私のために、鮨屋の初っぱなに1場面を付け加えて貰いまして。
神様:汝のために一場、加えるとは、良い待遇ではないか。
役者:それが、幕が開くと、店先で、私が娘のお里から、鮨を買うてるんです。
   「代はいかほどじゃ」「はい300万両」で、私がこける・・・
神様:それで。
役者:そんだけです。で私がよろけながら引き込むと、お里が桶を片づけて芝居が始まる。


501 :重要無芸文化財:02/11/09 09:38
神様:星君。
役者:へぇ。
神様:ワキを閉めて、内からえぐりこむようにコケルべし。
役者:はあ。
神様:こけるべし。こけるべし。
役者:ちょっと違うような・・・・
神様:神様の言うことに逆らうでない。
役者:逆らいはしまへんけど、やっぱり、私の芝居が、江戸の客には合わんのでっしゃろか。
神様:座元は、どのように申しておるか。
役者:まったりしていい味が出せるけど、もひとつ、ぴりっとしたとこがないと。
神様:料理で言うなら、香辛料不足というとこじゃな。<パチパチ>
役者:左様です。
神様:高麗屋の芝居を参考にしたらどうじゃな。
役者:何で。
神様:松本香辛料と言うでな。
役者:あんさん。ホンマに神様でっか?
神様:疑うでない。
役者:へえ。信じますよってに、何とか、当たるようにしておくんなはれ。
神様:そうしてやりたいのじゃが、多勢に無勢じゃなぁ。
役者:多勢て、こっちに神様がついてても、どんなりまへんか。
神様:相手が悪い。お客様は神様です。

<どんどん>


502 :sana亭omi:02/11/09 21:40
>星君
>ワキを閉めて、内からえぐりこむようにコケルべし。
>こけるべし。こけるべし。

とても楽しく感じました。
だから、イッキに読み終えました。

役者は表情が大切、
それならば、顔の筋肉を鍛えるための
大俳優養成ギプスとはどんな物なんでしょうか?


503 :重要無名文化財:02/11/12 12:57
皆さん、おもしろいですねー。それぞれ味があって。
また読ませてもらいまーす。

504 :ごじゅういち:02/11/14 01:26
感想レスありがとうございます。
今回はお題が難しくて出来としては実は不満足な部類でした。

>無芸さん
無芸さんというと、元ネタがしっかりした噺というイメージがあるんですが、
こんな軽いのもすごくいいですね。
駄劇の神様ってのはやっぱり「舞台が止まって見えた」とか言うんでしょうか?

>>497のomiさん
才能を感想のほうに費やしてません?w
カネゴン…作ってるときに思いついたら絶対入れてたなぁ。なんか悔しい。
ただ、一つ気がかりなのは、後半で書いてるようなのって、
お題の使い方の一つなわけで、今後、その使い方を封じてしまう作用も
あるでしょ。それならいっそ、例え小噺でも作品という形にしたほうが
いいんじゃないでしょうか?

505 :sana亭omi:02/11/14 16:44
>ごじゅういちさん、
>・・・なんか悔しい

僕も、拙いながら作品の投稿経験者ですから
ゼロから作られた作品と僕の寄生虫的なクスグリ(?)書き込みとは
才能・労力、その他の点で雲泥の差があり、
とうてい比較できないことは十分承知しています。
だから、
やっかみ半分で本当に悔しいのは僕の方なのですが、
ついつい
「ホシ君もいつかはハナガタ役者になるでしょう」と
足掻いてしまいます。こういう存在も許していただけませんか?

>・・・後半で書いているようなのって、・・・

全く言われる通りです。以後慎みます。


506 :新参亭トーシロウ:02/11/16 18:36
「二年目」「ゴジラ」「香辛料」

ゴ「やあやあこんちは。誰かいるかね」
ガ「あ!こりゃ東宝の、お久しぶりでんなあ」
ゴ「これは大映の。元気にしておったかね」
ガ「おかげさんで元気にやっております。ゴジラはんほど出番は多いこと
 ないんですが」(パチパチ)
ゴ「ガメラさんは毎回ずいぶん痛そうな戦い方だからなあ、出番が多いと
 大変だろう」
ガ「ほんまですわ。まったくこないだもギャオスのアホが手加減せんと
 なんや手ぇ飛ばされたり散々で。まあしゃあないんですけど」
ゴ「我々の宿命だからな」
ガ「ホンマですな。それにしてもゴジラはんは体型戻られましたなあ。
 一時期エラい痩せてはったですやろ」
ゴ「儂はお前さんとは違って空を飛べんのでな、アメリカまでいくと
 いうので泳いでいったら痩せてしまった」
ガ「誰かぁ思いましたわホンマ」
ゴ「どうやら儂には日本の食べ物の方が合っているようだよ」
ガ「そら誰かて生まれ育った処が一番エエですわ。しかしあてらいろんな
 怪獣と戦ってきましたけど『ゴジラ対ガメラ』ゆうのはやってまへんなあ」
ゴ「『ゴジラ対メガロ』というのはあったかな」
ガ「名前だけやったら『ガメラ対ジグラ』ゆうのもありますけどな」


507 :新参亭トーシロウ:02/11/16 18:36
ゴ「そこはやはりお家の事情が邪魔をするのだな」
ガ「ああ、ゴジラ様、ゴジラ様、なぜゴジラ様でいらっしゃいますの、
 あなたは。あなたのお父様をお父様でないといい、あなたの製作所名を
 お捨てになって。それとも、それがおいやなら、せめて私と戦うと、
 誓言していただきたいの〜ちゅうよなもんですな」
ゴ「それなら私は宣言します、見渡す限り、東京タワーを白銀色に染めている
 あの美しいモスラにかけて、というのはどうだ」
ガ「ええですな。ほな、ああ、いけませんわ。モスラにかけて誓ったり
 なんぞ。二年目に出てきたレインボーモスラのように、色さえはっきり
 しない、あの不実な怪獣、あんな風に、あなたの愛まで変わっては大事だわ。
 としてみましょ」(パチパチ)
ゴ「うまいねどうも」
ガ「しかしシェークスピアを諳んじてる怪獣ちゅうのはどないなもんですねん」
ゴ「今日び怪獣だって知性は大事だよ」
ガ「ほー、さいですか。さすがアメリカ帰りですな」
ゴ「茶化すもんじゃない。」
ガ「へえへえ。ああそういえば息子さんどないしはったんですか」
ゴ「いや、それがどこでどうしているのやら儂にもさっぱりでな。当時は
 忙しくてあいつに構ってやる暇がなかったのも悪いんだが」
ガ「そうでっか、まあ便りがないのは良い便りともいいますからな」
ゴ「そう言ってくれるか」
ガ「しかしあれですな、いろいろ相続せんならん資産もありますやろ」
ゴ「資産など多くても仕方ないのだけどな」
ガ「持ってるだけでも更新料やらバカになりませんしなあ…どうでっしゃろ、
 息子さんに多すぎる資産を自由に使ってエエでと持ちかけて呼び戻す
 いうんは」(パチパチ)
ゴ「そんなもので戻ってくるとは思えないな」
ガ「そうでっか?」
ゴ「懐柔策は通じないだろう」(ドンドン)

508 :新参亭トーシロウ:02/11/16 18:38
ガメラって喋ったら関西弁だと思うんですよね。

509 :湖亭半弗:02/11/18 23:56
二年目突入という事で、ちょっと遊んでみたいと思います。
派手に陽気ににぎやかにやります。
「二年目」「ゴジラ」「香辛料」ですね。

 えー、落語というもんは数がございますが、訳の分かったような
分からん奴が出てくるもんでございまして、
喜六「清やん、いてるか。」
清八「おぅ、お前かぃな。何じゃいな、はようから。」
喜六「何や清やんとこに、うまいもんが仰山あるちゅうことをな、
そこのみかん屋に聞いたんや。」
清八「何じゃ、お前もかい。」
喜六「へぇ、お前もかいちゅうとこ見ると、他にも来たか?」
清八「そうやがな、誰が噂流してるや知らんけどな、ぎょうさん来るねや。
わしゃ道具屋に聞いたとか、雨乞い源兵衛に聞いたとか、算段の平兵衛に
聞いたとか、そこの口入屋に聞いたとか、鉄砲勇助に聞いたとか、
もうわやになってるねん。」
喜六「ふぅーん、ほな、そら嘘かぃな。」
清八「・・・実は言うとな、あながち嘘でもないねん。」
喜六「ほ、ほたら何かぃな、うまいもんがあるのんかぃな。」








510 :湖亭半弗:02/11/18 23:56
清八「うまいもんかは分からんが、こないだ横丁で江戸荒物屋の
宿替えがあったやろ。そのときに、あのおやっさん、集めてた珍味やら
珍品やら皆わしにくれよってん。いっぺんふぐ鍋ご馳走した事
あるさかいに、その礼やぁもっていき、ちゅうてな。はてなの茶碗てなけったいな
もんもあるし、牛の丸薬やとか、馬の尾、これは釣りで使えるな。黄金の大黒・・・、これは偽もんやけどな。」
喜六「ほ、ほな、何ぞくわしてぇな。」
清八「ほな、これ食え。」
喜六「何やこれ、この草?香辛料か?」(パチパチパチ)
清八「蛇含草ちゅうねや。蛇が人飲んだときに飲むといっぺんに溶けて
しまう草やな。」
喜六「えぇわぁ、そんなん。もっと腹にたまるもんがえぇわ。」
清八「そない言うてもなぁ、いもりの黒焼きとか酒の粕やとか焼き塩、鍋墨大根・・・、
おぉ、これは珍しいらくだの肉てなもんがあるで。あぁ、お前田楽食いや
さかいな、これ食い。馬の田楽。」
喜六「もぉえぇ、もぉえぇ。そんな気色の悪いもんが食えるかぃな。
またおじさんとこへでも行てよばれるわ。」
清八「おまえのおじさんとこ、京都やろ。」


511 :湖亭半弗:02/11/18 23:57
喜六「せや。京の茶漬けはうまいでぇ。」
清八「嘘言え、お前。あれは出てけぇへんもんや。しかし、あのおじさんも
達者やなぁ。あれ、いつやったかな、小さい時分やで。初天神の時に
おじさんにお前、わし一文笛買うてもろぉてな。」
喜六「へぇ、そんな事もあったんやな。いや、こないだも行てきたらな、
昼間から一人酒盛や。どないしたんやちゅうたら、娘の婿の貰い手が
いまだ見つからんちゅうてな。」
清八「ゴジラみたいな顔してるからな、あれは。」(パチパチパチ)
喜六「あれ、何ちゅうのん、持参金ちゅうのんか、あれをつけても
貰い手がないねやて。」
清八「ほな、もうおじさんの跡継ぐ弟子に嫁がすしかないわな。おじさん
植木屋やろ。」
喜六「せや。あそこの植木屋娘、弟子に嫁入りさせたらえぇねん。せやけど
嫁がすちゅうたら「やめます」とこない言うらしい。」


512 :湖亭半弗:02/11/18 23:57
清八「難儀やな、それは。今のご時世、ろくろ首でも延陽伯でも嫁げるねやで。
どうにかならんもんかなぁ、世話になってるだけに。」
喜六「いっそふたなりやったらえぇのに。」
清八「めったなこと言うもんやないぞ、こら。とにかくおじさんとこ行て
みようやないか。」
ポイッと表へ出ます。
喜六「清やん、俥で行かんのかぃ?」
清八「あかんあかん。ここら、いらち俥やとかな、お稲荷乗せた稲荷俥やとか、
けったいなん多いさかいな。ぼちぼち行たらえぇねん。」
喜六「せやけど、わしら行ってもあのお玉の顔は変わらんで。」
清八「皆寄って考えたら、なんぞえぇ知恵も浮かぶやろ。」


513 :湖亭半弗:02/11/18 23:58
犬「わん!」
清八「あぁ、びっくりした!鴻池の犬やがな、でかい図体してくさる。びっくりさすな、
目ぇくりぬいてまうど。」
喜六「犬の目より、鼻ほしい。」
清八「アホな事言うてるな。さぁ、えぇかげんやめにせんと、わざとらしぃ
なるさかいな。」
喜六「何がや?」
清八「えぇねん、気にせぇでも。ここやな、ごめん!おじさん!おじさん
いてないのんかな。」
喜六「せやけど留守番のお玉はんが・・・、まだ寝床にいてるで。」
清八「ほんまや、寝てるがな。・・・ごっついなぁ!このカラ(体)みてみぃ。
まるで牛やな。」
客「お玉牛!」
清八「あんたが言いなはんな(笑)こら、お玉はん、起きんかいな!」
お玉「あぁあ!!」
清八「わ、びっくりした、大きな声や。肝つぶしの声やな。ほんに
ゴジラや。お玉はん、あんたずぅっと寝てばっかりで、食うちゃ寝して、
嫁の貰い手がますます来んようになるで。もっと、嫁に行きたいと
いう一念でかからな。」
お玉「そらわたしかて、一念(一年)なんて思ってみても早二年目。(パチパチパチ)
残念(三年)ながらこの体では、相手に死ね(四年)と言われる有様。
ごねんなさい(五年)と言うしかなくて、無念(六年)な日々を過ごししに、
長年(七年)こんな思いをば、するならいっそもうやめん(八年)して
苦年を重年(九年・十年)するのはやめて、楽年(百年)過ごすに専念(千年)したい。」
清八「はぁ、それで今日もまた、万年床か。」

どんどん

514 :湖亭半弗:02/11/18 23:59
たまにはこんなんで堪忍してください。
さて、いくつの演題があるか、お暇な方は数えてみてください(w

515 :重要無名文化財:02/11/19 02:39
ある意味異色作。
ハンドルさん、やっぱすげぇわ。

516 :重要無名文化財:02/11/19 20:22
>喜六「犬の目より、鼻ほしい。」
もちろん「鼻ほしい」も計算ずくなんでしょうね。すごい。

517 :sana亭omi:02/11/19 23:20
ほんとにすごい。
特に最後のくだりは、リズム感もあるし
百年・千年を経過して
万年までいくとは思いませんでした。

お玉さんばかりは責められません。
結局、娘は父親にニマンネン。
子どもは親の真似をシマンネン。
なんで親の意をクマンネン、だからお前は縁がトオマンネン
・・・
半弗さんみたいに上手くまとまらないから
もう、やめてオクネン。


518 :重要無名文化財:02/11/19 23:40
みかん屋/道具屋/雨乞い源兵衛/算段の平兵衛/口入屋
鉄砲勇助/江戸荒物/宿替え/ふぐ鍋/はてなの茶碗/牛の丸薬/馬の尾
黄金の大黒/蛇含草/らくだ/田楽食い/馬の田楽/京の茶漬/初天神
一文笛/一人酒盛/持参金/植木屋娘/ろくろ首/延陽伯/ふたなり
いらち俥/稲荷俥/鴻池の犬/犬の目/鼻ほしい/寝床/お玉牛/肝つぶし

ざっと確認できたのは、34演題。


519 :重要無名文化財:02/11/21 21:26
半弗さんはずっと常連で、ハイレベルを維持していてすごいですね。
遊び心満載です。

520 :重要無名文化財:02/11/29 11:33
締めとして、柳ヤコ師の作品が見たい。

521 :新参亭トーシロウ:02/11/30 23:04
柳ヤコさんは最後のお茶ですか!?(笑)

522 :主催者:02/12/06 22:08
お待たせしました、主催者です。
年の瀬も押し迫って参りました。パソコンの方は何とかなりましたが
忙しさは何ともなりません。友人宅にて借りて打っています。
皆様にはご迷惑をお掛けします。来年こそスムーズに三題噺が書けるように
していきたいと思います。

まず>>484-485、匿名さんの「名探偵ゴジラ(仮)」は型破りな
展開で飽きさせません。片方が置いてきぼりを食ったときの繰り返す台詞の
面白さに気がつきました。マグネシウム丼という言葉の音に笑いました。

次に、ごじゅういちさんの>>491-496「スパイシー打線(仮)」は
私の狙い通り野球ネタで来てくださいまして、パリーグの某球団の
切実な球団事情を踏まえて、スパイシー打線という新体制の悲喜劇を
描いてあります。まさにモデルの球団にぴったりのネーミングで
楽しめました。



523 :主催者:02/12/06 22:18
>>498-501、無芸さんの「多勢は無勢(仮)」は芝居噺の名手、無芸さん
らしらが見え隠れする、芝居の神様と役者の掛け合い噺ですね。
鮨屋の一場面は新喜劇的でくすぐりとしても上質ですし、この駄劇の
神様は「打撃=ゴジラ松井=巨人の星」つながりでいいんですよね。
よく練られた作品です。

トーシローさんの>>506-507、「ゴジガメ(仮)」(すいません、この
タイトルしか思いつきませんでした。「こち亀」的な音にしたつもりです)
は、怪獣同士の世間話という異色の噺で楽しめました。シェークスピアの
くだりや、特撮好きにはたまらないであろう怪獣映画のネタ等楽しみどころが
満載の噺です。

半弗さんの>>509-513「万年床〜落語国演題遊戯〜」(これもタイソウな
タイトルですね)は、上方落語の演題を中心に構成されるという新たな
趣向で恐れ入ります。サゲも「掛取り」「一目上がり」を髣髴とさせる
見立て落ちで秀逸です。落語国の住人がつながっている設定は三題噺
ならではです。

年内には第二十五回を終えて、感想回、総集編といきたいですね。
それでは第二十五回御題取りを行います。
例によって一レス一単語でお願いいたします。
たくさんのご参加お待ちしています。

524 :重要無名文化財:02/12/06 23:47
牛タンゲーム

525 :重要無名文化財:02/12/07 02:22
年賀状

526 :重要無名文化財:02/12/07 03:31
道路公団


527 :重要無名文化財:02/12/07 04:03
サンタ

528 :重要無名文化財:02/12/07 04:05
紅白

529 :重要無名文化財:02/12/07 08:47
パーティ

530 :重要無名文化財:02/12/07 13:07
アセロラ

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